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2019年3月20日水曜日

ハンブルク駅現代美術館でヨゼフ・ボイス(と私)を再発見する

911以降、世界のアートの中心地はベルリンに移った、などといわれることもある。
実際、気になっている多くのアーティスト、音楽家、ダンサー、さらには小説家までもがベルリンに移住したという話を聞く。
ベルリンに行くならそのアートシーンを肌で感じてみたいという気持ちがあった。
とくに現代の――コンテンポラリー表現を。

ハンブルク駅現代美術館は、かつてハンブルク行き鉄道の駅舎を改装してできた比較的あたらしい美術館だ。
行ってみてそのスケールに驚いた。
ネットの口コミで「規模のわりに内容が薄い」などと書いている人がいたけれど、いったいどこを見てるんだろう。
私は半日ここですごして、へとへとになってしまった。
それくらいおもしろかったということだ。

とくにドイツ人の現代アーティストとしてあまりに有名なヨゼフ・ボイスの仕事には、あらためていろんな角度から接することができて、再発見したというか、現代アートにおけるボイスの存在意味があらためてわかったような気がする。
さらにいえば、大げさなことをいうようだが、自分自身の存在意味すらも。

ボイスの存在でもっとも大きなものは、彫刻の意味を問いなおしたことだろう。
彫刻といえば古来から現代にいたるまで、石や金属や木材やコンクリートや、なにかしら固形の材料をもちいて形(sculpture)を表現することだと、なんとなく思っていた。
ボイスはそこに鋭く切りこむ。

まず、材料は固形のものである必要があるのか?
そもそも固定された物体である必要はあるのか?
現象そのものを彫刻ととらえることはできないのか?
我々そのもの——つまり生きて動いて変化しつづけているbodyを表現するのに、そもそも固形物で時間をとめようとすることに無理があるのではないのか?

かくして生まれたパフォーミングアートは、彫刻からスタートしている。
ボイスのこれらの仕事を見ていると、生きて動いている存在というか現象である私自身の生命そのものは、いったいなんなのか。
これそのものがアートとどこで線引きできるのか。
そもそもそんな線引きそのものが社会的な都合によって作られた勝手なジャッジではないのか。

ボイスの芸術をつきつめていくと、私の存在そのものに行きあたることに気づく。
ボイスの問いはそのまんま、私自身の存在へと向けられる。
いまここにこうして生きている私自身、これはなんなのか。
なんのためにこうして生きているのか。
私はなぜここにいるのか。

ボイスだけでなく、そこから生まれた膨大な現代アートに触れつづけていくにつれ、ものすごく疲れたと同時に、ものすごく触発されていった。
私の今日以降の人生がかなりちがった風景を持つだろうと、いま感じている。

ベルリンの街をあちこち歩いてあちこち歩きたいわけじゃないことに気づく

変なタイトルになったが、今日はホテルのあるベルリン動物園駅から100番のバスでまずブランデンブルク門まで行った。
いきなり市街地の中心部に乗りこんだわけだが、そこからウンター・デン・リンデンという、まあ中央通りみたいな東西に走る大きな道を東のほうに歩いた。

巨大な門を背中に、道のまんなかには「リンデン」の名前どおり菩提樹の並木がつづいているけれど、いまは丸裸でまったく緑はなし。
観光客や学生の団体がたくさんいる。
日本人の老夫婦らしい人も見た。
ドイツに来て日本人観光客を見るのは初めてかもしれない。

あとで書くけど、現代美術館に入ったらどう見てもアジア人の監視員と目があって、向こうのほうから、
「アンニョンハセヨ」
と声をかけてきたので、
「こんにちは」
と返したら、納得したらしく、うなずき返してきた。

デン・リンデンをずっと行くと、フリードリヒ通りという南北の道と直行するが、その手前で1本南側のベーレン通りにコーミッシュ・オーパーというオペラハウスがある。
デン・リンデンよりこの通りのほうが文化的な感じがする。

デン・リンデンにもどると、フォルクスワーゲンとダイムラーベンツのショールームが通りをはさんで張り合ったりしている。

フンボルト大学があって、だれでも自由に出入りできるようになっている。
私はここでトイレを借りて、ちょっと休憩した。
反対側にはベルリン国立歌劇場、ならびにはドイツ歴史博物館、新博物館、旧博物館、ベルガモン博物館などひしめいているが、とてもじゃないが見きれるものではない。

このあたりは川の中州の島になっている。
そこにベルリン大聖堂も建っている。
近くまで行くとまあものすごい物量で圧倒される。

その向こうにはテレビ塔がそびえ建って、どこからでも見える。
ニコライ教会というふたつの尖塔がある古い教会がある。
このあたりはベルリンでももっと古い地区らしい。

テレビ塔の下にあるアレキサンダー広場駅でアイスクリームを食べ、その駅からトラムに乗って中央駅のほうにあるハンブルク駅現代美術館に行った。
ここがまあものすごい美術館で、あらためて書く。

疲れはてて、とぼとぼとベルリン中央駅まで歩き、Sバーンという鉄道で動物園駅まで戻って、ホテルにたどりついてお風呂にはいったところ。

長々と書いたが、今日は大きな気づきがあった。
というか、あたりまえのことで、なんでいまさらこんなことに気づくんだ、ばかじゃないの、と思ったいるわけだが。
ドイツに来て、シュトゥットガルトやらフライブルクやらベルリンやらに来ると、なんとなく観光案内を調べて、
「ここに行かなきゃ、こっちもまだ行ってない」
と観光客みたいな気分になってしまうんだけれど、私は観光をしたいわけじゃない、ということだ。
あちこち歩きまわりたくて来ているわけじゃない、ただここの空気と街に自分を置いてみて、その体験を観察してみたいだけなのだ。

そういう意味では、東京でコーヒーを一杯飲むこととなにも変わらない。
国立のモスバーガーで道行く人をながめながらコーヒー一杯飲んだ経験だって、もしそれをちゃんと観察できれば小説が1本書けるだろう。
そういうことをしたいだけなんだ。
ドイツではもうすでに人生にして何回分もの経験をしてしまった。
あとはここからなにをどう書きたいのか、どのような表現をしたいのか。

時間がいくらあっても足りない。

2019年3月19日火曜日

ベルリンの宿アジムットホテル


ベルリンではアジムットホテルという、破格に安いというわけではないけれど、そこそこ安い、古いホテルに泊まっている。
値段は日本でいえばビジネスホテルくらいか。
しかし、部屋はかなり広くて清潔で、快適。

ツインルームをひとりで使っているので広いのはもちろんだが、そもそも部屋が広い。
天井も高い。
バスルームがタイル張りで古風なのだが、広くて清潔。
バスタブも大きくて、歩きまわったあとの疲れをいやすのにいい。

いいところばかりのようだが、ひとつ致命的な欠点があって、WiFiが遅い!
写真ひとつダウンロードするのに、とろとろと時間がかかる。
動画を見るなんて問題外。

と思っていたら、有料でハイスピードWiFiを使えるかもという情報があったので、フロントに申しこんでみたら、システムの関係上夕方5時以降にならないとノーマルスピードが使えないという。
追加料金が必要なのかどうかわからないけど、5時以降は快適に使えそうなので、それまではがまん。

今日はこれからバスでいきなり市街地の中心部に乗りこんでみる。
ブランデンブルク門からスタート。
天気いいけど、寒い。

フランクフルトからベルリンへ

フランクフルト空港で時間をつぶしてから、そのままEasyJetというローカルの格安航空会社の便に乗る。

その前に、空港のカフェで買って食べたサラミサンドイッチがかなりおいしかったな。
毎日こんなものばかり食べている。

私は日本食がどうの、脂っこいものはどうの、ということはほとんどなくて、たいてい現地の屋台のようなところで調達できるものでこと足りる。
そもそも一日二食くらいしか必要ないので、お昼はどうする、夕飯はどうすると、一日中食事の心配をしているように見える人は忙しくて大変だなと思う。

今日もフライブルクの駅カフェで食べたパンと、この空港で食べたサンドイッチ、それでおしまい。
寝るときはお腹になにかたまっていると、眠りの質が悪くなって、つぎの日に差し支える。

EasyJetはきさくな便で、そっけなくボーディングパスして、そっけなく飛び、そっけなく到着した。
ベルリンまで50分。
なんの情緒もない。
けれど、夕方の便だったので、宵闇迫る空の色が美しかった。

空の上から見たベルリンの夜景は、フランクフルトもそうだったが、妙に黄色くて、日本のような派手さはない。
到着したベルリン・テーゲル空港もなんとなく暗くて、田舎っぽい。
バス乗り場まで案内表示にしたがって行ったが、人がすくなくて心細くなる。
それでもバスに乗りこみ、ホテルの最寄りのベルリン動物園をめざす。

もちろんベルリンはドイツ一の都会で、面積でいえば東京23区より広いくらいだが、バスから見える街はなんとなく暗い。
と思っていたら、動物園駅で降りたら、いやはややっぱり都会じゃないの。
スタバはあるわ、マックはあるわ、ダンキンドーナツはあるわ、バーガーキングはあるわ、ケンタッキーのドイツ版みたいなチェーン店はあるわ、ファッションビルはあるわ、なんだってありそうだ便利この上ない。
こちらで今夜から足かけ五日間のベルリン滞在がはじまる。

さて、どんなものを見て、どんな経験ができるんだろう。
ジャズやペーパーバックなど、アメリカ文化をたくさん紹介していた植草甚一さんが、初めて渡米したのは還暦をはるかにすぎてからだったというエピソードを、ちょっと思い出したりしている。
私は還暦を2年すぎようとしている。
植草甚一(JJ)みたいにいきいきしたレポートができるといいな。

2019年3月18日月曜日

フライブルクを後にフランクフルト空港へ

フライブルクを後にするのは本当に名残惜しい感じがする。
昨日は「日本文化の日」でピアノを演奏するという、私にとってはメインイベントがあったのだが、フライブルク在住の日本人のみなさんにとっても、にぎやかなイベントのボランティアや出演者として参加されて忙しい一日だったろうと思う。
世話人のみなさんと、私を呼んでくれたなおみさんに、あらためてお礼をいいたい。
ありがとう。

昨日はそんな日だったが、イベント会場に行く前にちょっとだけ街をぶらついてみた。
日曜日のフライブルク。

ドイツではどの街もそうなんだろうが、店はほとんど休みとなる。
土曜日とは打って変わって静かだ。
EDEKAというチェーンのスーパーマーケットすら休みだ。
もちろんコンビニはないので、なにかちょっとしたものを買おうとすると困る。
が、それでいいのだ、と思う。

家族連れやカップルは店が開いていないので、山や川に出かけたり、近所の公園でピクニックしている。
冬が終わって花が咲きはじめ、日差しも暖かくなってきたので、みんな日向ぼっこを満喫しに出てくる。

ホテルを出るとき、ふと前のアパートを見たら、こちらに面したサンルームのようなところで住人の女性が日にあたりながら本を読んでいた。

もちろん、駅に行けば店は開いている。
フライブルクの駅はとても清潔で、カフェが何軒もあって落ち着く場所だ。
本屋と文房具屋が一緒になっている日本とよく似ている店もある。
これは日本の専売特許かと思っていたけれど、けっこうかわいいファンシーグッズがたくさん売っている。

私はカフェでコーヒーを飲みながら、編物を出して、マインドフルに心身を整えた。
まだ四日めなのに、まるでここの住人になったような落ち着き感がある。

フライブルクでいきなり仕事をするのは難しいだろうが、ネットコンテンツで生活費が稼げればどこに行っても暮らせる。
もっとも、家を借りるのはなかなか大変らしいが。
フライブルクはドイツでも人気の土地なのだ。
新入学生など住む場所を見つけるのにとても苦労するらしい。

夜は「日本文化の日」イベントの関係者のみなさんにまじって打ち上げだった。
会場の隣の大きなピザ屋で20人以上集まっただろうか。
子どもも入れればもっといたかもしれない。
大変にぎやかだった。
みんなでお互いの苦労をねぎらいあった。

私は隣になったフライブルク大学医学部の研究者であるますださんと、かなりたっぷり話ができた。
仕事のこと、家族のこと、フライブルクでの暮らしのこと、これからのこと、マインドフルネスやNVCの話までした。
奥さんが太鼓チームにイベントに出演していた。
そのあいだ、ますださんは7歳と0歳のふたりの子どもの面倒を見ていたらしい。
それがまた幸せそうなのだ。

今日はフライブルクを出発して、ドイツ鉄道(DB)でフランクフルト空港駅にまずやってきた。
DBは60分遅れの運行で到着。
飛行機を逃した人もいるんじゃないだろうか。
私はたっぷり余裕があるので、いまもまだこんなテキストを書いてのんびりすごせているけど。

「日本文化の日」イベントで即興ピアノを弾く

2019年3月17日。
ドイツ・フライブルクの「Volkshochschule」という学校を会場として毎年開催されている「日本文化の日」というイベントで、ピアノ演奏をおこなった。

当地で生け花を教えておられるまりこさんの生け花映像に、即興でピアノをつけるというライブセッションだった。
生け花映像はあらかじめ編集されていたが、編集したのはアンドレアスさんで、彼もその場に来てくれていた。

一昨日の介護施設でご一緒だったピアニスト(ピアノ教師)のゆみさんも会場で立ち働いておられた。
生け花のまりこさんも会場に直接おいでだった。

音読トレーナーのなおみさんがイベントホールの司会進行をしていて、まずはなおみさんから日本の生け花文化について、スライドを使った説明がおこなわれた。
会場は立ち見が出るほどの盛況、関係者がいることもあって、さすがの私もちょっとどきどきした(なにがさすがなのかわからないが)。

このイベントの前に、ちょっと待ち時間があったので、シュトゥットガルトの手芸店で購入したセットで編物ができたのがよかった。
だいぶ自分につながって落ち着けた。

なおみさんの説明のあと、生花動画の上映がスタートし、私もピアノについてすぐに演奏をはじめる。
なにもかんがえない。
ただ映像と、会場の空気と、午後になって降りはじめた外の雨を感じながら、無心に演奏する。

会場は水を打ったように静まりかえっている。
あんなにぎゅうぎゅう詰めでたくさんいるのに、みなさん、真剣に観て、聴いてくれている。

15分くらいの上映と演奏が終わった。
会場からは割れんばかりの拍手が。
みなさん、会場を出がけに、つぎつぎと声をかけてくれる。

「ワンダフル!」
「ちょっとドビュッシーを連想したよ」
「めっちゃかっこよかった」
「YouTubeで見つけられる?」

初めての海外での演奏、うれしかったな。
これを一度やりたかったんだ。
夢がひとつかなった。
このチャンスをくれたなおみさんに心から感謝。

このパフォーマンスの模様の一部は、近く、編集してYouTubeで配信する予定。

2019年3月17日日曜日

日本文化の日準備会場、大聖堂でのバッハコンサート

「日本文化の日」イベントを明日にそなえてみなさんが準備をするというので、私もご挨拶がてら顔を出してきた。
駅前のVolkshochschuleという学校が会場になっている。
たくさん人が来るらしい。
バザーをしたりランチを売ったり、寄付金を募ったりして、東日本大震災の支援活動をいまだにつづけておられるのだ。
私もほんのちょっぴり、それに参加できるのがうれしい。

行ってみると、昨日お会いしたピアニストのゆみさんや、今回私が演奏をつける生け花映像を作ったまりこさんがいらした。
いくつかの教室でそれぞれのイベントをやるらしい。
私が出るのはメイン会場で、そこでは1日、さまざまな催しものをやる。

なおみさんは合唱グループにも所属していて、そのリハーサルをやっていた。
意外にレベルが高くてびっくりした(失礼)。
そんなことより、なにより、みなさん楽しげに歌われているのが、見ていてこちらも気持ちよかった。

そうそうに失礼して、私は大聖堂のほうにバッハのコンサートを聴きに行った。
いまは復活祭に向けての期間ということで、こちらで「ヨハネ受難曲」の演奏会をするのだ。
なおみさんに教えてもらって、私はあらかじめネットでチケットをゲットしておいた。

ほぼ満席の盛況で、演奏も合唱も独唱もすばらしかった。
巨大な伽藍がおそろしく長い残響音を作って、荘厳なサウンドに包まれる。
ともすれば音が濁りがちなほどよく響く。
おそらくグレゴリオ聖歌など単旋律にちかい音楽でも、よく響いて荘厳な感じになるのだろう。

2時間を超える熱演で、終わったらシーンとしてしばらくだれひとり拍手をする者すらいなかった。
ながい沈黙のそのあとに、割れるような拍手。
感動的だった。

それにしても、寒かった。
こんなに寒いコンサートは初めてだ。
とはいえ、バロック音楽の王様ともいえるバッハの音楽を、バロック建築の粋である大聖堂で聴けるというのは、そうそうある経験ではないだろう。

自称ピアニスト、博物館、大道芸人、古本屋

大聖堂近くのミュージアムに行ってみた。
ここは改修を重ねた大聖堂に収蔵されていた宗教絵画や彫刻やステンドグラスなどをたくさん展示している。
とくに古いステンドグラスは見応えがある。

パイプオルガンがあって、ちょうど演奏会をやっていたようだが、私が行ったときにはまさに終わりかけのときで、少ししか聞けなかった。
なにやら現代曲をやっていたようだった。

土曜日で街には大道芸人や、勝手になにかを売っている人、演奏している人などが出ている。
とくに規制はされていないようだ。

おばさんがひとりで写真と自作の詩を自筆で描いたリーフレットをならべて売っていた。
話をしてみると、自分はピアニストだという。
ピアニストだけど、詩を書いて写真をつけて、それを売っているのだ。
握手したら、ピアニストなのでと、注意深い握手をされた。
こちらの人はがっしりと容赦なく握ってくる人が多いのだが。

この街は本屋が多い。
大学があるせいかもしれない。
街の中心の一等地に、古書店が店を構えてつぶれないというのはすばらしいなと思う。

駅前ではトラム開通イベントだろうか、ブラスバンドが仮設ステージで演奏して、盛んに拍手を送られていた。

大聖堂の鐘楼にのぼる

大聖堂の塔のてっぺんまでのぼれると聞いたので、行ってみた。
塔というのは、ようするに鐘楼だ。
鐘が鳴らされる正午に合わせて、のぼってみる。
大聖堂のまわりは土曜日からだろうか、たくさんの屋台が出て、観光客や地元民でにぎわっている。
食べ物や土産もの、農産物、工芸品などを売っている。

鐘楼の入口は正門脇の目立たないところにあった。
はいってみて、いきなりちょっと躊躇した。
螺旋型の暗い石段が、上の暗闇へとつづいている。
なんの案内もない。
ただのぼっていくだけのようだ。
まるで地下牢へとつづく石段のようだ。
いまは地下ではなく、天へとのぼっていくわけだが。

ひとひとりすれ違うのがやっとだ。
ときおり上からおりてくる人とすれ違うのだが、かなりぎりぎり。
休憩所はない。
ただえんえんとのぼっていく。

すぐに足に来た。
息切れする。
これは身体の弱い人は大変だな。
体重のある人もつらいだろう。
そして、あのどのくらいなのかわからない。

たまに小さなのぞき窓があって、外を見られる。
どのくらいの高さまでのぼったかがようやくわかる。

やっとたどりついた。
てっぺんの部屋で入場料を払って(4ユーロ)、そこからさらに最上部へとあがる。
最上部は鐘と、そのメカニズムをメンテナンスするための作業部屋になっているようだ。

親子連れなど何人かが正午の鐘を待っている。
決して広い場所ではない。
すぐ目の前に巨大な鐘がある。

鳴りはじめた。
一番でかい鐘が12回まず鳴った。
つづいて脇のやや小さめの鐘がぐわんぐわんと連続して鳴りはじめた。
頭が割れそうなほどでかい音だ。
いつまでも鳴りやまない。
たぶん10分くらいは鳴りつづけたんじゃないだろうか。
ようやく止まった。
ほっとするが、頭が痛くなって、耳鳴りがしている。

へろへろになりながら、来た階段をえっちらおっちらと降りて、地上にもどった。
降りるときはそれほど大変ではなかった。
それにしても、機会じかけがなかった昔の人はどのようにこれを動かしていたんだろう。

トラムに乗って市街地へ、本屋がたくさんある

トラム(路面電車)の路線があたらしく開通するのをお祝いして、今日は市街地で大々的にイベントがおこなわれたり、トラム全路線が乗り放題になったりした。
そんなにうれしいことだったのか!

日本ではすっかり姿を消してしまった路面電車だけど、シュトゥットガルトでもフライブルクでも大活躍だ。
街のなかをたくさん走っていて、車ともちゃんと共存している。
車を運転できない子どもやお年寄りにはありがたい交通手段だろう。
なにより静かだ。

私も乗ってみた。
駅は数百メートルおきにあるので、線路を見つけたらそれをたどって、最寄りの駅からしょっちゅうやってくるトラムにひょいと乗ればいい。
なかで切符を買うらしいが(お得な回数券もある)、今日は無料。

そのようすを動画で撮ったので、ご覧になりたい方はこちら
駅裏のほうからDB(ドイツ鉄道)の跨線橋をのぼってひと駅。
DBの駅の上がトラムの駅にもなっている。
トラムの駅から鉄道のホームへと直接降りていける。
改札はない。
直接ホームというのが特徴で、これはかなり便利。

旧市街地へとはいっていくと、城壁の名残があって、大聖堂の尖塔が自分の位置の目印になる。
城壁の門も、空襲にやられて修復したものがふたつだけ残っている。
フライブルクも相当、空襲の被害を受けた街らしい。

大学の街ということもあってか、書店があちこちにたくさんある。
古書店もある。
それぞれの書店が特徴をもった品揃えをしているように見える。
街のど真ん中に古書店が営業をつづけていられるというのも、この街の文化度の高さをあらわしているのかもしれない。

ドイツ5日めともなると

ドイツ滞在も5日めともなると、いろいろなことに慣れて、楽になってくる。
買物のやりかたに慣れてくる。
現金で支払うばあいはユーロ紙幣やコインを使うのだが、その種類にも慣れてくる。

紙幣は50、20、10、5とそれぞれあって、大きさがこの順で小さくなる。
日本の紙幣に比べるとおもちゃみたいに感じる。
コインは2、1ユーロとあって、あとはセントの50、20、10、5、2、1とこまかくなる。
たくさん種類があって、慣れるまでパッとその金額に応じて出すのが大変だ。

現金でなければカード払いになる。
けっこう少額でもカードで払っている人もいて、カード払いは日本より普及している感じだ。
どんな小さな店でもたいていあって、カード読み取り機に自分で挿して暗証番号も自分で入力する。
番号を入力したあとに緑色の「○」のキーを最後に押すのがコツだ。

パン屋にはカフェコーナーがあって、そこで食事できるところが多い。
カフェも街中にはたくさんある。
レストランもあるのだが、たいてい目立たないし、ちょっと入りにくい。
表にメニューが出ていて、値段が書いてあったりすると、まあ安心なのだが、外での食事はちょっと高くつくのが普通だと思っておいたほうがいい。

スーパーマーケットもある。
EDEKAというチェーン店がどこにでもあって、店の造りや品揃え、レジの方式などだいたいおなじなので、慣れてくるとついここで買物をすませてしまいたくなる。

いわゆる「市場」のような街のマーケットも残っているが、だんだんこぎれいなスーパーに取って変わられつつあるようだ。

日本のようなコンビニや自動販売機はほとんど見かけない。
ドイツに来てみると、日本は本当に便利な国だと思う。
思うけれど、便利すぎやしないか、そこまで便利でなくてもいいじゃないか、とも思う。
便利の追求がすぎると、人間性をある程度そこなう側面も出てきてしまうような気がする。

チーズの種類が多い。
こんなにいろいろある必要があるんだろうかと思うくらい、多い。
ひとつ、適当に買ってみたけれど、クリームチーズ系で、そのまま食べてもかなりおいしかった。
明日は別の種類を買ってみよう。

2019年3月16日土曜日

YouTube:ドイツ旅行・フライブルクのホテルから近所のスーパーEDEKAまで

2019年3月16日。
フライブルクも3日めとなりました。
今朝は町中まで朝食に歩いていくのが面倒だったので、近所にあるEDEKAというスーパーマーケットまで朝食を買いに行ってきました。

映像はこちら

フライブルク大聖堂、絵葉書のような街並、ビアホール

なおみさん、Sくんと3人で、フライブルク大聖堂で待ち合わせる。
天気はだいぶ回復して、雨はほとんどなくなったが、風はあいかわらず強い。
吹きとばされそうになる。

大聖堂は度肝を抜く過剰な物量と装飾のゴシック建築で、日本の巨大寺院のような木造の建物とは全然違った質感で圧倒してくる。
1200年から建てられはじめて、最初はロマネスク様式だったのが、しだいにゴシック様式となり、最終的には19世紀に完成する。

開放されていて、だれでも無料でなかにはいることができる。
今夜はここで20時からおこなわれる無料イベントをのぞいてみることになっていた。
その前に腹ごしらえをと、近くのビアホールに案内してもらった。

行ったのは Martin’s Brau という大きな店で、大人気。
地階、地下、一階ともほぼ満席。
なんとか地下の階段下のテーブルに座れた。

店ビールと料理をたのむ。
私が頼んだのは、骨付き肉のグリルに、スライスしたジャガイモを焼いたのが付いたもの。
かなりのボリューム。
実際、お腹いっぱいになったし、おいしかった。

大勢の客がそれぞれの席でしゃべりまくり、飲みまくり、食べまくりで、こんな風景は日本ではあまりお目にかかれない。
雰囲気も味わえて、大満足しながら、大聖堂にもどる。

途中の街並はまるで絵葉書か絵本に出てくるような風情。

大聖堂ではちょうどイベントが始まったところだった。
なおみさんの解説によれば、「美」をテーマにしたテキストの朗読と、コーラスやオルガン演奏の会ということだった。

教会のイベントということで、おごそかな雰囲気を想像していたのだが、実際にはかなりフランクな感じで、客もあちこち移動しながら見てまわったりできる。
私もドイツ1でかいキリストの物語を織りこんだ絨毯がかかっている一番前まで見物に行ったりした。
オルガンを弾いているおにいさんは、オルガニストというより、ジャズプレイヤーで、気さくな曲を巨大なパイプオルガンを使って演奏していた。

明日、もう一度このあたりに来て、博物館や美術館も観たいし、大聖堂の塔にも登れるらしいので、鐘がなるちょうど正午をめざしてみようと思っている。
天気が回復してくれるといいな。

電気屋に行ってUSB充電アダプタを購入(これで安心)

充電アダプタが壊れたので、iPhoneもiPadもMacBookもモバイルバッテリーも充電できなくて困っていたのだが、なおみさんに電気屋を教えてもらって、行ってきた。
Omega electronic という店が市内に2軒あって、この手のオタクな電気製品はこちらにあるだろう、とのこと。

行ってみたら、想像していたような、日本にあるような家電量販店ではなくて、小さな電気屋の、ただし品揃えが「その手」のものに集中しているという感じの店だった。

目的のものはすぐに見つかった。
ふたつ買った。
ひとつはUSB-Cの給電口がひとつだけついているもの。
もうひとつはUSB-Aの給電口がふたつと、USB-Cの給電コードがくっついているもの。

どちらもコンセントはドイツ式のものになっているので、アダプタをかます必要はない。
ただし、日本に持って帰っても使えず、無用の長物となってしまう。

まあいいだろう。
これで安心して電子機器が使える。

旅先で給電が必要なものって、USB給電のものしかない。
そのほかになにがある?
ドライヤーとかはホテルに備えつけてあるし、そもそも私はドライヤーを使わない。
ほかには思いつかないし、実際に持ってきていない。

いっそ、ホテルのコンセントが全部USB対応だったらいいのに。
羽田の国際ターミナルの搭乗待合室には、椅子のところにUSBの差し込み口があって、充電できるようになっていた。
これはありがたい。
これでいいのだ。

シャルシュタットでの音読ワークを見学する

今回の旅の主目的のひとつ。
音読トレーナーのなおみさんが、友人の日本人ピアニスト・ゆみさんと組んで、シャルシュタット(フライブルクの隣)の高齢者介護施設で不定期におこなっている音読療法を使ったケアワークを見学すること。

数年前から「行く行く」といっていながらなかなか来れなかったので、行く行く詐欺にならなくてよかった。

午前9時すぎになおみさんが車でホテルの前まで迎えに来てくれた。
乗りこんで、さっそくシャルシュタットに向かう。
シャルシュタットにはピアニストのゆみさんが一家で住んでいて、介護施設はそのすぐ数軒隣にあるのだ。

ときおり強い風雨がまじるあいにくの天気だが、私はわくわくしていた。
ゆみさんとは初対面だ。
合流してあわただしく挨拶したあと、すぐに介護施設を訪問した。

施設ではこちらを待ちかまえていて、すでに入所者と職員のみなさんが勢揃いしていた。
片側にキッチンがしつらえられたオープンなミーティングスペースで、なおみさんとゆみさんはさっそく楽器の準備に取りかかる。
この施設にはピアノがないので、キーボードを持ちこんでいるのだ。

私のことも紹介してくれた。
ドイツ語なのでなにをいっているのかわからないけれど。
職員のみなさんからかたい握手で歓迎された。

握手といえば、ドイツの方の握手はとても力強くて、ときに握りつぶされそうになる。
女性でも手加減なし。
こちらのほうが力負けしてしまう。

さっそく始まった。
撮影はできないので、私はようすを簡単にスケッチした。
ご挨拶、呼吸法からはじまり、なじみのドイツ歌曲の歌詞を使って音読、リズム読みなど、これは日本での音読ケアワークと変わらない。

テンポがいい。
とてもにぎやかでパワフル。
職員のみなさんも協力的で、いっしょに盛りあげてくれている。
盛んに会話が飛び交っている。
歌もはじまり、次々と何曲も歌っていく。

そんなようすを横からながめながら、私はなぜか、胸が熱くなるのを覚えた。
東日本大震災を機に私が日本ではじめた音読療法が、こんな離れた異国の地でいきいきと使われ、現地の高齢のみなさんを癒やし、活気づけている、そんなのを目のあたりにして、なにかがこみあげてきたのだ。
本当にうれしく、ありがたいと思った。

ケアワークが終わってから、所員の方からおみやげのチョコレートをプレゼントされた。
これも思いがけずうれしいことだった。

片付けて施設をあとにし、今度はゆみさんのお宅にお邪魔した。
お菓子とお茶をどんどんすすめられた(大阪のおばちゃんノリで)。
お嬢さんも付き合ってくれた(かわいらしい17歳、しかしこちらではもうお酒を飲めるそうな)。
ドイツのこと、ドイツ人と日本人のこと、介護ワークのこと、若い人の学校や仕事のことなど、たくさんおもしろい話を聞かせてもらった。
本当に楽しいひと時だった。

たっぷり2時間近く話しこんで、ようやくゆみさんの家をあとにした。
ゆみさんとは日曜日の「日本文化の日」のイベント会場でも会えるはずだ。
こちらも楽しみだし、私もこちらでピアノを演奏することになっている。

ピアノ七十二候:啓蟄/菜虫化蝶(YouTube)

日本の二十四節気七十二候にちなんだピアノの即興演奏です。
啓蟄の末候(9候)「菜虫化蝶(なむしちょうとなる)」をイメージして演奏しています。

映像はこちら

5日おきに新曲が配信されます。
よろしければチャンネル登録をお願いします。

2019年3月15日金曜日

フライブルクの朝散歩

フライブルクに到着してからは悪天候で、今朝も雨降りだった。
といっても、土砂降りというわけではなく、曇の合間にときおり小雨がやってくる程度だが、なにしろ風が強い。
体感で5度くらい気温が低い。

そんななか、朝食をとりに駅向こうに出かけてみた。
私が泊まっているホテルは、いわば駅裏の地区にある。
駅に近くてそこそこ便利なのだが、駅表は旧市街地や大聖堂があって街の中心部になっている。
そちらまで、駅と線路を渡るトラムの橋を渡っていく。

近くの教会の公園では、日本と似ているなにかのナッツの木や、日本とはちょっと違う種類の木蓮が咲きはじめている。

朝食はシュトゥットガルトとおなじようなベッカライ(パン屋)でパンとコーヒーを買い、店のなかのテーブルで食べる。
大量のパンが売られているが、これ全部ちゃんと売れるんだろうかと心配になる。
が、通勤のおじさんやおばさん、お兄さん、お姉さんが次々とやってきて、買っていく。
店で食べる人はいない。

店のおねえさんから、
「Where are you from?」
と訊かれた。
Japanと答えたら、だと思ったといわれた。
わかるのかね。

みなさん、朝が早い。
8時には出勤していて、清掃の仕事などすでに働いている人もいる。
雨に濡れた石畳が美しい。
この石畳、補修しながらとは思うけれど、いったいどのくらいの年月使われているんだろう。

ドイツのめちゃくちゃうまいドライジン

ドイツではどこでもビールがおいしいことは知っていたし、実際にそうだ。
日本のように、キリンとかアサヒといった巨大メーカーが市場を占有していることはなく、どこに行っても地ビールがあるし、店に入ればその店のハウスビールがあることが多い。
どれも特徴があって、うまい。

ビールのほかに、スーパーの酒類の棚には大量のワインがならんでいる。
このところドイツでは、ビールよりワインの消費量が増えているらしい。
赤も白もリーズナブルな値段のさまざまな種類のボトルがたくさんならんでいる。
だいたい5ユーロ前後。
もっと安いのもある。
このくらいだと家庭の食卓でも気軽に飲めるだろう。

ワインショーレといって、ワインを炭酸水で割ったものをランチでも気軽に飲むのがはやっているそうだ。

私は蒸留酒が好きなので、ドイツの蒸留酒事情を聞いてみた。
昨夜のフライブルク夕方散歩のとき、見つけた煙草とお酒の店にはいって、店員にたずねてみた。

ドイツで作られているウイスキーはとても少ないらしい。
そのかわり、ジンならいろいろ作られていて、おいしいものがあるという。
さっそく1本、おすすめのものを買ってみた。

ウインター・ブランド・なんちゃら

めちゃくちゃうまいんですけど。
ビーフィーターとかタンカレーとか、イギリスのジンを飲みなれているけれど、ドイツのジンもレベルが高い。
びっくりした。

USB充電アダプタ壊れた/ドイツWiFi事情

USB給電方式の器機を複数つなげられるアダプタが壊れた。
iPhoneもiPadもMacBookも充電できなくなった。
比較的大容量のモバイルバッテリーも持ってきていたので、いまはそれでつないでいるが、あまり持たないだろう。
今日中にどこか大きめの電気屋に行ってUSB充電アダプタを調達してこなければ。

ひょっとすると、ドイツの240ボルトのコンセントから日本の方式のコンセントに変換するアダプタのほうが壊れているのかもしれない。
こちらでこれを調達するのは面倒そうだ。
どこに行けば買えるんだろう。

いずれにしてもなおみさんに相談してみよう。
知り合いがいてよかった。

ところで、これまでの通信事情。
まあそこそこ、なんとか途切れることなくネットにつなげてこれたけど、あまり安定的というわけではなかった。

iPhoneにはヨーロッパ全域をカバーしているらしい使いきりのSIMカードを挿している。
4ギガ使えて3千円くらい。便利だし、そこそこ安いけれど、4ギガという制限がどの程度なのか、よくわからない。
いきなり使えなくなったら困る。
いまどのくらい使ったのか、調べる方法が書いてあったけど、うまくいかなかった。

WiFiは空港や大きなターミナル駅では使えるけれど、不安定だ。
北京空港ではついぞつなぐことができなかった。
そのかわり、SIMカードは北京でも使えた。
挿しっぱなしにしてあったので、フライトの途中でも日本、中国、ロシア、エストニア、みたいにいちいち拾っていた。

フランクフルト空港ではばっちり使えた。

シュトゥットガルトのホテルでは不安定だけど使えた。
ただ、速度がやたらと遅くて困った。
大きなデータのやりとりは不可能。

フライブルクのホテルはばっちり使える。
いまこれはホテルでつないでいるが、安定している。
ただし、速度はそんなに信頼できない。
昨夜もサイズの大きな動画データをYouTubeにアップロードしたけれど、やたら時間がかかった。
まあ、できないことはなかったけれど。

追記:
調べたら、壊れたのはUSB充電アダプタのほうだった。
AUKEYの。
近くに電気屋があることもわかったので、あとで買いに行ってこよう。
電源関係の予備を持っていないのはこわいと思った。

あと、たったいま、iPhoneをロフトから下の階まで落っことした。
幸い、割れてもいなければ、壊れてもいなかった。
これもまた、壊れたら困るな、きっと。
チケット関係とか、身動き取れなくなりそうだ。