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「聞き上手になる」ための方法や本がたくさん出ている。
人の話を聞く仕事もある。
カウンセラーや福祉ボランティアの仕事では、自分のことを主張するのではなく、相手のいうことに耳を傾けることが必要とされる。
「傾聴」「リフレクション」「共感」といった言葉がキーワードである。
とくに「傾聴」はよくいわれていることで、とにかく自分のことは棚にあげ、相手の話を途中でさえぎることなく、ときには相手がいった言葉を繰り返して(リフレクション)話しやすいようにし、完全に相手の話を聞く態度だ。
多くの人が推奨しており、すぐれている面もあるが、忍耐を要する方法だ。
すべての人が「傾聴」の技術を身につけるのは難しい。
共感的コミュニケーションではもっと簡単な方法で、しかももっと積極的な手法で、相手の話を完全に聞くことができるようになる。
自分を押し殺したり、棚にあげる必要はない。
もちろん忍耐もいらない。
共感的コミュニケーションを使って相手の話を完全に聞くときのキーワードは「好奇心」だ。
好奇心というと、なにか人のプライバシーを詮索するような感じがして、とかくいい意味あいでは使われないことがあるが、ここではいいも悪いもない。
人には持って生まれた好奇心がある。
「興味」といいかえてもいい。
幼いころからそなわっている「知りたい/なんだろう/どうなってるの」という純粋な知性の働きだ。
これを相手に向けるのだ。
ただし、相手の特定の部分に。
それは「相手が大切にしていること」。
「この人はなにを大切にしているんだろう?」
その部分に好奇心をただ向けつづける。
共感的コミュニケーションはお互いに大切にしていることを尊重しあうことで成立する。
だから、相手が大切にしていることはなんだろう、ということに好奇心を向け、ただそれを知るために質問し、聞きつづける。
それだけだ。
自分を棚上げすることもなければ、感情を押し殺す必要もない。
いつものように自分のまま、イキイキと、ただ相手に好奇心/興味を持ちつづけるだけでいい。
その結果どんなことが起こるのかは、実際にやってみればはっきりとわかる。