今日は午前中から岩崎さとこが来て、オーディオブックの収録。
作品は夢野久作の「霊感!」。ちょっとした息抜きに録りたいとさとこがいってきたものだ。
今日は夏至で、朝からかなり暑い。そして築76年の羽根木の家にはエアコンなどない。取り付けたとしても、古い木造家屋ではほとんど効き目はないだろう。
さらに、録音用のブースは密閉されるので、ほぼ蒸し風呂状態。
そんな中、さとこはがんばってくれた。
「霊感!」は通して聴くと70分を超える作品。収録にはそれの3倍くらいの時間がかかる。午前中に1回の休憩をはさんで2時間。昼食をはさんで、午後にやはり1回の休憩をはさんで2時間。
終わったときには、さとこも私もへろへろになっていた。
が、楽しくなかったかといえば、そうではない。オーディオブックの収録は大変な側面はもちろんたくさんあるが、基本的に楽しみなのだ。文芸作品とこれほどじっくり濃密にすごせる時間は、ほかにはちょっとない。
私は職業小説家になって25年以上たっているが、これほど濃密に文芸作品と向き合うようになったのは、オーディオブックを製作するようになったここ10年ばかりのことだ。若いころ、漫然と本を読み散らかしていた時間とは比較にならないほど、濃厚な文芸作品との時間をすごさせてもらっている。
アイ文庫ではオーディオブックの読み手の育成をおこなっている。
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