2012年12月16日日曜日

バンテ・H・グナラタナ『マインドフルネス 気づきの瞑想』

投票率が極端に低く、前回の衆議院選挙をさらに下回るとの情報がニュースで流れてきた。ツイッターやフェイスブックのタイムラインを見ていると、今回の選挙はえらく盛り上がっている感じだったが、ネットとリアル世間との温度差はあまりに大きすぎてびっくりするほどだ。
おそらく、選挙結果はマスコミの予想通りになってしまうのだろう。

こういうときは冷静さを失わないためにも、瞑想と自分への共感が必要となる。
というわけで読んだわけではないが、本書はヴィパッサナー瞑想の入門書として世界中で広く読まれているもので、ようやく日本語に翻訳されたらしい。

マインドフルネスという考え方に強くひきつけられたのはベトナム出身のティク・ナット・ハン師の著書群からだったが、グナラタナ師はスリランカ出身。
日本を始めとする中国、韓国、ベトナム、チベットなどは大乗仏教が伝わったが、テーラワーダ仏教(小乗仏教)はスリランカ、タイ、ミャンマー、ラオス、カンボジアなどに伝わった。
この本で詳しく書かれているヴィパッサナー瞑想法はテーラワーダ仏教伝来のものだ。

仏教の教義はともかくとして、マインドフルネスの実践方法としてこの瞑想法は大変具体的で実用的である。
現代朗読や音読療法、共感的コミュニケーションでは、呼吸を入口としたマインドフルネスの実践をすすめているが、なかなか理解してもらうのは難しい。
この本の実践方法には参考にできるところが多くあった。

分厚い本だが、平易な言葉でシンプルな内容が繰り返し述べられている。
くどいくらいにおなじことを、言葉を変えては、角度を変えては、たとえを変えては述べられている。
だからこんなに分厚くなってしまうんだろうと思うが、それが世界中で愛読されている理由のひとつでもあるのかもしれない。