2013年7月25日木曜日

よりよく活動するために骨盤を立てる

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いま、これを読んでいるあなたは、どんな姿勢を取っているだろうか。
椅子に腰をかけている?
だとしたら、骨盤はどうなっている?
骨盤が寝ていて、背中は椅子の背もたれにもたれかかっている?
あるいは骨盤が立っていて、背中は背もたれから離れている?

以上のチェックは、実は日々のアクティビティについて非常に重要な事柄なのだ。
そのことについて簡単に説明を試みてみる。

姿勢が健康にとって重要なのは、それによって「呼吸の質」が左右されるからだ。
脊椎が前のめりに曲がっている状態、いわゆる猫背の状態のとき、腹部はどうなっているだろうか。
みぞおちからおへそのあたりにかけて圧迫され、つぶれている状態になっていることを確認してみてほしい。
そのとき、呼吸にとってもっとも重要な器官である横隔膜は、内蔵によって下から押し上げられている。

横隔膜が動きにくくなっているとき、呼吸は肋骨を上下させることで保たれる。
外肋間筋が収縮して肋骨全体が上行することで、胸郭がふくらみ、空気がはいってくる。
内肋間筋が収縮して肋骨全体が下行することで、胸郭がすぼまり、空気が出ていく。
横隔膜が動きにくくなっているので、どうしても胸の上部だけの浅い呼吸になってしまう。
当然、呼吸数も増える。

浅くて速い呼吸は交感神経の亢進を誘う。
交感神経は活動・消耗の神経なので、体温が上昇したり、血管が収縮して血圧が上昇したりする。
また、興奮物質であるドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンなどが分泌される。
じっと座っているのに、身体は活動状態になり、脳内にも興奮物質が分泌されている。
意味もなく落ち着かなかったり、感情の起伏が大きくなったり、いらいらしたり、怒りっぽくなる。

落ち着いた状態でいるためには、これを避け、呼吸を深くゆっくりとしたいのだ。
深くてゆっくりした呼吸は、休息・回復の神経である副交感神経を亢進させる。
そういった呼吸を姿勢によって保証しておきたい。

脊椎が前のめりでもなく、後ろにそりかえってもおらず、ただまっすぐに立っている状態。
これが横隔膜の自由な動きを保証し、深い呼吸をもたらす。
脊椎をまったぐ立てるためには、骨盤の角度を意識するのがよい。
座骨が椅子の座面にあたり、そこから骨盤がまっすぐに立っている状態を意識すれば、脊椎は自然に上にまっすぐ伸びることになる。
この姿勢を保持するのは、姿勢筋(深層筋)が弱っている人にとってはなかなか大変だ。
しかし、これによって落ち着いた心身をたもつのだから、日ごろから姿勢筋を鍛えることを心がけておくといいだろう。

こういった呼吸、姿勢と心身の状態との関係性について、音読療法(ボイスセラピー)でもくわしく学ぶことができる。
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