2013年9月15日日曜日

法然院ライブ当日パンフ原稿

東日本大震災から二年半、東京にいるとまだまだ震災の余韻や傷跡を色濃く感じることが多い。げんに事故原発は蓋をあけたままであり、放射性物質の問題も看過できない。京都にやってくるとおだやかな空気感にほっとするような気がする。
 私は学生時代をふくめ足かけ八年ばかり京都に住んでいたことがあり、まさに青春の地といっていい。住んでいたのもこの東山界隈を中心にずっと左京区内だった。ここから近くでは岡崎や出町柳、一乗寺にも住んでいたことがある。もちろん法然院界隈で遊んだり、歩きまわったりしたこともある。そんな思い出深い場所に、いま現在おこなっている現代朗読と即興音楽でふたたびつながることができるということに、かぎりない喜びを覚えている。
 今回、京都在住の琵琶奏者・片山旭星さんをお迎えすることができたことも喜びのひとつだ。そもそも、これまで何度も法然院で演奏の機会を持たれている旭星さんがいなければ、この公演も実現しなかっただろう。
 琵琶、現代朗読、そしてシンセサイザーという現代楽器によるセッション。即興性を重視しているユニットが、法然院という空間と、彼岸すぎの夕刻という時間と、おこしいただいたみなさんという関係性のなかで、どのような旅ができるのか。あるいはどのような風景を見ることができるのか。
 そしてどのような祈りをささげることができるのか。
 法然院という祈りの場所において、東北の被災地や、首都圏でおびえと悲しみを抱えて暮らす人々たちにたいし、ひとつの祈りの形として今回の公演をささげたいというのが私の個人的な思いだが、共演のふたりも、そしてみなさんも、たぶんそれを許してくれるのではないかと想像し、演奏をはじめることにする。


台風接近中ですが、ライブの時間には京都方面から遠ざかっているようです。
お近くの方はぜひいらしてください。
法然院ライブの詳細はこちら


作品
「夢十夜 第二夜」夏目漱石
「コップのなかのあなた」水城ゆう
「特殊相対性の女」同

出演
 朗読 野々宮卯妙
 琵琶 片山旭星
 シンセサイザー 水城ゆう

主催
 法然院サンガ
協力
 現代朗読協会