photo credit: isergy via photopincc
朗読や呼吸法でダイエット、という本やビデオが売れまくっている。私も実をいえば、朗読ダイエットをうたうことで本を売ったり、集客したり、という誘惑にかられたことが何度かある。
が、結局そのたびに、実証性、客観性、正当性を大切にするために、思いとどまってきた。
実際のところ、朗読とある種の呼吸法にはダイエット効果はある。
これはゼミ生の多くが体感し、証言しているし、実際に現代朗読協会の仲間にはいわゆる「デブ」な人はひとりもいない。
どういうことなのか、少しだけ紹介したい。
朗読では長く吐いていく呼吸を使う。
音読療法で使う呼吸法においても、長くほそく吐いていく呼吸法が重要だ。
これにはふたつの効果がある。
・吐く呼吸のための呼吸筋の強化
・副交感神経の昂進による心身の鎮静化
とくに前者がダイエット効果につながる。
吐くときに使う呼吸筋は、おもに、内肋間筋、腹横筋、外腹斜筋、内腹斜筋といった、深層筋群(いわゆるコアマッスル)を使う。
これは意識的に鍛えにくい筋肉で、これを鍛え、太くすることで、基礎代謝をあげることは期待できる。
また、これらは腹部の筋肉なので、腹部を引きしめる効果も期待できる。
つまり「くびれ」を作る効果があるかもしれない。
以上の事実によって、朗読にはダイエット効果がある、といえるかもしれない。
しかし私はダイエット効果を期待してくる人を集めたいのではない。
結果的にダイエット効果はあるかもしれないし、そのことを喜ぶ人がいてもいいとは思うが、私が望むのは自分を表現したいという切実な気持ちを持った人たちに、現代朗読のすばらしさ、おもしろさを伝えることなのだ。
だからダイエット効果をかかげて売ったり、集客しようとは思わない。