2012年8月30日木曜日

Scrivenerという物書きには極めつけのソフト

私は書くことが仕事でもあるが、それ以前に「書いていることは呼吸することとおなじであり、書いていないと死んでしまう種類の人間」でもある。
職業的ライターは仕事の注文がないと書かないし、注文がないときはできるだけ体力をセーブし、注文が来たときに備えて無駄な動きはしない。
小説家は仕事の注文があろうがなかろうが、毎日、ヒマさえあれば書きつづけている。
体力をセーブするなんてことはかんがえもしない。
そういう種類の人間なのだ。

人に会っているほかはたいていコンピューターに向かっているので、メールや音声・動画編集のほかは、文字を書いている。
ブログ記事、日記、本、詩、小説、いろいろなものを書きちらしている。
こういう人間にとって、膨大に蓄積していくさまざまな種類のテキストファイルをどのように整理するか、というのは重大な問題である。

これまでにさまざまなワープロソフト、エディター、アウトラインプロセッサ、その他書き物系のアプリを使いこんできたが、それぞれ一長一短で妥協しながらなんとかやってきた、という感じだ。
最近ではJeditというエディターに落ち着いていたが、これは単品エディターなので、ファイル管理はできない。
エディターとしては優秀で、Macのソフトなのに縦書きにも対応していて、具合がいい。

けっこう使いなれていたのだが、雑多な大量の文書ファイルをどう整理するかについての解決にはならない。
結局、文書ファイルのためのフォルダーを作り、その中に「小説」「詩」「エッセイ」「ブログ」「日記」などの下層フォルダを作り、そこに文書ファイルを放りこんでおく、というやり方に落ち着いていた。
しかしこれだと問題があり、たとえばブログに掲載したエッセイはどのフォルダに入れるんだ、ということになる。
適当に分類して放りこんでしまうのだが、あとで探すときにめんどくさい。

できれば自分が書いたものは全部おなじアプリ内で閲覧できるようにしておきたい。
なかにはあとで電子書籍にまとめようと思って書いているものもあるので、そういったひとまとまりの「本」としてあとで改訂できるようにもしておきたい。
一時、MacJournalというアプリを使っていて、これはけっこう重宝していたのだが(いまでもたまに使っている)、なんとなくインターフェースが気に入らなくて、疎遠になってしまった。

そんなところへ、最近、強力なアプリの存在を知った。
それがこの「Scrivener」だ。
英語バージョンだが、日本語も問題なく使える。
どうやらブックライターのために機能を特化させているらしいのだ。

テキストの断片の管理はもちろん、アウトライン・プロセッサや、コルクボードというちょっとしたメモを貼りつけておいて参照する機能もある。
コルクボードのメモをいれかえると、それに対応したテキストの断片もいれかわったりする。
書いているテキストの資料として画像や文書、動画などをぽんぽんと放りこんでおいて、いつでも参照できる。

実はこの記事もScrivenerを使って書いている。
左側に表示されている「Binder」というカラムのなかに「執筆中」というフォルダを作って、書きかけのものやこれから書きたいものはそこに適当にタイトルをつけて文書を作っておく。
ここにどんなことを書くのか、アイディアメモのようなものもコルクボードに書きつけておくこともできて、それはしかし本文には影響しない。
どんどん書いていって、完成したら、ブログにアップすると同時に、記事は別のプロジェクトにドラッグしておく。
ときどきそのプロジェクトを開いて、アウトラインモードで順番を入れ替えたり、書き直したりして、ある程度まとまってきたら電子書籍にすることもできるだろう。
長い文書を途中で分割して、別々の文書にするなんてことも、簡単にできる。

大変使いやすい。
App Store からダウンロード購入もできるが、メーカーサイトからは1か月間無料で試用できるバージョンもダウンロードできるので、まずはそれでじっくり試してみるほうがいいだろう。