現代朗読協会の組織運営も表現活動も「共感的コミュニケーション」をベースにおこなわれていて、そのかんがえにもとづいて、たとえば公演やライブ時にも来場者にたいしてなにかを「してはならない」「しなければならない」という要求を一切しないようにしている。
「ケータイなど音のなるものの電源は切ってください」
「飲食はできません」
「開演すると出入りできなくなります」
「撮影はお断り」
といった要求(=demand)を、現代朗読公演ではおこなわない。
それで来場者にたいしても自分たち自身も「自由」を確保したつもりでいたのだが、それがまったく浅いかんがえであったことがわかった。
今回の「キッズ・イン・ザ・ダーク 〜 春の宴」公演でも、撮影についての禁止事項はもうけず、実際にご自分の楽しみのためにデジタルカメラなどで写真や動画を撮影していた方が何人かおられた。
が、来場者のなかにはカメラのシャッター音や測距補助光、撮影者の動きなどが気になったり、危険を感じたり、といった方もおられたようだ。
撮影している方をげろきょ側の人だと勘違いして、クレームをいってくる人もいた。
つまり、私たちは撮影についてなんのガイドラインも作らなかったために、来場者に不快な思いをさせてしまったと同時に、撮影を楽しんでいた方をクレームにさらしてしまったということになる。
なんでも自由にして放りなげてしまえばいい、ということではないのだ。
以後、現代朗読の公演やライブでは、撮影にかんするガイドラインを示して、そのことを撮影したい方にお願いしようと思う。
あくまで強制ではなくお願いではあるが。
いずれにしても、私は出演者、スタッフ、来場者、撮影したい人すべての価値を大切にしたいのだ。
もちろん私自身の価値感も。