2012年2月10日金曜日

脳と身体

現代の、私たちが受けてきた、あるいは受けている教育では、脳と身体は別々のものとして扱われている。

算数や国語や社会や理科では脳を働かせたり知識を詰めこむ時間。そしてその成果が試験の点数として計られる。体育では身体を動かしたり、身体能力を発達させる時間。その成果はタイムや競争、試合の結果として計られる。

算数や国語を身体と関係がある問題として扱うことはない。

しかし、すべての学習は身体と密接な関係があり、身体のことを抜きにしてとらえていては深い学びは起こらない。このことを私は「朗読」という表現の演出を通して思い知るようになった。

朗読は頭を使うが、口も使う。つまり言葉を用いる。ここまではたいていの人は理解している。が、そこから先のことへはなかなか踏みこんでこない。

朗読は声を使う。呼吸を使う。姿勢を使う。身体の構えを使う。朗読者がそのときどのような身体性と身体イメージを持ち、自分の身体に対する繊細な感受性を使って表現をコントロールしているかは、表現のクォリティとなって明確化される。

朗読だけではない。英語を聞いたり話したりするのだって、音楽を聴いたり演奏するのだって、絵を観たり描いたりするのだって、不可分な脳と身体の協調した働きがある。