2011年3月31日木曜日

原発事故のこれからと高速増殖炉もんじゅのいま

フランスからサルコジが来たり、アメリカからスリーマイル島の事故のときに事故処理にあたったチームが来たりと、東京電力福島第一原発事故への各国からの支援が本格的になってきた。
心強いと同時に、この事故が一国の問題ではないことを考えさせられる。

原発は相変わらず高濃度放射性物質を含んだ水の排水に苦労しており、作業は遅々として進んでいない。
また今日は、水素爆発のときに敷地内に散らばった放射性物質を付着させたさまざまな破片や土壌から、大気中に放射性物質を飛散させないために、水溶性の樹脂を散布して固着させる予定だったが、天候のせいで実行されなかった。
明日以降の進展に期待したい。

この震災と事故のためにすっかり忘れられている(あるいはまったく知られていない)が、福井県にある高速増殖炉もんじゅも事故を起こしてにっちもさっちもいかない状況になっている。このことを指摘しておきたい。

もんじゅは福井県敦賀市にある日本原子力開発機構の高速増殖炉である。
高速増殖炉というのは、高速中性子による核分裂連鎖反応を用いた増殖炉のことで、特徴としては簡単にいえば燃やした燃料より多くの燃料が生成されることだ。MOX燃料というウランとプルトニウムの混合燃料を使う。だから資源の少ない日本にとって「夢の原子炉」などといわれて、もてはやされたことがある。
私は福井テレビのクルーとともに、完成直前のこの施設を見学したことがあり、ピラミッドのような巨大な機械の塊に圧倒されたことを覚えている。

もんじゅは1995年に、本格運転の直前、ナトリウム漏れ事故を起こした。
その後、14年以上、運転が停まっていたのだが、いよいよ再開するという昨年5月、核燃料を交換する作業中にふたたび事故を起こした。
今回の事故は、燃料棒を交換するときに炉心に挿入する「炉内中継装置」が、引きあげ中につかみ装置がはずれて炉内に落下し、抜けなくなったというものだ。
炉内中継装置は長さ12メートル、直径55センチ、重さは3トン以上もある。これが炉心に落下したというのだから恐ろしいが、幸い燃料集合体の上ではなかったために、核燃料は破損していない。
が、おそらく落下の衝撃で変形したらしく、引きぬこうとしてもにっちもさっちもいかない状態になっている。詳細はわかっていない。
なぜわかっていないかというと、もんじゅの炉心は沸騰水型軽水炉のような水の代わりに、液体ナトリウムで満たされているからだ。液体ナトリウムは不透明な液体であり、また空気や水に触れると激しく反応するため、炉心を直接視認することはできない。

この事故に関連して、復旧にあたっていた担当課長が自殺する、という事件が起こっている。
また、復旧作業は複雑な工程を必要とし、困難を極めるといわれてもいる。
この巨大で複雑で、運転が難しい原子炉を、このまま無理やり再起動させて、稼動まで持っていくのがいいのかどうか。
これもまた日本だけでなく、地球全体の問題であるといえる。