2011年9月4日日曜日

次世代作家養成塾:習作&講評「バイオリン」片岡まゆみ

先週のテーマは「バイオリン」でした。このテーマでの講評をスタートします。
まずは片岡まゆみの作品を取りあげます。

この文章はほとんどの部分が「説明」による「あらすじ」でできています。
出だしの数十行は、この物語の背景や状況の説明です。これはいってみれば、結婚式などのスピーチで、
「本日はこのようなお祝いの席にお招きあずかり、まことにありがとうございます。私はただいまご紹介にあずかりましたように、新婦とは幼少のころより……云々」
というような前置きをするようなもので、現代の読み手にとってはもどかしい導入です。
前置きはともかく、ずばりと本題に、そして具体的なストーリーに切りこんでいくのが、魅力的な文章の基本です(もちろん例外はあります)。
この文章の場合、ここから始められませんか。

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轟音の中に、異質の音がひびいた。
一匹のラットが、動きを止めた。
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ここから始めた場合、書き手はさまざまなテクニックを必要とされます。
その前の数十行で書いた状況やストーリー展開の説明は、この後にどのように入れこんでいくのか。それもできるだけ「説明」にならないように。
それができれば、読者は、具体的なイメージとシーンを見ながらいきなりストーリーのなかに入っていくことができます。ここが書き手の腕の見せ所です。

(以下、講評つづきと作品本体は養成塾のメールマガジンで掲載しています)

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