2019年3月14日木曜日

現代アートから中世へと迷いこむ


カフェで休んだあと、現代アート美術館を鑑賞する。
荷物やかさばるダウンジャケットを預ける。

そういえば、こちらの住民は、なにしろ北海道より北の緯度だ、ダウンなどの防寒着を着こんでいるが、なぜかみんな地味な色あいだ。
黒とか茶とかくすんだ紺とか。
私は何年か前に買ったパタゴニアの真っ赤なダウンジャケットを着てきたのだが、きっと目立っていることだろうな。

荷物を預けるのはロッカーでもクロークでもいいらしい。
クロークには係員がいて、預かり札を出してくれる。
無料。
ロッカーは1ユーロいるが、あとで返ってくるので、結局は無料。
なんでクローク係がいちいちいるのか、よくわからない。
駅など徹底的に合理化されてほとんど人がいないのに、美術館・博物館はクローク係とか、監視係とか、やたらたくさんいる。

現代アート美術館は、まことに現代アート美術館らしい造りと内容だった。
ドイツのアーティストを中心に、現代アートの「いま」と「ちょっと前」を観たり感じたりできるようになっている。
まさにコンテンポラリー作品と、すこし前の印象派やシュルレアリスムあたりからの流れも展示されていて、なかなか楽しい。

テレビか映画か、機材からたぶん映画だと思うが、撮影がおこなわれていた。

美術館を出ると、前には巨大なオブジェが宮殿広場に食いこむように設置されている。
「宮殿」というくらいだから、君主制時代のものだろう、旧宮殿と新宮殿に囲まれた広場で、そこに現代美術のオブジェがしっくり来ているのはおもしろい。

宮殿広場をめぐってみる。
広場の中心には背中に羽を生やした天使の像かな、高々とそびえ建っている。
その向こうには新宮殿が威圧感たっぷりに空間を占領している。
新宮殿に向かって右側、南側には旧宮殿があり、そこは博物館になっているということで、行ってみることにした。

旧宮殿に向かっていくと、その奥に美しい尖塔が見えたので、そちらまで行ってみた。
教会のようだ。
ここも別の広場になっていて、広場を取り囲むように古い建物が建っている。
時代がいきなりさかのぼる。

さらに旧宮殿の中庭にはいっていくと、時代は完全に中世になる。
折しも、正午の鐘があちこちから響いてきて、中世の建築物に囲まれた中庭にいる私は、一気にタイムトラベルしたような気分になった。
授業の見学なのか、先生に連れられた小学生くらいの子どもたちが博物館から出てきたり、入っていったりしているのが、未来からタイムスリップしてきたように見えた。