今日は朝ゼミ、昼ゼミ、夜ゼミと、現代朗読ゼミのフルコース。ゼミでは毎回、最初にセルフチェックと気づき報告をしてもらっているのだが、気づきというのは「マインドフルネス」のことで、朗読表現において最高のパフォーマンスを発揮するためにもマインドフルネスの練習はとても大事なことだ。
マインドフルネス(気づき)という考えは、もともとは古代インドの思想体系にあり、釈迦がさらにそれを深めて完成させた。
それが近代西洋文明のぶつかりあいや行き詰まり、人々の非幸福感の蔓延などで東洋思想に注目しはじめた欧米の文化人やアーティストによって仏教思想とともに欧米に広がり、それがいま日本に再輸入される形ではいってきている。
私が最初にマインドフルネスについて勉強するきっかけになったのは、ベトナム出身のティク・ナット・ハン師の著書群を読んだからだった。
私はとくに仏教徒というわけではないが、仏教思想には共感するところが多い。
で、昨日はたまたま中沢新一が書いた(訳した?)『鳥の仏教』という本を読んだ。
これは近世になってからチベット語で書かれた仏教の「偽教典」であるが、仏教という思想体系のある側面を非常にわかりやすい庶民の言葉で書かれているというので、中国の侵略によって亡命をよぎなくされたチベットの民を中心に広く読まれている本だ。
たしかにわかりやすい。
鳥たちが仏の教えを聞いたり、考えたりする、という体裁で仏教が語られていく。
平易すぎてちょっと物足りない感じはするが、おそらく何度も繰り返して読むことで心にはいってくるのだろうと思う。
これとは別に、マインドフルネスについて最良のテキストを入手した。
バンテ・H・グナラタナ老師が書いた『マインドフルネス 気づきの瞑想』だ。
まだ最初のほうしか読んでいないが、これはとてもよい本だという予感がする。
読んだらまたレポートしたい。