現代朗読では、朗読という表現行為は身体表現である、ということをいつもいっている。
たいていの人はそれで「ああそうね。言葉とか声を使うしね」と同意してくれるのだが、実際に私たちが提唱している「身体表現」にはもっと深い意味がある。
自分の身体の「presense」に意識を向けること、身体の「構え」に意識を持つこと、身体の状態が変わることで伝わるものが変わることを知ること、身体の状態でコミュニケーションの質そのものが変化すること。こういったことをエチュードを通して学んでいく。
だから「現代朗読体験講座」というものを用意して、まずは体験してみてほしい、と呼びかけているのだ。
新刊書『音読・群読エチュード』にこのようなことを書いた。これは子どものことを考えながら書いたものだが、大人でも変わりはない。
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声を出す。ことばを発して本を読む。これはふたつのことを同時に体験します。
ひとつめは「読書」という体験。文字を読み、理解し、そのことを想像して思いをはせることは、一種の体験です。そのとき身体が動いていなくても、本のなかの登場人物の動きにあわせて読み手も運動神経が刺激されています。疑似体験ともいいますが、本に書かれていることをリアルに想像することは、読書体験ともいうべき一種の「運動」です。
もうひとつは、実際に声を出して読みあげる、という、まさに「運動」そのものです。
言葉を発するとき、人はじつにさまざまな運動能力を使います。筋肉と骨格をコントロールして「発語」します。筋肉に命令をあたえるのは運動神経です。筋肉と骨格が正しく運動しているかどうかを確認するのは感覚神経です。視覚も聴覚も使います。
発声には呼吸がともないます。呼気によって声帯を震動させ、声を出します。呼吸のコントロールも筋肉と骨格に関係があります。また、姿勢の保持、変化も必要です。つまり、声を出して本を読むという行為は、運動そのものなのです。
これが読書体験とむすびついたとき、子どもにはとても大切な「リアルな体験」となって身体とこころをはぐくむ大きな力となります。
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大人相手の場合、この後さらに、身体の構えや無意識に作ってしまっている「準備」などについて分析・自覚してもらうことになる。
次回の現代朗読体験講座は今週末4月9日(土)の午後に開催されます。詳細はこちら。