2011年8月20日土曜日

ものを書くのに適してる時間

私はことあるごとに「夜書いた文章はクオリティが低い」といいつづけ、作家をめざす人には朝型の生活をすすめている。文章はなるべく早い時間帯に書くように忠告している。
これをまじめに聞いてくれる人はあまりいないのだが、ちゃんと根拠がある忠告なので、いまさらながらその根拠を説明しておく。

いろいろな説があるが、人類がいまのように知能を発達させ、ヒトとして進化をとげた形になったのが、いまから500万年前とも600万年前ともいわれている。ま、ひとまず500万年前としておこう。
そのうち、人が日常的に「明かり」とくに「電灯」を使用して夜でもものを読んだり書いたりできるようになったのは、たかだかここ100年かそこいらにすぎない。それまでは夜は休息の時間であった。労働の時間ではなかった。
また、農耕が始まって食料を備蓄する生活が始まったのは、たかだかここ5000年(0.5万年)くらいのことにすぎない。つまりそれまでは、食料は朝起きたらすぐに「採取」もしくは「狩猟」しに出なければならない生活をしていたのだ。

人類500万年の歴史のうち、499.5万年までが採取・狩猟生活だったわけだから、現在の人もそのころとそう体質が変わっているわけではない。つまり、採取・狩猟生活をしていた昔とおなじ体質のまま、現代生活を送っているわけだ。
朝起きたら、ただちに採取・狩猟に出なければならないわけで、しかも空腹であろう。お腹が減っているだの、眠いだのいっていては、生命にかかわる。つまり、朝起きてすぐの時間に最大の能力が発揮できるようになっていなければならない。というより、そういう体質の人間だけが淘汰されて生き残ってきたというのが、500万年の歴史であろう。
現代人も本当は、朝起き抜けの空腹時に最大の能力を発揮できる体質を受けついでいるはずだ。運動能力、思考能力ともに、朝最大に発揮されるのだ。でなけりゃ生きのびることができない。

そうやって能力を発揮して採取・狩猟をおこない、無事に食料にありつけたあとは、なるべくエネルギー消費を抑えてのんべんだらりとすごす。夜は運動も思考も抑制して、朝まで生きのびるために静かにすごす。
これが人の生活スタイルなのだ。
だから、夜書いた文章は「能力の低いときに書いた」文章となる。

(以下、略。本文全体は養成塾のメールマガジンで掲載しています)

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