2013年11月27日水曜日

共感的コミュニケーションとNVC

よく、「共感的コミュニケーションとNVCってどう違うんですか?」と訊かれることがある。
答えはシンプルで、「おなじです」。
ただし、マーシャル・ローゼンバーグが提唱したNVCはそれを学んだり研究したりするためのいくつかの公式な機関・団体があって、そこで認定を受けたトレーナーが公認トレーナーとして全世界で活躍している。
私は公認トレーナーではない(日本にはまだ公認トレーナーはいない)。
公認トレーナーは「NVCを教える」ことができるが、私は公認を受けていないので「NVCを教える」といわないようにしている。
NVCの精神を受け継ぎ、自分なりに修練し、理解を深めたものを、より多くの人に知ってもらいたいという気持ちで勉強会やワークショップを開催している。
マーシャルもはっきりいっている、NVCを学んだ者はその理解がどの程度であれ、どんどん人に教えてみてほしい、と。
私はマーシャルのその精神を大切にしている。

ついでにいえば、マーシャルのその精神を含むNVCの理念を私に教えてくれたのは、マーシャル・ローゼンバーグの著書『NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法』の監訳者である私の友人の安納献氏だ。
私の共感的コミュニケーションの勉強会に参加して、より深く学びたい、直接NVCの精神に触れてみたいと思った方は、安納献氏のワークショップに出てみられることをおすすめする。
さまざまな場所で献ワークショップが開催されているし、羽根木の家でもおこなわれている。

NVCはいろんなトレーナーやファシリテーターがそれぞれの個性を生かして伝えることをしていて、核になる考え方はゆるぎないものだが、受講者にとっては相性があったり切り口がしっくりきたりこなかったりして、どういう場面で「腑に落ちる」チャンスがおとずれるかわからない。
だから、さまざまな機会をとらえて学んでみてもらいたいと思っている。
私の勉強会に来る人も、「わかりやすい」といってくれる人もいれば、正当性を疑う人もいる。
それでいいと私は思っている。
私が大切にしているのは、どんな方法であれ非暴力コミュニケーション/共感的コミュニケーションのスキルを身につけてもらい、お互いに共感的なコミュニティが多く生まれ、それぞれの人生が自分をいつわらないイキイキとしたものになっていってくれることに役立つ、ということだ。

ちなみに、私の著書『共感的コミュニケーション〔入門編〕』の冒頭に、NVCと共感的コミュニケーションの関係についてどうかんがえているのか、はっきりと書いてあるので、紹介しておきたい。
電子書籍だと100円なので、買ってね、といいたいところだが(笑)。

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 共感的コミュニケーションはアメリカの心理学者、マーシャル・ローゼンバーグによって提唱され体系化されたNVC(Nonviolent Communication)を、いくらか噛みくだき、とくに言葉使いなどを日本人にも使いやすくすることを目的に整理したものだ。
 当初はNVCを日本人に使いやすいようにする、という発想でおこなっていた作業だが、最近では日本人の精神性、身体性、社会性のなかにもともとあるNVC的なものに着目し、より日本人にしっくりくる体系にしようという作業をおこなっている。
 というのは、NVCは英語圏、キリスト教圏におけることば使いや論理構造、発想法から生まれている側面が多く、日本人でも帰国子女や海外留学経験のあるバイリンガルの人たちや、クリスチャンの人たちがすばやくしっくりとNVCになじむ姿を多く見る一方、土着の日本人はなかなかなじめずに苦労する、という姿を見ることが多かったからだ。なにを隠そう、私もそのひとりだった。
 NVCにはある種の文法があり、入門者はその文法にのっとったことば使いを学ぶ必要がある。その部分でどうしてもなじめず、せっかくの宝を前にして去っていく人が多い。私もすんでのところでそうなるところだったが、幸いにも多くの仲間にささえられて入門の部分をなんとか乗りこえ、NVCの真髄に触れることができた。もし入門でつまずいていたら、私はいまも変わらず、暴力的で非共感的な世界に生き、競争的でつらい人生をはいまわっていたことだろう。
 私は現在、共感的コミュニケーションをさまざまな場面で人に伝えるチャンスを持っているが、どうすれば入口のところでつまずかないですむか、いつもかんがえている。
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電子書籍『共感的コミュニケーション〔入門編〕』の購入はこちらからどうぞ。
また、明日は午後3時からと夜7時からの2回、羽根木の家で共感的コミュニケーションの勉強会を開催します。
興味がある方はこちらからどうぞ。