2011年11月22日火曜日

NVCの実践でもマインドフルネスがキーワードだった

ちょくちょくと書きましたが、先週の金曜日からNVC(Nonviolent Communicatio / 非暴力コミュニケーション)の合宿が始まって、明日のワークショップで一連のイベントの最終となります。
 私がNVCのイベントにここまでべったりと関わったのは初めてのことです。
 今回、招いた国際公認インストラクターは、コロンビア人のホルヘ・ルビオ。私に最初にNVCを教えてくれて、以来ずっとプライベートにリードしてくれている友人のケンちゃんの推薦で、日本でも招聘チームが作られ、私もその端っこに加えてもらっていたのです。

 ホルヘの教えるNVCは、これまでのどのトレーナーとも異なっています。
 もちろんこれまでのトレーナーはいずれもすばらしい人たちで、だれひとりとして忘れることができません。が、ホルヘは「私にとって」特別な感じがします。うまく文字で書くのは難しいんですが、一種の相性といってもいいかもしれません。曖昧な言葉なのであまり使いたくないんですが。
 NVCについては勉強をつづけてきたし、人にも勧めたり、また現代朗読協会の活動やゼミで実践したりもしていたんですが、どうとははっきりいえない違和感が身体の片隅にずっとわだかまっていて、居心地の悪さを感じていました。それが今回のホルヘとのセッションでじつにすっきりと取り払われたような気がします。それは、私がNVCとは関係なく考えたりいいつづけてきたことが、ホルヘのNVCのなかにとても似た形ではいっていることを発見してうれしかった、ということもあります。
「なんだ、とても似たようなことをやっていたんだ」
 という喜びもあります。

ホルヘは Vivencia という言葉を強調します。これは訳するのが難しいんですが、私たちが「いまここ」でなにを経験し、どう感じ、どのような生きていることの感触(クオリア?)を持っているか、ということについての意識のことです。
 これはまさに「マインドフルネス」の状態のときに起こる「メタ認知」にほかならないと私は思っています。これが起こるとき、私たちはものごとや感情に対するさまざまな執着からのがれ、感覚のシフトを経験します。
 ホルヘは怒りや悲しみ、妬み、寂しさ、といった、私たちが通常「よくない」と思っている感情にも居場所を与えようとします。だれかに対して強い怒りを覚えたとき、その怒りを存分にふくらませるスペースを自分のなかにあたえ、メロドラマじみた怒りのドラマを自分のなかで作らせます。
 自分のなかにスペースを作ることを「puff up」と表現していました。そしてその自分の状態を「puffer fish(ふぐ)」にたとえ、とてもコミカルに仕草で表現してくれるのです。その姿が私の脳裏に染みつき、「puff up」の具体的なイメージが私のなかに浸透したのでした。
 だれかに対して共感的になれずにいる自分を発見したとき、ついその自分を否定しがちです。そして「共感的にならなければ」と自分に強います。が、そのとき、「共感的になりたくない自分」を押し殺してしまうことになるのです。自分の一方をないがしろにすることで、自分の命の半分を殺してしまいます。
 そうではなく、「共感的になりたい自分」も「共感的になりたくない自分」も Vivencia として認め、そこに存分に活躍のスペースを与えてやる。そのあとで、ゆっくりと呼吸をし、落ち着いてものごとに対処する。
 怒りの感情を自分のなかで暴れさせ、自分で自分の感情に共感を与えたあとは、とくにだれかにあらためて共感してもらわなくても落ち着けるのです。そのテクニックをホルヘは教えてくれました。

というような堅苦しい話とは別に、昨日はホルヘが一日なにも予定がない、アテンドできる人もいない、ということで、私がアテンド役を買って出て、大変楽しい一日を彼とすごしてきました。
 午前中に渋谷のホテルまでホルヘを迎えに行きました。最初に彼の目的地であった赤羽のお茶店に行こうとしたんですが、念のために調べてみたら、なんと今日と明日は臨時休業とのことでした。
 予定を繰り上げて、浅草へ。
 浅草ではホルヘが大変喜んでくれて(初来日だったのでまあそうでしょうね)、おみやげを大量に買いこんでいるのにはちょっと心配するほどびっくり。
 ツイッターで「浅草なう」とつぶやいたら、すぐにホルヘ招聘チームの久美子さんが応えてくれて、休養日だったにもかかわらず夫の陣さんと駆けつけてくれました。浅草に詳しい久美子さんのおかげで、おいしい昼食とお茶屋に案内してもらって、ホルヘも大満足。
 久美子さんたちと別れて、秋葉原へ。パチンコ屋に連れこんでびっくりさせたり、プリクラを撮って遊んだりしていたら、もう夕方。ぐるっと渋谷にもどり、焼き鳥屋でビールと焼き鳥。
 一杯やったあと、ホテルまで送って、解散。子どもにもどったみたいに楽しい一日でした。

 明日は茗荷谷で最後のワークショップが一日あります。
 あいにく、50名の定員はすでに一杯であらたに参加をすすめることはできないんですが、招聘チームの一員としてみなさんのサポートができることに期待をふくらまらせています。
 明日も私が私とともにいられる一日でありますように。つまりはマインドフルにいられる、ということですが。