2011年4月6日水曜日

新たなる祈りのトポス

ピアニストのウォン・ウィンツァンさんの事務所SATOWAが主催するチャリティーコンサート「新たなる祈りのトポス」に、鈴木重子さんがゲストで歌うというので、三鷹市芸術文化センターまで行ってきた。
ここの「風のホール」はとてもいい感じの中くらいのコンサートホールで、音楽や、少し規模は大きいが朗読にも合う感じ。

ウォン・ウィンツァンさんは震災後のこの3週間、ずっと毎日、Ustreamで自分のスタジオからライブ演奏を配信しつづけてこられた。これも一種の祈りの形なのだろうと思う。
私はこの一か月近く、羽根木の家でボランティアイベントを開催したり、いつものようにゼミやワークショップを開いたり、原発事故の情報を解説しながらブログで流したりしていたが、あらためて考えてみると「祈り」のための時間は多くなかった。
もっとも、「春うふ2011」でご来場の皆さんと一緒に祈ったのは、私のとってとても大切な時間であった。
祈りのための時間を、個人的にも少しずつ作っていきたいと、今日のコンサートを聴いて思った。

コンサートはウォンさんのソロピアノから始まった。10曲近くあったろうか。いずれもリリカルで、深い響きの演奏だった。
トークも震災のことに触れながら、重くならず、楽しかった。
振り返って、私の演奏とトークはどうだろう。ずっと地に足がついてない演奏やトークが多かったように思う。
音楽を演奏することも一種の祈りの形だ。これからは私なりに彼方の風景に向かって演奏(祈り)を心がけていこうと思う。貴重な時間を大切に使っていこう。

後半は鈴木重子さんの歌がメイン。
重子さんの最初の歌は「春よ来い」。最初のワンフレーズで鳥肌が立つ。重子さんの存在が歌声に物質化していると感じるほどの存在感。ビリビリと響く。この歌を聴けただけでも、今日行ったかいがあったと思えるほどだ。
このあと、「マイ・フェバレット・シングス」「イマジン」「フラジャイル」など、おなじみの曲を聴かせてもらった。
いいとかよくないとかいう評価を超えた、とても深くて心に残るコンサートだった。
ひょっとして、こうやって3.11以後の日本は変わっていくのかもしれないと、いまふと喜びを持って思ったところだ。

コンサートは思ったより長くなり、終わったのは9時半。
9時前くらいには終わるだろうと思っていたので、この後中野の〈スイートレイン〉まで板倉克行さんのライブを聴きに行くつもりだったが、明日一日げろきょデーなので夜更かしを断念して、帰宅。

明日は10時半、14時、19時のそれぞれ、現代朗読ゼミ。21時からはUstreamでのネット生ライブ中継をおこなう予定。
いずれも見学歓迎。おいでになる方は現代朗読協会にご一報ください。
⇒ http://www.roudoku.org