下北沢〈Com.Cafe 音倉〉での今年最後のランチタイムコンサートが終わりました。
今日はまず、童謡の「たき火」をアレンジしたものを演奏。テーマ部分を演奏したあとは、それをモチーフに即興をスタートして、だんだんイメージを広げていきます。即興ですが、ジャズのような即興とは違い、コード進行もリズムもキープしません。完全なフリーですが、フリージャズとも違います。転調はしますが、調性を大きく崩すことはありません。非ジャズ即興としかいいようがないでしょうか。
このスタイルは先々月くらいから試みて、今回はすっかり自分の方法として馴染んだ感じがありました。
2曲めは「風の木」とタイトルをつけておきましょう。これは完全な非ジャズ即興で、風に揺れる木をイメージしながら、最初は調性のあるミニマルミュージックのようなパターンから、次第にパターンを逸脱していって、非調性になったりいろいろしたあと(笑)、ふたたび戻っていって静かになって終わる、という構成、になりました結果的に。
ここで現代朗読の野々宮卯妙に登場してもらって、朗読とのセッション。
テキストは村山槐多を使うことになっていたんですが、実はこの日の午前中にテキスト表現ゼミがありました。そのとき、初参加の石川さよさんがとてもかわいい詩を書いてきてくれたのです。私たちが文章で自分を表現しようとするとき、ついいろいろと理屈で考えてしまい、技術をよく見せようとか外部評価とかを気にして最初に生まれた素敵なアイディアをすっかり台無しにしてしまうんですが、その前の段階の生まれたてのことばを書きつけたそのままの詩を持ってきてくれて、とても気にいったのです。そこで、それを野々宮に朗読してもらうことにしました。
ルーズリーフのページをちぎった紙に書きつけた無造作な手書きの文字。それを読んでもらいました。とても素敵なパフォーマンスになったと思います。
次に村山槐多の朗読。
ふと時計を見ると、まだ15分しかたっていません。そこで、野々宮には急遽、2編読んでもらうことにしました。『五つの夢』から「天の尿」と「女の眼」。
名古屋や福井を回ってきたので私は5日間ほどピアノに触っておらず、この日もほとんどウォーミングアップできなかったので指が動きづらかったんですが、にもかかわらず大変楽しくセッションできました。
終わって時計を見るとあと5分あったので、最後も非ジャズ即興で「雪原」とタイトルをつけておきましょうか、そんなイメージで演奏しました。
全部終わってから、聴いてくれていたひとりの女性から声をかけられました。
「来月もまた来ます」
うれしい言葉でした。
またゼミ生の弓子さんとそのお友だち、なおさん、そしてテキストゼミから引き続き石川さよさんが来てくれて、感想を聞かせてくれました。
時々自信がなくなって、お客さんも少ないので、毎回続けることをためらってしまうランチタイムコンサートですが、今日はとても晴ればれした気分で終えることができました。
みなさん、ありがとう。