2013年4月12日。
午後5時に中野駅北口でマキさん、野々宮と待ち合わせ。
私が出演するライブではないのだが、SweetRainの音響が(ある程度)わかる者がいたほうがいいだろうということで(ここはマスターがいないときはいつも出演者が自主的に調整している&今回はマスターは遅れてくるとの情報あり)、私もリハーサルに顔を出すことにした。
とはいっても、私もPA設備の専門家ではないのだが。
マキさんがなかなか来ないので、時間に正確なマキさんにしてはおかしいなと思っていたら、早く着きすぎてブロードウェイをさまよっていらしたらしい。
ちなみに、マキさんは約束の時間に遅刻したことは(私の知るかぎり)一度もない。
SweetRainへ。
すでにピアノの吉田桂一さんとベースの永田利樹さんが来ていて、音出しをすませている。
ボーカルマイクを2本セッティングして、ミキサーでリバーブやボリューム、パン、イコライザーなどを調整しながら、リハーサルを進めてもらう。
セッティングが終わったら、私はさっさと店を出て、そのへんのカフェで仕事しようと思っていたのだが、なかなかマキさんの思うような音が作れなくて1時間以上あれこれやっていた。
なんとかセッティングが終わり、私は近くのファーストフードでコーヒーを飲みながら、Macで作業。
7時を回ったので、店にもどってみると、出演者はだれもいない。
食事(飲み)に出たらしい。
お客さんが次々とやってきた。
今夜は予約だけでも満席らしいのだが、予約なしで来る人もいて、ちょっと混乱。
マキさんと朗読で一緒にされている条田さんがいらしたり、私の個人セッションを受けている人が来てくれたり、音楽塾に来てくれていた大木さんが来てくれたり、伊藤さやかが突然来たりと、盛況。
ゼミ生の植森さんも友人を連れて来てくれた。
神田神保町の〈書泉グランデ〉でやったイベントに来てくれた菜穂子さんの知り合いの杉村さん(?)も来てくれた。
川橋さんもグランデのイベントに来てくれたばかりか、「玉響のとき」にもおいでいただいた。
コンテンポラリー・ミュージック・ピアニストの中村和枝さんも駆けつけてくれた。
店はギュウギュウで、これが私の出演するライブでないのが残念なくらい。
朗読と音楽が絶妙なバランスで配置されたライブで、前半は1時間強、後半もおよそ1時間、アンコールを入れればたっぷり2時間半くらいの濃密なライブだった。
マキさんの歌と朗読、ピアノとベースの演奏、野々宮の朗読、マキさんと野々宮のセッション朗読。
私の作品も2、3作読まれてうれしかった。
「祈る人」「A Red Flower」「初霜」など。
始まってしばらくは、正直いって、朗読にからむ音楽に違和感をおぼえていたのだが、それは自分がいつも朗読にからむときの感覚や基準を演奏者側の立ち位置からあてはめて聴いていたせいだと気づき、途中からは吉田さんと永田さんの音楽を受け入れられるようになって、そのすばらしさを楽しめるようになった。
とくに「祈る人」ではピアノの吉田さんとベースの永田さんがフリーで朗読とからみ、私がやるときとはまったくイメージの異なった迫力のある表現になった。
マキさんの朗読の即興性のある瞬発力もさすがだと思った。
野々宮の朗読についてはもちろんいうまでもない。
これほどの自在な朗読者は、現時点で私はほかに知らない。
これは私の課題だが、第二、第三の野々宮が今後育ってくるのかどうか、育てることができるのかどうか、ということだ。
今回、完全に客側の視点でライブを聴かせてもらって、一番うれしかったのは、やはり自分の作品が読まれることだった。
作品や曲を提供したり、演出したり、といったことが、現場でいっしょにやることより私の性分に合っているのかもしれない、ともかんがえたりしていたが、しかし来週の「キッズ・イン・ザ・ダーク」公演ではみんなといっしょにやれることの喜びもまたたしかにある。