2012年2月3日金曜日

歯の治療と呼吸法

幸い虫歯はなかったが、歯石がたまって歯周病の予備軍だということで、歯石除去の処置に何度か通うことになった。

子どものころは虫歯が多くて、歯医者には何度もお世話になった。そしてあまりいい思い出はない。歯医者の椅子に横たわると、反射的に全身がこわばり、呼吸が止まる。背中が板のようになって椅子のくぼみから浮きあがり、両足はつりそうなほど力がはいり、手もギュッと握ってしまう。

口をあけて器具を差し込まれると、呼吸は止まり、注意は歯の痛みに集中する。口を反射的に閉じてしまわないように必死だ。

そんなとき、ふと、音読療法でやっている呼吸法のことを思い出した。

みぞおちと臍の間の、横隔膜の下あたりを意識して、ゆっくりと自然呼吸する。その呼吸にともなって鼻腔を出入りする空気と横隔膜の動きの微細な観察によって、「いまここ」の意識を取りもどし、自分の身体全体に注意を向ける。

とたんに「歯の局部的な(架空の)痛み」に支配されていた自分が、自分の全体を取りもどし、痛みがあったとしてもそれは歯という自分の一部分に生じている痛みだという認知ができる、本来の落ち着きを取りもどすことができた。

呼吸法はパワフルだと実感した。

これはみなさんにもおすすめする。ほんと。