2019年3月22日金曜日

ベルリン最終日、ミッテ地区を歩く

ミッテという地区はブランデンブルク門からまっすぐ東にのびる大通り〈ウンター・デン・リンデン〉の東の端にある博物館島の北のほうにあって、ユダヤ教のシナゴーグが目印になる。
大きな美術館は行ったけれど、小さなギャラリーはあまり見てなかったので、ギャラリーや小さな現代美術館が集まっているミッテ地区に、最終日に行ってみた。

アートの街で、朝が遅い。
(なぜアーティストは朝が遅いのか)
ちょっと早めに行ってしまったので、どこもあいていない。
困った。
カフェでコーヒーを飲んだりしながら、時間をつぶす。

観光客がけっこう多い。
犬の散歩をしている人もちょくちょく見かける。
だれもリードをつけていない。
犬は普通に人といっしょに店を出入りしている。

お昼をすぎたので、まずクンストヴェルケ現代美術センターに行ってみた。
ここではいま、デビッドなんとか(読めない、発音できない)という映像作家の大きな展示をやっている。
ちなみにこんな表記。

 David Wojnarowicz

写真とムービー、というかビデオアート。
いまグーグルで調べたら、デイビット・ウォジャローウィッチュと読むそうだ。
1954年アメリカ生まれ、1992年没。

クンストヴェルケを出て、ミッテ地区をぐるりと歩く。
いまベルリンでは「へーフェ」と呼ばれる集合施設がたくさんできているらしく、この地区にもいくつかあった。
これは、建物がいくつか建ちならんでいる表側ではなく裏側に中庭のような空間ができていることが多いのだが、そこを取りかこむようにして店をつくっている場所のことだ。

レストラン、カフェ、ギャラリー、ライブハウス、ブティック、雑貨屋、そんなものが中庭をぐるりと囲んでいる。
通りに面していないので、なかなか居心地がよかったりする。

ぶらりとはいった小さなギャラリーで、どこから来たのかと店番の女性に声をかけられた。
写真を中心にした作品を売っている店で、とくに木の板に薬を塗り直接プリントした作品が多かった。
木肌によっと独特の効果をあげている。
それらの作品はドイツで作られたものではなく、これはオランダから、これはタイから、これはチェコから、といくつか説明してくれた。
それらを買いつけているのか、それとも集まっているのか。
そう高価ではなく、手頃な値段だった。
買わなかったけど。

ふと見つけたおもちゃ屋でおみやげにと飛び出す絵のコースターを買ったら、ここでもどこから来たと訊かれた。
日本からと答えると、コンニチワと挨拶され、
「映画が好きなんだ。サムライ、ショーグン、ニンジャ」
と陽気に単語をならべた。
ものを売る店の店員はたいていぶっきらぼうだが、ここはめずらしく愛想がよかった。

ほかにもユダヤ人墓地にはいろうとして、男性は帽子を着用してくれと注意書きがあってあきらめたこととか、壁におびただしい銃弾の跡があってそれが残されているのを見たりとか、いろんなことがあった。

書きたいことはまだまだたくさんあるが、自分の体験としてしまっておいて、いつかストーリーになるかもしれない。
ベルリン滞在最後の日はあちこち歩きまわって、万歩計はかるく2万歩を突破した。

今回の旅はほんとによく歩いた。
自分がこれだけ歩けたことが、驚きだし、お祝いでもある。