もう寝ようと思ったけれど、これだけは書いておこう。
今夜(日付が変わって昨日になってしまったけれど)は恒例の板倉克行ライブが中野〈スウィートレイン〉でおこなわれた。
今夜のゲストはアルトサックスの梅津和時さんだった。
メインはアルトサックスだが、今夜は行ってみたらバスクラリネットが立ててあった。
最初のセットから梅津さんがバスクラで全開モード。
循環呼吸を多用したロングフレーズを爆発させて、もともと自由きわまりないあの板倉さんがさらに自由度を増して暴れまわる。
失礼ではあるが、とても70近い御歳の方とは思えない切れのある演奏である。
それを引きだしたのは梅津さんの挑発だ。
ときに頑固にフレーズパターンを吹きまくり、ときにジャズフレーズをわざとらしく吹いて挑発し、ときにスタンダードナンバーや演歌のフレーズをからませ、ユーモラスな観客サービスもしっかりと入れつつ、同時に板倉さんに敬意を表して自由な音空間を提供する。
おそろしい手練だ。
いつも板倉さんのライブに行くと、同じピアノ弾きである私は割って入るわけにもいかず、欲求不満におちいってしまうのだが、今回はさすがに自分も入ろうとは思わなかった。
この濃密な音空間に私のような貧弱なピアノ弾きがどう介入できるというのだろうか。
とはいえ、セカンドステージ、サードステージと進むにつれ、この圧倒的に自在なサックス(あるいはバスクラ)の音に自分がひたったとき、どんな見知らぬ自分が現れてくるのか知りたい、という欲求が生まれてきた。
おまけのサードステージで朗読した野々宮と照井がうらやましくてしかたがなかった。
結局、今夜も強い個人的欲求不満で終わった板倉克行ライブなのであった。
板倉克行ライブは明後日(もう明日か)も入谷の〈なってるハウス〉であって、野々宮と照井も参加するらしいが、私は行かないことにしよう。
精神衛生に悪すぎる。