ナンセンスユーモア作家・船渡川広匡シリーズのつづき。
この養成塾で最初のほうに取りあげた船渡川広匡の「せみ」という作品があります。覚えておいででしょうか。
その講評で、私は、まだ(セカンドステージの)技術がともなっていないこと、冒頭部分に問題があることなど、いくつか指摘しました。
それを受けて彼が書きなおしてきた作品を、今回は紹介したいと思います。
ところで、書き直しという作業は必要です。面倒ですが、必要です。
表現には、自分の内面から湧き上がってくる自分そのもののオリジナルなイメージをつかまえるファーストステージと、それをつかまえたあとに「人に読ませるための作品」として整えていくセカンドステージがある、ということはすでに述べました。そのセカンドステージの話です。
質の高いもの書きは、自分がいったん書きつけたものを執拗に書きなおします。何度も何度も書きなおします。締切りに追われて、書き散らしたものをそのまんま出版社に渡しているように見えても、ゲラ刷り(著者校正)の段階で書きなおします。ゲラ刷りはたいてい一校、二校と出てきますから、しつこくしがみついて直します。印刷が間に合わなくなるギリギリまで直しつづけます。
そのとき著者は、著者と読者のあいだを行ったり来たりする存在となっています。自分の書いたものを読者の視点で読みかえしながら、気にいらない部分を著者に立ちもどって書きなおします。そしてまた読者に戻り……という具合に、何度も行ったり来たりしながら直していくのです。
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