昨日は下北沢・音倉で開催していた「音読日めくりスケッチ展」の最終日で、それにあわせてげろきょのみんなに協力してもらって「日めくり朗読ライブ」をおこなった。
とはいえ、準備期間がたいへん短かったので、稽古は限りなくゼロに近い回数しかできなかった。
8人が出演してくれたのだが、出演者が全員集まったのは本番当日の昨日。
しかも、開場まであと3時間あまり、という時刻。
そこからかいつまんで稽古をやり、音倉に移動し、現地で確認し、というかなりあわただしい進行だった。
入場料を取るライブに対してそのような短時間の稽古でいいのか、という向きもあるかもしれない。
いつもいってることだが、私たちは自分たちの表現を「等価交換」で売っているのではない。
しかしついでにいえば、私たちは日々の生活のなかで限りない時間を朗読のために費やし、昨日の本番での表現を準備している。
「等価交換」でいえば巨額の報酬をいただいても足りないほどだ。
しかしまあ、そういうかんがえかたはしない。
午後3時、羽根木集合。
その前の時間は、午前10時からボイスセラピスト1級講座の第2期前半をやっていたのだ。
1時間あまりの時間を使って、かいつまんで台本の段取りの確認。
準備期間が短いにも関わらず、今回の台本は音読エチュードの連続であり、かなりこみいっている。
からみや動き、出入りの連続だ。
準備がほとんどできなくてもこれだけの台本を任せられるのは、げろきょメンバーだけだろう。
一般的な劇団だったらたっぷり1ヶ月は稽古する内容だ。
4時半すぎに羽根木を出て、全員でぞろぞろ歩いて下北沢へ。
5時、音倉入り。
ステージの確認、場所と動きの確認、照明の確認など、すぐに時間がたち、あっという間に開場時間となった。
例によって集客には苦労していたのだが、思ったより大勢の方が来てくれた。
げろきょメンバーがFacebookなどで呼びかけてくれたのが功を奏したのだ。
おかげで赤字にならずにすんだ。
ありがたい。
午後7時開演。
まずは私のピアノ演奏からはいる。
弾く内容はなにもかんがえていない。即興演奏。
ただ椅子にすわり、鍵盤に手を置いて、自分の内側と外側との交流から生まれてくるかすかな火花のような信号をたよりに、音をつむいでいく。
いったん音が生まれ、動きはじめると、あとはそれについていくだけ。
あとでこの演奏が好きだった、という声をいくつかいただいて、うれしかった。
一曲弾いたあとは、げろきょメンバー登場。
漱石の「草枕」を自由リレー朗読しながら、客席の間をうろうろと歩きまわり、やがてステージへ。
すぐにつづいて賢治の「なめとこ山の熊」の立ったり座ったりを繰り返しながら円陣でぐるぐる回る朗読。
という風に、エチュード的な群読を次々と繰り出しながら、およそ1時間の朗読パフォーマンスをスリリングにこなした。
アクシデントもいくつかあったが、お客さんにはそんなことはわからなかっただろうし、私たちもそれを吸収し、楽しみながら、ライブをサーフしていった。
終わってから、たっぷり汗をかいて痩せた、という人とか、体脂肪が減った、という人とかいて、おもしろかった。
朗読ライブにそんなのありえない。
ライブ後は音倉で飲み食いしながら、お客さんと歓談。
充実したパフォーマンスのあとは、この時間がとても楽しい。
9時すぎに音倉を撤収。
何人か残った人たちと羽根木にもどり、あらためて軽く打ち上げ。
11時すぎ、全解散。
あわただしかったけれど、終わってみればとても印象の強い、ずっと記憶に残るかもしれない一日となった。