2012年7月31日火曜日

げろきょ公演「キッズ・イン・ザ・ダーク」は予約を締め切ります

コンテンポラリー表現の世界で唯一、未開の地であるところの朗読表現に果敢に切りこんでいる現代朗読。
その最高峰のたった一回きりの公演が、四日後におこなわれる。

今回の公演はげろきょ始まって以来の最高難度のパフォーマンスとなっている。
つまり、遠慮なくお客さんに「現代朗読の到達点」を味わってもらいたいのだ。
もちろん、失敗したり、段取りが間違えることは、予定ずみ。

たぶん、なにか予測しないことが起こるだろう。
これまでもそうであったように。
そのことすら、現代朗読の特徴なのだ。
予定調和的なものが「ライブ」すなわち私たちが生きて存在していることであるはずはないのだ。

現代朗読においては、失敗を恐れない。
もし失敗しても心身が固まってフリーズしてしまわないように、そのつど柔軟に対応できるようにするために、朗読テキストはしっかりと読みこんでおく。
演出である私が出演者にお願いするのは、ただその一点のみだ。

もうひとつ、私がちょっとだけでしゃばっていることがある。
それは音楽をライブで担当するということだ。
私は公演当日、朗読はしないが、朗読者たちとともにステージに立っている。
演奏者という共演者として。
つまり、演出家が共演者としておなじステージに立っているということだ。

もし不慮の事態が起こったとき、私は演出家というステージを熟知している立場を利用して、音楽演奏で対応をする。
朗読も音楽も、おなじ音声表現であり、オーディエンスと共感の場を作る方法としては大変近い立場にある。
そして私は数えきれないほどのライブ経験を踏んできている人間だ。
なにか不測の事態が起こっても、かならず対応できる自信がある。
尊大ないいかたかもしれないが、そう思っているのだ。

出演者は安心感をもって、自分自身をのびのびと表現してほしい。
お客さんはなにが起こるかわからない奇跡の時空間を楽しんでほしい。
現代朗読は行き詰まっているコンテンポラリー表現の世界に大きな風穴をあけ、自由でのびのびとした表現の楽しみを多くの人にもたらすのではないかと、私は明るい展望を持って信じている。

「日めくりスケッチ展」始まる、エバーグリーンの鉢

今日から下北沢〈Com.Cafe 音倉〉にて、私の「日めくりスケッチ展」がスタートした。
昨日はその作品搬入をおこなった。
小さなスケッチばかりとはいえ、額装したものが50点近くあるので、カーシェアリングで車を借りて運んだ。

音倉ではいつもの小泉さんが展示を手伝ってくれて、小一時間で終了。
今回、準備が間に合わなくて、追加の作品が何点かと、ポストカードや小さな額に入れたプリント作品などもあるのだが、それは近日中に持っていくことにした。

ネットで注文した鉢植えのエバーグリーンが、夜届く。
これは花屋では人気の植木で、下北沢の花屋にも置いてあるのを見たが、けっこう高い。
しかし、ネットで見たら運送費をいれてもかなり安かったので、注文してみた。

届いた箱にきちんと梱包されていて、傷はなし。
おまけの小鉢と、担当者の手書きのメッセージカードがそえられていて、大変感じがいい。
またここで買おう、という気になる。

さて、今日から始まっている「日めくりスケッチ展」だが、カフェ&ランチタイムに行っていただければ、お茶を飲みながら展示を見ていただけるようになっている。
夜も営業しているが、ライブをやっていることがあるので、ランチタイムがおすすめ。
また、8月のお盆前後には夏休みもあるとのことで、ご注意を。

音読日めくり7月31日:尾崎放哉

「音読日めくり」を更新しました。
今日の音読日めくりは、尾崎放哉の自由律俳句です。

近所の新代田駅のすぐ近くにピピカレーというカレー屋があります。
一昨年の暮れに開店して、当初はお客さんが少なくて苦労していましたが、なかなかおいしくて独特のカレーがだんだん評判になり、いまはいつ行っても満席の人気店になってます。
そこのカレーは野菜たっぷりの彩り鮮やかなもので、その彩りにひかれてスケッチしてみました。

2012年7月30日月曜日

ピアノ曲集『夢の中の夢』樹原涼子(音楽之友社)

ツイッターでなんとなく目について、なんとなく気になったので、Amazonで注文してそれをつぶやいたら、作曲者ご本人からリプライをいただいてびっくりした。
それはともかく、本が今日届いたので、さっそく弾いてみた。

ピアノ曲集なんて買うのは何十年ぶりだ。
ピアノを習っていた子どもの頃は、レッスンで習う課題曲以外にも、いろいろと自分で好きな曲を買ってきては弾いていた。
たいていが一曲いくらで買える全音のピアノピース曲だった。
難しい曲にも挑戦して、ひとり悦に入ったりしていた。

この『夢の中の夢』に収録されている曲は、全然むずかしくない。
むしろやさしい曲ばかりで、多少譜が読める人ならほとんど初見で弾けるだろう。
やさしい曲ばかりなのだが、とても味わい深い音が、そっと大切に集められている、といった印象の曲集だ。

現代においてピアノ曲を書くというと、ついつい難曲になりがちだったり、多くの音を重ねがちだったり、複雑な構造を持たせてしまったりと、いわゆる「足し算」的な作曲になりそうだが、樹原さんはそこのところをとても抑制して、コントロールしている。
むしろ音を引いていって、必要最小限の音を、必要最小限の「動き」に抑えて、空間の広い響きを作っている。

これはピアノ弾きには楽しい曲集だ。
これを弾いていると、広いホールにおかれたグランドピアノに向かいたくなる。
その一方で、最初の曲「笑顔」などは、家庭に置かれたアップライトでも充分に楽しめるだろう。
だれを相手に弾くか、ということにもよる。
よい聴き手がほしくなる曲集ともいえる。


「音読ひめくり」スケッチ展、好評につき第2弾開催決定

6月3日にクロージングライブとともに展示を終了した「音読ひめくり」スケッチ展ですが、好評につき、第2弾が7月末から8月ほぼいっぱい、丸一ヶ月の会期で開催されることが決まりました。

私がブログ「音読日めくり」に掲載している花や葉っぱ、お菓子や身近な雑貨などの水彩スケッチを約50点、下北沢〈Com.Cafe 音倉〉の壁面に展示します。
新作も追加して、またもやにぎやかな展示になりそうです。
ランチタイムや、ライブのない夜の営業時間内に、ぜひ足をお運びください。

スケッチ作品のほか、書籍版「音読ひめくり」やポストカードなどの販売も予定しています。

「音読ひめくり」スケッチ展 Vol.2
◎会期 2012年7月30日(月)〜8月25日(日)
◎会場:Com.Cafe音倉(井の頭線・小田急線下北沢駅西口・北口徒歩2分)
◎入場無料 飲食代のみお持ちください

音読日めくり7月30日:小川未明「自由なる空想」

「音読日めくり」を更新しました。
今日の音読日めくりは、小川未明「自由なる空想」です。

畑で採れた小さめのじゃがいもばかりを集めて作った煮っ転がしもを描いてみました。
一個一個違う顔をしていて、これがなかなかかわいいのです。

2012年7月29日日曜日

2級ボイスセラピスト講座、NVC日本語本の出版お祝い

今日は朝から「2級ボイスセラピスト講座」だった。
午前10時、すでに猛暑のなか、羽根木の家でスタート。
今回は名古屋からひとり、沼津からふたりと、遠方の参加者がおられた。
前回は新潟や知多から来られた方もいたり、わざわざ遠方から来られる方が増えている。
地域にかぎらず、音読療法にたいするニーズが確実に高まっている証拠だろうと思う。

今回は音読療法士マスターのピリカさんが手伝ってくれた。
受講者のみなさんは暑さにもめげず、午前・午後とみっちり熱心に受けてくれた。
おかげでこちらも貢献のニーズが満たされて充実した気持ちだったが、さすがに疲れた。
次回、8月の2級ボイスセラピスト講座は、8月26日(日)の開催です。

夜は安納ケンちゃんが監訳したマーシャル・ローゼンバーグのNVCの本の出版を、NVCの仲間たちお祝いする会。
まりこが料理を用意してくれた。
10数名の仲間が集まって、お祝い。
楽しい会となった。

私は疲れたので、皆さんより一足先に失礼させてもらって、明日の日めくりスケッチを描く。
じゃがいもの煮っ転がしのスケッチ。
そして明日は下北沢〈Com.Cafe 音倉〉への「日めくりスケッチ展」の搬入が朝からある。
これの準備をまったくしていないので、明日は早起きして、朝から絵の準備をしよう。

音読日めくり7月29日:岡本かの子「越年」

「音読日めくり」を更新しました。
今日の音読日めくりは、岡本かの子「越年」です。

花柄のコーヒーカップを描いてみました。
柄がけっこう複雑で、時間がかかりましたが、楽しかったのです。

2012年7月28日土曜日

猛暑、音読ケア、エル・フラメンコ、公演稽古、コクリコ坂

北陸から東京にもどったら、連日猛暑。
しかも、一日一日、暑さの厳しさが増していく感じ。
夏は好きだが、この独特の東京の暑さにはまいる。
年齢も関係しているのかもしれない。

50歳を超えると、20代の頃より5度増しの暑さになると思ったほうがいい、となにかの情報にあった。
つまり、今日のように35度あったときには、40度くらいの対策をしたほうがいいということか。
とくに羽根木の家にはエアコンはなく、いくら古民家で風通しがよく緑が多いといっても、35度は35度。

今日はかなりこたえた。
朝からライブワークショップの今期5回め。
6回めは最終日で、ライブ本番なので、本番前の最終日といえる。
ライブの進行にそって、みっちりと稽古。
暑さのなか、これがかなりきつかった。
みんなもきつかったろうと思うけれど、私もかなりしんどかった。

昼はひさしぶりにピピカレーに行く。

昨日は午後、音読ケアの個人セッションがあった。
福すずこさんが、まだ経験値の浅い音読療法マスターたちのために、実証的に受けてくれるというので、ありがたくやらせてもらう。

夜は新宿の〈エル・フラメンコ〉に行き、フラメンコを堪能した。
現在のメインはヘスス・オルテガというダンサーで、彼もすばらしいが、サイドや音楽陣もすばらしかった。
このチームはとても作りこんで洗練されたプログラムを披露してくれたが、私の好みとしてはもう少し即興性があって自由度が高いほうがいいかも。

今日の午後は「キッズ・イン・ザ・ダーク」のゼミ生稽古。
数人をのぞいてほとんどのゼミ生出演者が、暑いなか、集まってくれた。
今回の公演はこれぞ現代朗読、といったふうに、いわゆるストーリーを伝える普通の朗読ではなく、身体性を生かしきったエチュード的なコンテンツを次からつぎへと繰り出す方式のものなので、かなりこみいっている。
通常なら稽古がたくさん必要なのかもしれないが、あえて稽古は最小限にしてある。

このあたり、私はゼミ生に絶大な信頼を持っている。
なにが起こっても、どんなハプニングがあっても、きっとそのままそれを「ライブ」として吸収して、進めていってくれるだろうと思うのだ。
そうすると、逆に稽古をあまりせずに、ハプニングが起こることを期待する気持ちが生まれてしまう。
ま、それはほどほどにしておいて。

ともあれ、現在のゼミ生がげろきょ始まって以来最高のパフォーマンスクオリティを持っている人たちで、しかしそのポテンシャルはまだ半分も出しきっていないはずで、公演当日と、今後がどのようになっていくのか、非常に楽しみであり、幸福な展望を持っているのだ。

公演「キッズ・イン・ザ・ダーク」の詳細はこちら。
とURLを張ろうと思ったが、お客さんがすでにけっこう予約してくれているみたいで、あまりお客さんが多すぎると今回のパフォーマンスに支障が出るので、もう宣伝しないことにした。
できるだけ少数のオーディエンスと濃密なコミュニケーション空間を作りたい。

夜はDVDになったジブリ映画「コクリコ坂から」を大スクリーンで観て、明日の「日めくり」配信のための珈琲カップのスケッチを描いた。
明日は朝から2級ボイスセラピスト講座。
夜もなんかあったっけな。
明後日は自分のスケッチ展の搬入日だけど、まだなんにも準備ができてない。

音読日めくり7月28日:宇野浩二「質屋の小僧」

「音読日めくり」を更新しました。
今日の音読日めくりは、宇野浩二「質屋の小僧」です。

昨日は土用の丑の日だったとのことです。
土用といえばウナギですが、ほかにも梅干しの土用干しというのがあります。私の実家でもやってました。
一番暑い時期に、かんかん照りのなか、直日で干すんです。なかなかの荒技です。

2012年7月27日金曜日

音読日めくり7月27日:上田敏『海潮音』のシャルル・ボドレエル「薄暮の曲」

「音読日めくり」を更新しました。
今日の音読日めくりは、上田敏『海潮音』のシャルル・ボドレエル「薄暮の曲」です。

田舎に帰省したとき、サザエの壷焼きをたくさんいただきました。
炭火で焼いて、醤油をたらしていただくと、絶品ですね。
いただいたあと、残った蓋をスケッチしてみました。
サザエとはいえ、命をいただいたのだという思いが、いまさらながらわいてきました。

おいしい北陸

東京には日本のあらゆるものが集まっている、とはいえ、実際はそうでもない。
たとえば食材にかんしていえば、そりゃまあ、目の玉が飛び出るくらいのお金を出せばいいものが口にできるが、地元ではごく庶民的な値段だったりする。
やはりうまいものはその土地でいただくのが一番。

私の実家は北陸・福井だが、ここは食材に関していえば相当いける。
実はそのことを東京に出てくるまできちんと自覚していなかった。
東京で暮らしはじめてみると、地元の食材のすばらしさにあらためて気づかされた。

というわけで、月に一度くらいの割合で帰省するタイミングでは、おいしいものを補給するのに忙しい。

今回はまず、サザエのつぼ焼き。
これは炭火で焼くのが一番。
炭火をおこすのは面倒だけれど、数分でグツグツと煮立ってきたところへ、すかさず醤油をたらして、完成。
熱いうちにいただく。
海の香りと栄養がギュッと濃縮されていて、申し訳ないほどにおいしくて、命をいただくことに感謝しつつ。

夏野菜が畑では全盛になっていた。
キュウリ、トマト、スイカ、ズッキーニ、豆、ししとう、オクラなど、どんどん採れる。
朝方、それらを収穫してきて、料理に使う。
バジルを散らしてオリーブオイルをかけた焼きナス、薄切りにしたナスのグラタン、サラダはもちろん、煮物もいいし、塩麹を使った酢の物もいける。

蕎麦。
季節は初冬だが、実は夏が一番うまい。
いや、質的には夏はあまりよくないのだが、冷たい水で締めた蕎麦を大根汁でいただくのは最高。
だしは取らない。薄口醤油を大根汁割っただけのそばつゆ。

最後はふたたび海の幸。
夏の海といえば、イカ漁最盛期。
スルメイカ一杯が80円くらいで、そのへんのスーパーで売っている。
それをさばいて、ワタもいっしょに酒と煮て、みりん、醤油で味付け。
ややこしいことはなにもしなくてもうまい。
それを朝からいただく。

今日、東京にもどってきた。
さて、どんな工夫をして食生活を立てていくかな。

2012年7月26日木曜日

音読日めくり7月26日:北原白秋『水墨集』「落葉松」

「音読日めくり」を更新しました。
今日の音読日めくりは、北原白秋『水墨集』「落葉松」です。

田舎の畑でできたキュウリが送られてきました。
夏野菜のシーズンです。
畑ではキュウリ、メロン、スイカ、茄子、オクラ、ししとう、インゲン、ピーマンと、たくさんの野菜が毎日のように採れます。
うれしい季節です。

2012年7月25日水曜日

表現の三つのフェーズ

photo credit: seven_resist via photo pin

表現行為には三つのフェーズ(現象面)があると私はかんがえている。
ひとつめのフェーズは表現行為の原初衝動であり、人の最深部にある。
純粋に表現したい、自分を表したい、言葉にできなくてもとにかく踊ったり歌ったり身体が動いてしまう、その衝動だ。

幼い子どもを観察すると、だれにでもその衝動があることがよくわかる。
子どもはだれに頼まれてもいないのに、勝手に歌をうたったり絵をかいたり、踊ったり走ったり、なにか作ったりする。
大まじめで自分の世界にはいりこんでやっている。
自分が楽しんでいるということにすら気づかないほど、忘我の境地で集中している。

子どもがなぜそんなことをするのかというと、人の子どもでなくても動物の子ども——たとえば犬や猫、鳥もそうだが——はみずからがここに存在していることを訴えるためだ。
とくに子どもは大人や世間の助けなしには生きていけない存在なので、自分の存在を懸命にアピールする
アピールすることを喜ばしいと思うように、遺伝子にプログラムされている。
そのようにプログラムされた遺伝子だけが淘汰の過程で生き残ってきた、といいかえてもいいかもしれない。

それらのことを表現の第一のフェーズ「純粋表現」と呼ぶ。


つぎに、子どもがそうやっていると、だれかが——たとえばお母さんが「あら、ひろちゃん、上手ね」と絵や歌をほめたりする。
子どもはそのとき、自分が表現すると人が喜ぶことがある、ということに気づく。
そしてしだいに純粋表現ではなく、対人表現へと意識を向けはじめる。

この段階が表現の第二のフェーズ「コミュニケーション表現」だ。
人は社会的動物なので、だれかと「つながり」を持って生きることを本能的に重要視している。
だれかとのつながりを断たれると、死の衝動にかられるほどの孤独感にさいなまれる。
つながりを断たれた人は、こころの病におちいったり、ねじれたメッセージとしての犯罪行為やいじめなどに走ったりする。

つながりの質を高めるための手段として、人は表現行為を使う。
表現は芸術表現だけではない。
スポーツや料理などの家事や、仕事やゲームですら、つながりの質を確保するためにおこなっている。
コミュニケーションとしての表現にほかならない。
だれかとつながることの純粋な喜びをもっておこなう表現、それが「コミュニケーション表現」だ。


第三のフェーズは「社会規定的表現」とでもいうものだ。
社会的に規定された枠組みのなかでおこなわれる表現。
たとえば、お金を稼ぐためにおこなわれる表現。
ライブや公演、あるいは絵を売る、売文する、といったことで、これはさまざまな制約や規定が表現者に課されてくる。

子どもがお母さんに絵をほめられると、やがてほめられたいがために絵を描くようになる。
つまり、上手に描こうとしたり、どういう絵だとほめられやすいか計算するようになる。
自分の外側に表現する喜びの基準を置くようになる。

また子どもの純粋表現は、成長するにしたがって「静かにしなさい」「じっとしてなさい」など、社会的に都合の悪い行為をたしなめられたりしつけられたりして、しだいに純粋に表現することをためらったり、自制したりするようになる。
つまり、大人になっていく。

最初は純粋な喜びをもってやっていた第一・第二フェーズの表現も、表現行為を価値判断される、金銭などに換算される、人と優劣を比較される、批判される、といった外部的・社会的評価にさらされるようになると、それはもう苦しみをともなうものになってくる。

すくなくとも私は、世間から評価されるために表現をやっているわけではない。
社会から自分自身を規定されたくなどない。
社会に規定されたり、評価されるというのは、自分を商品化することと同義だ。

私は、私の人生は、だれかの商品ではない。
私自身のものだ。

私は自分の純粋な表現欲求や、つながりを求める気持ちや、だれかに貢献したいニーズにしたがって行為するのであって、だれかに規定されて動くのではない。
というより、規定されて動きたくはない。
だれかに規定されないために表現行為をおこなっている、ともいえる。


すべての人はそれぞれが大切にされる権利を持っているものであり、だれかがだれかを支配したり規定したりするものではない。
第三のフェーズを注意深く、卵の殻をむくように、埃を払いおとすように、私のまわりから取りのぞいていきたい。

音読日めくり7月25日:伊藤野枝「成長が生んだ私の恋愛破綻」

「音読日めくり」を更新しました。
今日の音読日めくりは、伊藤野枝「成長が生んだ私の恋愛破綻」です。

フウセンカヅラの蔓にはかわいい実というか袋がたくさんなります。
ホオズキにもちょっと似てますが、中身をまだ確かめたことはありません。
今度、中を開いてどうなっているか見てみることにします。

2012年7月24日火曜日

お金がないと参加できないものはなにひとつない

photo credit: Mukumbura via photo pin

現代朗読協会ではお金の扱い方についてひとつの明確な方針を持っている。
これは共感的コミュニケーションから来た考え方だ。

「お金がない、という理由で参加できない講座やゼミはなにひとつない」
というものだ。
現代朗読協会の活動の中心は「ゼミ」と呼ばれる一種の表現研究会のような場なのだが、そこにはいちおう、規定の参加料金が決められている。
そしてほとんどの参加者は規定の金額を払ってくれている。
そのお金は現代朗読協会が活動するための経費、場の維持費、継続のための費用として使われる。
そこには利潤は含まれない。
利潤はないので、蓄財もされない。

蓄財がないと将来が不安ではないのか、と考える人もいるかもしれない。
が、私たちは蓄財という形で将来にそなえようとは考えない。
物質ではなく人的なもの、参加者が主体的に支えてくれることを継続することで、成長する未来を確保しようと努力する。

もっとも、こういう考え方を示すと、参加費を「値切ろう」とする人がかならず現れる。
「自分はいま経済的に苦しいので、参加費を半額にしてほしい」
といってくる。
その人が悪いのではない。
私たち全員がそのような経済システムのまっただなかにいて、効率主義、経済至上主義の考え方を徹底的に刷りこまれているのだ。
そこから逃れることはとても難しい。

私たちは最小限の労力や金額でなるべく多くの利益や物品を得ようとする。
そのように教育されつづけてきたし、いまもそのような考え方のなかに身をおいている。
モノやサービスは、それがおなじ質ならば安ければ安いほどいい、と思っている。
しかし、本当にそうだろうか。

おなじ質のモノが売られていたとき、私たちは反射的に安いほうを手に取るが、そのことによってだれかが犠牲を払っているとはなかなか考えがおよばない。
ひょっとしておなじ質のものではあるけれど、高い値段のほうを買うことによってだれかの命が救われることだってあるかもしれない、という想像はなかなかしにくい。
しかし実際にそのようなことがある。

話がそれた。
ゼミの参加費にしても、
「いくらでもいいですよ。あなたが無理なく継続的に払える額を自分で決めてくれていいんですよ」
というと、反射的に安くしたい、と思うのは現代社会に生きているすべての人ならまったく不自然なことではない。
しかし、その反射をやめたいし、やめてもらいたいと考えている。

「お金がないけど参加したい」
という人がいる一方で、
「参加したいけどお金がない」
という人がいる。
これ、おなじことだと思いますか?
私はまったく違うマインドがそこにあると考えている。

前者はとにかく「参加したい」のだ。
参加するために、お金というものが必要らしいが、あいにく持っていない。
そういう人に対しては、私は「お金以外であなたが貢献できることはありますか?」と聞くことができる。
後者に対しては「ああそうですか。それは残念ですね」と答えるしかない。

前者に対しては、私はとにかく、なぜ参加したいのか、ゼミに参加することがあなたにとってどのような必要性があるのか、そのことを知りたいと思う。
その気持ちにつながっていきたいと思う。
その気持ちにつながれたとき、私たちとその人のあいだにはある共感の質が生まれ、必ずしも貢献が金銭でなくても参加してもらえるのだという理解も生まれる。

私がもっとも寂しく感じるのは、
「お金がなくなったのでもう参加できません」
という言葉をゼミ生から聞くときだ。
そんな理由で参加をとりやめることができるくらい、私とあなたのつながりは細かったのかと知らされて、とてもつらく、悲しくなる。
ときにそのことで自分を責めてしまうこともある。

ボイスセラピストに大切にしてもらっていること

photo credit: Beverly & Pack via photo pin

ボイスセラピー(音読療法)では共感的コミュニケーションを用いる。
ボイスセラピストの資格取得講座でもかなりの時間をさいて受講者にその方法を学んでもらい、日々の実践で身につけてもらうようにしている。

共感的コミュニケーションでは「いまここ」にある自分と相手の感情とニーズを大切にする。
なので、セラピープログラムも、刻一刻と、自分と相手の状況・状態によって変化する。
つまり、即興性をとても大切にしているのだ。
臨機応変といってもいい。

プログラムは細部がユニット化されているので、組み合わせは自由にできる。
細部のアレンジもボイスセラピスト個人が工夫してもよいことになっている。
音読療法というその原理や原則、目的がしっかりと認識できていれば、それぞれが個性を生かしたセラピープログラムを作ってもらっていいと思っているし、クライアントもまたさまざまな人やケースがあるので、プログラムの固定化はあまり意味がないだろう。

世の中にはいろいろなセラピーがあって、なかにはプログラムが厳密に決まっていたり、セッションをおこなうときセラピストがいちいち進行内容について詳細に報告しなければならないようなものもあるようだが、音読療法ではそういう窮屈なことはおこなわない。
音読療法で大切にしているのは、セラピストがいつもマインドフルで共感的であり、相手と自分のニーズにフォーカスしながらいつも柔軟で個性的なプログラムを実施できるスキルとマインドである。

ボイスセラピストの資格取得講座には2級、1級、マスターコースと、それぞれスキルレベルの違いはあるが、大切にしていることはひとしく共通している。
そして資格取得後もボイスセラピストは自由に後続の講座に無償で参加することができる。
最新の音読療法の知識をいつでも更新しながら、スキルアップするチャンスをも提供している。

次回2級ボイスセラピスト講座の開催は今週末7月29日(日)。
詳細はこちら

音読日めくり7月24日:泉鏡花「外科室」

「音読日めくり」を更新しました。
今日の音読日めくりは、泉鏡花「外科室」です。

東側のガラス窓があまりに直射日光まっしぐらなので、フウセンカヅラの鉢植えを置いてみました。
まだ小さいですが、これからどんどん伸びてグリーンカーテンになってくれることを期待しています。
その葉っぱをスケッチしてみました。なんだかイタリアンパセリの葉っぱにそっくりです。

2012年7月23日月曜日

現代朗読ワークショップを出張させる(希望)

今日、実家に帰省して、へしこの押し寿司(たぶんオリジナル)をおいしくいただいた、ということをブログに書いたところ、「へしこは一度食べたけれど、しょっぱくて全然おいしいと思わなかった」という残念なコメントが。
とはいえ、この手のコメントには驚かない。
たいていのへしこ初心者が、このようにいうからだ。

へしこの食べ方にはコツがあるし、それがわかればこの食材にギュッと詰まっている味覚の豊穣さにただただ感歎するばかりであろう。
フォアグラだのウニだの霜降り牛肉だの、いろいろありがたがってのたまう人がいるけれど、どれもへしこの豊穣さにはかなうまい。
もっとも、それがわかるようになるには修養が必要だ。
よいワインの味がわかるようになるには修養が必要なように。

へしこの分布は、私が知るかぎり、北から西に向かって石川県(能登・加賀)、福井県(越前・若狭)、京都府北部(丹後)、兵庫県北部(但馬)、鳥取県、島根県となっている。
先日、徳島にげろきょのワークショップで行って、うどんやらハモやら徳島ラーメンやらで味をしめたげろきょメンバーが、私の書きこみを見て「次はへしこだ!」といっている。
よろしい、私がへしこの真髄を伝授してさしあげよう。
へしこは上記のとおり分布が広いので、この地域であればどこへでも駆けつけたい。

そんなわけで、上記に該当する地域の方で現代朗読を体験してみたいという方がおられたら、すぐにご一報ください。
相談に乗りますよ。

苦手な天ぷらを克服できるか

料理する環境が変わって、揚げ物を気軽にできるようになった。
私は揚げ物が大好きだ。
フライも好きだし、天ぷらも好きだ。
しかし、これまでなぜか、天ぷらには苦手意識があって、実際に作っても失敗することが多かった。
そこで、今回はちゃんと下調べをしてから挑戦してみることにした。

料理の科学、という言葉があって、料理を科学的な目で見て、原理を理解しながらやろうというのだ。
そうすると、ただ手順を踏んでいるだけではなく、自分がいまなにをやっているのか、なんのためにそうしているのか理解できるので、納得感がある。
私はそういうのが好きだ。

天ぷらを科学しているサイトをいくつか読んでみた。
たとえば、こちら

ふむふむ。
私がうまくできていなかったのは、衣のネタの作り方の部分らしい。
冷水を使って、グルテンが出ないように水と小麦粉はざっくりと混ぜる。
ドロドロにならないようにサラサラにしておく。
油の温度も低くならないように。

で、やってみた。
ズッキーニとオクラを揚げてみたのだが、かなりうまくいった。
後日、茄子とピーマンでもやってみたが、これは油断して油の温度が低くなりすぎて、失敗。
しかし、なんとなくコツはつかめた。
またやってみよう。

2級、1級ボイスセラピスト講座、オーディオブックリーダー養成講座

先日の徳島の現代朗読ワークショップに参加された方から、お礼メールをいただいたので、一部を紹介したい。

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おはようございます。先日の徳島朗読セミナーでは大変お世話になりました。
セミナーは本当に面白かったです!朗読だけに留まらず、全てにおいて心が解放された気がしました。先生に教えて頂いた事は、自分を取り囲む全ての物事との接し方、自分という者の外に向けるエネルギーの発しかただったと思います。是非周りの人にも教えてあげたいし、先生にもっと色々お教え頂きたいなと思います。本当にありがとうございました!
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貢献のニーズと、現代朗読の真性さのニーズが満たされて、とってもうれしい。
さて、徳島が終わったと思ったら、いくつかの講座がつづけて迫ってきている。
まずは音読療法協会のボイスセラピスト講座。

次の日曜日になるが、7月29日は2級ボイスセラピスト講座
8月にはいって最初の日曜日の8月5日は、1級ボイスセラピスト講座
1級は前・後半で完結の講座で、8月5日はその前半。
後半は9月2日に予定されている。
これが3期めの1級講座。

来週火曜日・7月31日は、アイ文庫主催の次世代オーディオブックリーダー養成講座&オーディション

これらが終わったら、いよいよ現代朗読協会が総力を挙げて開催する公演「キッズ・イン・ザ・ダーク」がやってくる。
明大前〈キッド・アイラック・ホール〉にて午後1時半開場。
みなさん、来てね。
まず見たこともないライブパフォーマンスをお見せできると思う。

帰省、航空チケットトラブル、へしこの押し寿司

羽田=小松便で北陸の実家に帰省。
飛行機はなにが起こるかわからないので(電車だってわからないけれど)いつも30分以上は時間に余裕をもって行くのだが、今日はその余裕を見ておいたことが本当によかったと思った。

いつものようにお財布ケータイで保安ゲートを通ろうと思ったら、サービスカウンターで搭乗手続きをすませてくれ、といわれて止められてしまった。
カウンターに行ったら、予約がないという。
そんなはずはない。確かに予約して、予約番号まで持っているのだ。
それを伝えたら、予約は確かにされたようだが、その後あらためてチケットを購入する必要があり、それがされていないために予約は自動的に取り消されている、という。

これまで何百回も予約・購入してきたが、こんなトラブルは初めてだ。
いつもどおりに手続きしたはずなのに、どこかでミスったらしい。
搭乗前に予約を確認しなかった私が悪いのかもしれないが、これまでなんのトラブルもなくやってきたわけだから、いまさら手順が変わったとも思えないし、違った手順を踏むことも思いつかなかった。

結局、空席はあったのであらためてチケットを購入しなおして、時間ギリギリに搭乗することができた。

北陸は晴れあがって暑い。
いつもだったら空港で軽く朝食をすませるのだが、今日はその時間もなかったので、帰ってさっそくご飯。
幸い、へしこの押し寿司があったので、それをいただく。
うめー!

帰省中にやりたいこと(おもに書き物方面)が山のようにある。
実家の部屋の片付けも頼まれている。
どこやらの修繕もあるとか。

音読日めくり7月23日:石川啄木「足跡」

「音読日めくり」を更新しました。
今日の音読日めくりは、石川啄木「足跡」です。

産直コーナーで買ったズッキーニを描いてみました。
このあと、これは天ぷらにしておいしくいただきました。

2012年7月22日日曜日

緑っぽいスケッチ、断熱シート

スケッチ4連チャン。
全体になんとなく緑っぽい。
明日からの北陸帰省に備え、「音読ひめくり」のためのスケッチを描きためた。
手近な素材ばかり。
冷蔵庫にあったズッキーニとキュウリ、窓辺に置いた鉢植えの風船葛の葉っぱとその実。

ライブワークショップやゼミの音声記録の編集。
時間がかかって面倒な作業だが、これを聴いてしっかり現代朗読を勉強してくれる人がいるので、大事な作業だと思っている。

新らしい仕事部屋に東と南から陽が強烈に射しこんで暑いので、試しにネットで断熱シートを注文して、東側の窓に張ってみた。
原理はようするに、空気の層を作って断熱する仕組み。プチプチシートでも代用できる。
どういう仕組みなのかわからないが、ガラス戸の内側にスプレーでたっぷり水を吹き付け、そこにシートを張るとくっつくらしい。
面倒な作業で数日後伸ばしにしていたが、実際にやってみたらそれほどでもなかった。

キッズ公演稽古、丸さんバスの焼肉小倉優子ツアー

今日は朝からいろいろたまった雑用を片付ける日にした。
明日からまた北陸に4日ばかり帰省するので「日めくりスケッチ」を描きためたり、酷暑にそなえて窓に断熱シートを張ったり、食材を片付けたり、ゼミの音声記録を編集したり。
写真は現状の新仕事部屋。


昨日は朝からキッチンを片付けて、油ものの調理ができるようにする。
で、さっそく、天ぷら。
ありあわせの茄子、ピーマンを天ぷらに。
ほかには納豆と、豆とじゃがいものみそ汁、玄米入りご飯。

午後、げろきょ公演「キッズ・イン・ザ・ダーク」の全体稽古があった。
出演者全24名。内、ライブワークショップ参加者が8名なので、ゼミ生は16名。そのうちの11名が参加。
とはいっても、全員が揃うのは公演当日まで一度もない。
それでもなんとかなるのがげろきょ。
というより、なんとかなる以上のことが毎回起こる。
今回もなにが起こるのだろうかと楽しみだ。

脚本にそって演出プランを詳細に確認しながら、部分的には実際にやってみたりする。
ほとんどの参加者が段取りがわからなくて、とくに最近のゼミに頻繁に出られなかった人は不安がいっぱいの表情を見せていたが、その不安すらげろきょでは味方につけていくのだ。
もし間違えても全然かまわない。
そんなハプニングすら、おいしいライブならではのことと拾っていく。
むしろ私などは、かなり重大なハプニングが起こって、全体がしっちゃかめっちゃかになってしまえばおもしろい、くらい思っているほどだ。


夜はテキスト表現ゼミの日だが、臨時に焼肉ツアーになった。
丸さんバスで横浜の〈焼肉小倉優子〉まで出かける。
メンバーは丸さん、月海、きゃたおか、弓子、ふなっち、おっくん、みぞれ、そして私という、丸さんバス定員いっぱい。

ところが行ってみると、店はなんとつぶれていた。がっくり。
やむなく、比較的近所(と思われた)相模原店のほうに移動。
これがかなり時間がかかった。

ともあれたどりついて、いつものように食べ放題コースで焼肉を堪能。
帰りは終電に間に合わないかもしれない人が複数名出てきて、まあ、いざとなれば丸さんが全部送ってくれるのだが、それはあまりに気の毒だと思っていたら、なんとか全員間に合って、無事に帰宅できた。
おいしく盛りだくさんな一日だった。

明日から帰省で、次の日曜日はもう2級ボイスセラピスト講座が迫っている。
興味のある方は気軽にお問い合わせください。

音読日めくり7月22日:ハンス・クリスチアン・アンデルセン『即興詩人』(訳・森鴎外)

「音読日めくり」を更新しました。
今日の音読日めくりは、ハンス・クリスチアン・アンデルセン『即興詩人』(訳・森鴎外)です。

ゼミ生がはいてきたナイキのスニーカーをスケッチしてみました。
履物をスケッチするのは初めてかもしれません。

2012年7月21日土曜日

音読日めくり7月21日:有島武郎『生まれいずる悩み』

「音読日めくり」を更新しました。
今日の音読日めくりは、有島武郎『生まれいずる悩み』です。

もう少しアジサイの季節はすぎてしまいましたが。
私はあまりアジサイの花が好きではなくて、なんでだろと考えてみたんですが、花がちょっと重苦しい感じなのと、咲き終わってからの感じが苦手なんですね。
ま、花には罪はないんでしょうが。
いや、そうでもないか。人間が人工的に手を入れて改良した品種の場合はね。

2012年7月20日金曜日

喉が充分でないなか、げろきょデー

これ、昨日、配信したと思っていたのに、まだだった。
昨日7月19日の日記。

長引く喉風邪。
だいぶ回復したけど、今日もまだまだ咳が残っていて、喉がガラガラだった。
無理してしゃべるからいけないのか?

今朝は朝から朝ゼミ。
木曜朝ゼミにしては、参加者はちょっと少なめ。
しかし、きゃたおかさんを始めにぎやかなメンバーがいて、元気にやる。
ゼミにはほぼ初参加のいがらしさんが、実に典型的な朗読についての質問を連発してくれたので、現在の現代朗読協会の位置づけがはっきりしてありがたかった。
思えば遠くに来たものよ。
しかし、この道はまっすぐで正直にやってきたものだし、また未来に向かって力強くのびているのを感じる。
それを思うと、限りある命ではあるが、それも悪くないと思える。

午後は昼ゼミ。
みぞれちゃんを中心にゼミ生たちに昨日作った「キッズ・インザ・ダーク」の演出案を伝えてもらっているあいだに、朗読日和さんと8月の公演のリハーサル。
朗読と音楽のかみあわせを確認する。
もっとも、私は決められたことはやれないので、当日の「いまここ」でどのような演奏になるのかはわからない。

夜は夜ゼミ。
たるとさんとは先日の徳島でのリアルミーティング後、初めてオンラインで話す。
一度リアルで会っていると、オンラインでの感触もずいぶん違うものだ。
ふなっちとテキスト表現における描写の話。
たるとさんは「黄色いトマト」を読んでくれた。
ところテンさんと朱鷺さんは私の「祈る人」を読んでくれた。

2級ボイスセラピスト講座を受講した新潟のヴォトワーさんから、採れたてのトウモロコシが届く。
さっそく蒸していただく。
甘くて瑞々しくて、あっという間に一本たいらげてしまった。
ごちそうさま!

自室にもどり、音読日めくりのスケッチを描く。
今日は甘唐辛子のにんにく炒め。

音読日めくり7月20日:若山牧水「一家」

「音読日めくり」を更新しました。
今日の音読日めくりは、若山牧水「一家」です。

夏野菜がおいしい季節です。
畑からオクラとかししとうとか、この甘唐辛子が次々ととれます。
甘唐辛子はヘタを切り落としたあと、丸のままニンニクといっしょにさっと炒めていただくのがおいしいですね。

2012年7月19日木曜日

音読日めくり7月19日:オスカー・ワイルド「幸福の王子」(訳・結城浩)

「音読日めくり」を更新しました。
今日の音読日めくりは、オスカー・ワイルド「幸福の王子」(訳・結城浩)です。

毎月、中野〈Sweet Rain〉で行なわれている板倉克行ピアノライブ。
昨夜はベースとドラムスが入って、ピアノトリオでした。
それを手持ちのペンで手帳にスケッチしてみました。

喉をつぶす

雨が降ったらしい。
夜、中野〈スウィート・レイン〉の板倉克行ライブに行って、終わって店を出てきたら、路面が濡れていて、大気はすごい湿気を含んでいた。
と同時に、喉がまたつぶれてしまった。

徳島から帰って、ほぼ復調したと思っていたのだが、その後も無理をしてしまったのが原因でぶり返してしまったらしい。
徳島帰りの翌日・昨日は、大量の荷物の整理と運搬。
大物数点だけミキティに手伝ってもらったが、それ以外は全部ひとりで作業。
その合間に「音読日めくり」だけは更新する。

昨日の夜はトランジションの会合が三軒茶屋であって、ここは羽根木から交通の便が悪い。
電車を乗りついでも、バスを乗りついでも、やたら遠回りになる。
一番いいのが自転車だ。
なので、自転車を飛ばして行った。
行きは下り坂なのでいいとして、帰りは上り坂でかなりきつかった。
汗をかきすぎたのもよくなかったのかもしれない。

今朝起きたら、やたらと咳が出て、止まらなくなっていた。
午前中はいろいろと用事があったり、片付けものがあったりで、休めず。
午後は〈キッズ・イン・ザ・ダーク〉のリハーサル。
3人しか来なかったが(総出演者24名)、ピリカさん、みぞれちゃん、明香さんと脚本を順に追って段取りをしっかり組み立てて確認できたのはありがたかった。
このとき、あまりしゃべらなかったのに、喉がだんだんつぶれかけてきていた。

身体が疲れて、ちょっと横になっていたら、知らない間に眠ってしまっていた。
その間にみんな帰ってしまって、姿がない。
帰るのを知らなかった。
みんな気をきかせて、私を起こさないように帰ってくれたのだろう。

夜はアレクサンダー・テクニーク講座。
のはずが、時間をすぎても講師のケンちゃんがいっこうにやってこない。
おかしいなと思って連絡したら、なんと神戸にいるとのこと。
講座を隔週開催と思っていたらしい。
たしかにこれまでそういうパターンで開催することがあった。
どうすることもできないので、休講。

来ていた松田くんを、中野〈Sweet Rain〉の板倉克行ライブに誘ったら、行くというので、一緒に中野へ。
今夜のゲストはベースの日野さんと、ドラムスの今竹さん。
野々宮は体調不良で休み。
かっしーが来ていたので、朗読陣はひとりだがやるのかと思っていたら、ファーストステージが終わったらそそくさと別件へと消えていってしまった。

というわけで、音楽だけのライブに。
私もピアニカを持っていったのだが、出番はなし。
もっとも、今夜は板倉さんのオリジナルナンバーを中心に、いわゆるジャズセッションで、コード進行とリズムキープがあるオーソドックスなスタイルのライブ。
いつものフリーセッションとはかなり趣を異にした。
お客さんは大喜びだった。
考えてみれば〈Sweet Rain〉は、本来、ジャズライブの店なのだった。
常連のizaさんが美しい着物姿でおいでになっていて、目の保養をさせていただいた。

終わってから外に出ると(冒頭にもどる)。
明日は一日、げろきょデー。
朝ゼミ、昼ゼミ、夜ゼミ、そして別件の依頼もののリハーサルもある。
つぶれた喉と思わしくない体調をどうやってやりすごそうか。

2012年7月18日水曜日

音読日めくり7月18日:ロマン・ロラン『ベートーヴェンの生涯』(訳・片山敏彦)

「音読日めくり」を更新しました。
今日の音読日めくりは、ロマン・ロラン『ベートーヴェンの生涯』(訳・片山敏彦)です。

イタリアンレストランでランチを食べたとき、シャンパンのコルク栓の箸置き(?)に乗ったナイフとフォークが出てきました。
それを鉛筆でスケッチしてみました。

2012年7月17日火曜日

音読日めくり7月17日:魯迅『阿Q正伝』

「音読日めくり」を更新しました。
今日の音読日めくりは、魯迅『阿Q正伝』です。

焙煎したコーヒー豆を描いてみました。
最初はちょっとつまらないと思いながら描きはじめたんですが、描いていくうちになぜか楽しくなってきました。
豆はかわいいですね。

2012年7月16日月曜日

げろきょ徳島ツアーレポート(2日め)

2012年7月16日。海の日。
徳島の朝が明けた。
昨夜は体調を回復すべく、早めに休んだおかげで、喉も体調もほぼ完調。
ただし、夜中に何度か足がつった。
昨日のワークショップではりきりすぎて、ずっと立ったまま熱弁をふるったせいだろう。
ま、それはいい。

昨日もそうだったが、今日もすばらしく晴れた。
非科学的ないいかたではあるが、私は晴れ男である。
まあ、偶然にも行動パターンがそのようなことに重なったというだけのことなんだろうけれど、重要なイベントではほとんどが晴れて、雨に降られて困ったというのは数えるほどしかない。
まあ、数えるほどはあるのだが。

ともあれ、今日は晴れた。
早起きしたので、ホテルを出て、ブラっと散歩してみた。
きゃたおかさんも早起きの人で、ツイートを見たらすでに散歩に出て、かなり遠出をしているようだ。
私は駅前あたりの近場を少し散歩してみた。
だいたい、街の雰囲気はつかめたが、休日の早朝ということもあって、街はほとんど活動していない。

7時すぎにホテルにもどり、荷物をまとめてから、食堂でコーヒーとサラダ。
朝食付きのプランだったが、朝からうどん屋に連れていってくれるというたるとさんの言葉があったので、セーブしておく。

約束の8時ぴったりに、たるとさんとご主人が車で迎えに来てくれた。
さっそく乗りこんで、出発。
めざすは朝うどんの地、隣県のうどん県、讃岐香川県。
すばらしい景色を堪能しながら海岸線を通って、香川県にはいる。
引田という地区にある、名前のない海辺のうどん屋へ。

ここは昨日ほどではないというものの、景色がいいから来た、とのこと。
いやいや、しかし、ここのうどんもなかなか。
たしかに昨日のうどんとはやや趣向が違うものの、私が食べたざるうどんは腰があり、かけうどんはいい意味で柔らかい感じ。
朝っぱらからふた玉と天ぷら3種をあっという間に平らげてしまった。
毎日でもいけるぞ、こんなの。

食後は目の前にひろがるビーチに出て、ひさしぶりに海辺を堪能する。
女性陣は靴と靴下を脱いで波打ち際に足をひたし、気持ちよさそう。
海から吹く風がこの上なく気持ちいい。
水面近くをツバメが飛んでいたり、カモメが飛んでいたり、はるかかなたにはミサゴらしき鳥影がホバリングしていたり、そして東京から来た我々を歓待してくれたのでもないだろうが、すぐ近くの水面を種類のわからないそこそこ大きな魚が何度もジャンプして姿を見せてくれたりと、楽しいのなんのって。

うどんで満腹したあとは、鳴門方面に向かう。
途中、たるとさんのご主人が一番気にいっているという、堀越海峡にかかる橋の上から潮の流れをながめる。
高所恐怖症の人は肝を冷やす景色だろうが、これが絶景。
有名な鳴門の渦潮を見た気になってしまう。

しかし、やはり本物の鳴門の渦潮に連れていってもらった。
鳴門大橋をバックに記念撮影。
観光客がぞろぞろいて、先ほどの堀越海峡よりはよほど俗っぽい。
が、それなりに明媚な風光ではある。

鳴門から徳島市内にもどり、今度は阿波人形浄瑠璃で有名な十郎兵衛屋敷に行く。
なんだかたるとさん夫妻には、我々の観光案内係をやってもらっているような気がして、申し訳ない。
しかし、せっかくなので、徳島をせいいっぱい堪能させていただく。
そしてげろきょ陣はそのことに遠慮なく、マインドフルに子どものように楽しんでいるのだった。

阿波浄瑠璃は伝統があり、大阪の文楽は多少違った発展をしたようだ。
私は大変興味深く見せてもらった。
そして、義太夫というか、浄瑠璃語りの手法をつぶさに見て、語り、朗読、謡い、音楽の関係についてさまざまに考えをめぐらせた。
とても収穫が大きかった。
今日のこの体験は、いずれどこかで現代朗読に生かせるときが来るだろうと思う。

飛行機の時間も迫り、徳島空港に向かう。
徳島は滞在24時間とちょっとだったが、本当に楽しい時間だった。
あっという間、ではなく、充実していたのでまるで何日にも感じられた。
そして、徳島空港では、最後に、徳島ラーメンをいただこうということになった。
徳島ラーメンの特徴は、とんこつスープの醤油味に、チャーシューや、味付けした豚バラ肉がトッピングされていることだ。
そして味が濃いので、ご飯をそえてそのおかずみたいにいただく。
空港の食堂なので、たぶん最大公約数的なそこそこの味だと思うが、私はおいしくいただいた。
次の機会があれば、本格的にこてこてな徳島ラーメンを体験してみたいと思う。

というようなわけで、徳島は朗読というより、食事と観光がかなりのウェイトを占めたツアーだったが、それもこれもたるとさん夫妻の心をくだいた歓待によるものだ。
あらためて感謝したい。
私にできるお返しは、徳島に自由で楽しい朗読の芽が育ち、その輪が広がっていくことを今後もお手伝いすることだ。
たるとさん、げろきょの徳島支部長として、ぜひとも今後ともよろしくお願いしますよ。
そしてまたげろきょメンバーが遊びに行き、徳島メンバーと盛大に朗読パーティーを開けるときが来ることを、楽しみにしてます。