いま羽根木の家では、これを書いているまさにすぐ横で、「おかあさんのための音読カフェ」通称「ママカフェ」が開催中だ。
子育て中のおかあさんがたが集まって、子どもはもちろん大切だけれど、そのためにも自分自身を大切に扱う方法を身につけよう、という主旨で音読療法を体験してもらう会の初回だ。
これはゼミ生でボイスセラピストのフジサワさんが企画して準備してきた会で、ボイスセラピストの仲間たちがサポートしている。
こうやってみんながそれぞれ自立して自主的に、音読療法にせよ現代朗読にせよ活動していってくれるのを見るのは、とてもうれしい。
私がまいた小さな種が広がっていき、芽を出して大きく育っていくのを見るのは、私にとって大きな喜びなのだ。
これまで現代朗読にせよ音読療法にせよ、その核となる部分をかんがえ、指導したり実践したりしてきたが、それぞれ育ってくると私ひとりでは全部の面倒を見ることは不可能になってくる。
まだそれほど手に負えないというほどでもないが、それでもここ数ヶ月のスケジュールの過密さは限度を超えかけている。
完全にパンクする前に私がやっておきたいのは、私にかわって指導したり実践したりできる人をできるだけ育てておきたい、ということだ。
音読療法では2級と1級のボイスセラピストがいて、1級ボイスセラピストになるとグループワークのスキルも身につけるので、音読ケアとか、今日のような音読カフェを主催できる。
つまり、実践者になっていける。
私から離れてどんどん自分で実践していってくれることは大歓迎なのだ。
また、マスターコースの修了者は私に代わってすべてを教えたり実践したりする知識と経験を積んでもらうので、基本的に私にやれることはすべてやれる、ということになる。
これは音読療法の継続性についての安心を私にもたらしてくれる。
現代朗読のほうではまだ積極的に指導者、演出家を養成することはおこなっていないが、今後は徐々に力をいれていきたいと思っている。
現代朗読の活動は「ゼミ」という研究会のような場が中心になっている。
これまで私はほとんどすべてのゼミに出て、関わってきたが、これも徐々にゼミ生の自主性に任せていきたいと思っている。
長らく来ているゼミ生のなかには、現代朗読の方法や考え方について相当深く理解している人も出てきているので、そういう人にまずはゼミ活動の中心となって自主的な運営をおこなってもらいたい。
そうすることで、まずは私は楽をできる(笑)。
ゼミ生のなかには私があまりにハードスケジュールで動いていて疲れをためこんでいることについて心配してくれる人もいる。
そういう人の心配を取りのぞくという意味もあるし、私自身がより気楽さを確保して、自分の大事なニーズを満たす時間をしっかりと取ることもできるので、まずはゼミから、そして私が直接関わっているイベントのなかで手放していけるものは少しずつ手放していけたら、と思っている。