2011年6月10日金曜日

朗読の呼吸と自律神経系の調節機能の関係

現代朗読協会の朗読ゼミに定期的に来るゼミ生や、ツイッターのタイムラインに表示される知人の話を聞いていると、この時期、なんとなく身体の不調を覚えている人が多いようだ。
テレビや新聞などにも、季節に変わり目に不調を訴える人が、とくに女性に多い、とある。そしてその原因は、自律神経の不調によるものだ、ということを聞く。
たしかにそうかもしれない。

昨日のゼミでは、この自律神経と呼吸のことについて、割合くわしく説明したりした。その内容を簡単に書いておく。

末梢神経系には植物性機能を担う自律神経系と、動物性機能を担う体性神経系がある。それぞれ不随意神経系と随意神経系である。
付随神経系の自律神経系には、よく知られているが、交感神経と副交感神経がペアになっている。また、随意神経系の体性神経系は、運動神経と感覚神経がある。

前者の自律神経について簡単に解説すると、交感神経は呼吸や脈拍を早めたり、気持ちが亢進したり活動的になるときに働く。ようするに、日中の活動時に働く神経で、ストレスを受けたときにも交感神経が優位になる。
逆に副交感神経は呼吸や脈拍がさがり、気持ちも落ち着くときに優位に働く。いわば休息の神経で、内蔵は逆に活発になったりする。ストレスの解消も副交感神経が優位になったときにおこなわれる。

ここからは私の考えだが、現代人の生活はとても活発で忙しく、そしてストレスフルだ。なので、放っておくと興奮状態が続き、休息が充分にとれなくなる。夜になっても副交感神経がうまく働かず、ストレスが解消されないまま翌日へと持ち越してしまう。
これが続くと、鬱や不安神経症などにおちいってしまうこともある。
最近、ヒーリングのためのコンテンツや場所が増えてきているのは、そういった現代人のニーズによるものだろう。
これらの自律神経の乱れが、人にさまざまな不調をもたらす。とくに季節の変わり目にはそれが起こりやすいのだろう。

自律神経は自分でケアすることができる。
まずいわれるのは、規則正しい生活だが、なかなかそのように生活できる人は少ない。そこで、自律神経、とくに副交感神経を優位にする方法があるので試してみることをおすすめする。
呼吸を使う方法である。
心身のメンテをする最良の方法が呼吸を用いることであることは、古来から先人がよく知っていたことだ。その証拠に、禅、ヨガ、古武道など、多くのものに呼吸法が用いられ、そしていまも大切に伝えられている。

メカニズムは単純だ。
交感神経が優位になると、速く浅い呼吸になる。副交感神経が優位になると、ゆっくりと深い呼吸になる。
これは逆のこともいえる。速く浅い呼吸をおこなうと交感神経が優位になり、ゆっくりと深い呼吸をおこなうことで副交感神経を優位にすることができる。
この副交感神経を優位にするゆっくりと深い呼吸、とくにみぞおちより下部にある呼吸筋(インナーマッスル)を使った呼吸が、副交感神経を優位にするとても有効な方法であることがわかっている。

これはおまけだが、速く浅い呼吸で交感神経が優位になっていると、食欲が刺激され、摂食中枢がよく働く。ストレスも摂食中枢の暴走をもたらすことがある。つまり太りやすくなる。
逆にゆっくり浅い呼吸で副交感神経が優位になっていると、食欲は抑えられ、摂食中枢も落ち着いている。つまり、過食にはなりにくい。

私がおこなっている「音読ケア」は、この呼吸法に「音読」という声帯の振動をともなった自分の声を使う、より具体的で効果がわかりやすい方法だ。しかも、いつでもどこでも、自分ひとりで、道具を使わずにおこなうことができる。
もちろん、季節の変わり目などに多い「なんとなく不調」にも、一定の効果があるだろうと思う。
音読ケアに興味がある方は、こちらをご覧ください。