午後6時前、新宿へと向かう。
東口から新宿ピットインへ。すでにほとんどの参加メンバーは来ていて、セッティング中。げろきょからの参加メンバーは、私のほか、野々宮卯妙と照井数男のふたり。ほかにはいつものメンバーでは、フルートの北沢直子、ボイスの神田綾子、タップダンスのレオナ、ベースの川上豪士、私にとって初めてのメンバーはフルートのみや、ギターの加藤崇之、ペイントの柿谷由佳、そして福島から来たドラムスとベースのふたり。お客さんより出演者のほうが多いほど。
いったん顔を出してから、夕食をとりに近くの〈丸亀製麺〉へ。
ピットインにもどってみたら、ちょうど全員でのサウンドチェックの真っ最中だった。
ライブは8時スタート。げろきょメンバーでは日榮さんとふなっちが来てくれた。
板倉さんのピアノ、ベース、ドラムス、ギターというインストから始まって、2曲。そのあとフルートが入り、ボイスが入りと、メンバーが増えるなか、照井数男が板倉さんの書いた詩を読む。そして野々宮卯妙が「方丈記」を読む。私もそのあたりでピアニカで参入。豪華メンバーすぎて、音が贅沢に混沌としている。
約1時間のファーストステージが終了。
15分ほどのインターバルのあと、セカンドステージがスタート。インスト曲から入って、照井数男が中原中也を読む。長い演奏となった。
つづいて野々宮卯妙が入って、まずはファーストステージで照井数男が読んだ板倉さんの詩を読む。
そのあと、ピアノを板倉さんが私と交代し、夏目漱石の『夢十夜』をやる。私はおもしろくて、どんどんやりながら、全体を受け入れていく意識をする。
この演奏も長くなり、『夢十夜』は「第九夜」から「第十夜」へと突入していく。
そこで板倉さんが現れて、私とピアノを交代。私はピアニカへ。
全部終わってから、板倉さんといっしょに羽根木の家に帰った。
帰ってから話したのだが、
「半音を使うのはずるいよね。退屈だった」
と指摘された。なるほど、夢十夜ではバンド全体を意識して整合性を持たせようと、調性をなくす方向に演奏が向かっていたかもしれない。退屈だとは思わなかったけれど。
しかし「退屈」というキーワードも音楽演奏においてはおもしろく扱えるかもしれない。板倉さんとのセッションではいつも多くの気づきをもらう。ありがたいことだ。