2014年6月24日火曜日

オーディブックのためのマスタリング講習会

今日は午前中から、オーディオブックに特化したマスタリング技術の講習会を羽根木の家でおこなった。
音楽などの音声コンテンツを最終的に世に出す前にかならずおこなわれる「マスタリング」という工程は、音楽の世界では非常に重視され、この腕の善し悪しでコンテンツの出来が左右されるといわれるほどの重要なものになっている。
有名なマスタリング技術者やマスタリング・スタジオが存在し、1曲仕上げるのに数十万円という報酬が支払われるほどだ。

それほど重要な工程であるにも関わらず、オーディオブックに関してはほとんどマスタリングという工程が存在していない(アイ文庫や一部放送局関係のコンテンツを除く)。
オーディオブック・コンテンツの歴史が浅い(とくに日本は)というのもあるし、朗読なんてちょちょっとそのへんのレコーダーで録音すればそれで売り物ができるじゃん、というような安易な態度がまかり通っているということもある。
実際にはもちろんそんなことはない。

これはあらためて書きたいと思っているが、オーディオブックのマスタリングには、音量・音圧の調整、音質、空気感、場の質感、読み手の存在感、その読み手と作品の質感のすりあわせ、あるいは違和感の演出など、かなり高度な技術が存在する。
その技術は、私が長年、オーディオブックの収録と制作にたずさわってきた過程で苦労して発見したことであり、だれにも教わることができないまま独自に開発してきた技術でもある。
それを囲いこむのではなく、だれかに伝えられるのは、私にとってはうれしいことだ。

今日はあるオーディオブックの制作会社の方がふたりいらして、午後4時近くまでみっちりと講習をさせていただいた。
こうやってオーディオブック・コンテンツのクオリティが底上げされていくのは、おなじオーディオブックを作っている仲間としてはうれしいことである。
ほかの制作会社の人もどんどん来てくれればいいと思う。
ただし、講習費は高いよ(笑)。
本気度をはかるバロメーターですからね〜。

講習会の途中、昼間はみんなで新代田駅のところの〈香家〉に行って、担々麺を食べる。
講習会後、マスタリングでどこまでクオリティをカバーできるか、あらためて確認できたこともあって、簡易収録機材をテストしてみた。
ZOOMのQ3、H4、ソニーのミュージックビデオ、いずれもそこそこのクオリティで録音できるが、ソニーとQ3はかなりポップな音楽向けの派手な音質であるのに対して、H4は落ち着いた音声と指向性がはっきりしている点で、オーディオブックの簡易収録は(手持ちの機材のなかでは)H4がもっとも適しているという結論に。
ティアックのDR-100MK2のクオリティがすばらしいという話も聞いているが、そこまで余裕はない。
どれか処分して、それでティアックを試してみるかなあ。