2013年2月20日水曜日

ヴァレリー・アファナシエフ『ピアニストのノート』

帯の文句が「世界的ピアニストによる選書メチエのための書き下ろし」とある。アファナシエフというピアニストは知らなかったが、旧ソ連モスクワ生まれ、現在はフランス在住らしい。
はっきりいって読みにくい。
が、音楽とピアニストであること、世界の街を旅すること、時間、沈黙、聴衆、文学のことなど、縦横無尽というと言葉はいいが、脈絡なく語られていく。
音楽家の思考過程をそのままのぞきみるようなおもしろさがある。

理路整然とした論文ではないし、読みやすいエッセイでもないが、断片的にイメージを喚起されるような刺激があって、文字を読むことそのものの楽しみを思いださせてくれる。
けっしてだれにでもおすすめできる本ではないが、私は楽しめてよめた。
ピアノ好き、音楽好き、思考好きの方にはおすすめ。