2015年1月28日水曜日

ひさしぶりのキッド・アイラックで蜂谷真紀さんを聴いた

これまで一度もお会いしたことも、聴いたこともなかったのだが、お世話になっている〈ビッチェズ・ブリュー〉の杉田さんが絶賛していて、近所の〈キッド・アイラック・アート・ホール〉でライブがあるというので、ヴォーカルの蜂谷真紀さんを聴きに行ってきた(徒歩10分)。
正確にはダンスの木村由さん、蜂谷真紀さん、チェロの森重靖宗さんの三人によるライブパフォーマンスだ。

ホールではなく、三階のギャラリースペースでのパフォーマンスだった。
ここは三階と四階がぶち抜きになっている、一風変わった作りで、パフォーマンスをやるにはちょっと癖のある空間だ。
だからこそおもしろいともいえる。
私も一度ここでやってみたいと思っていて、これまで機会がなかった。

お客さんは詰めても20人もはいればいっぱいだ。
もっとも、ホールのほうも30人もいれれば満杯になるが。

今日は日中も寒かったが、夜になってさらに冷えこんできていたので、私はなんとなく暖かい四階のほうのスペースにある席をとった。
目の前にチェロと椅子が置かれている。
ファーストセットが始まってみると、そこにはチェロの森重さんが座って演奏し、木村さんは階段のところ、蜂谷さんは三階スペースのほうにいて、私からは完全にデッドになっていたが、もちろん声は聞こえる。

セカンドセットではチェロが三階に移動し、蜂谷さんが四階からスタート、という按配だった。

はじまってみると、音はまったく即興の現代音楽といった感じで、つぎになにが来るか予測のつかないスリリングな展開。
スペースの構造上、ダンスよりやはり音に注目してしまう。

初めて聞く蜂谷さんはまったくすばらしいのひとことだった。
これまで聴いたヴォイスのだれともちがっていたし、そのクオリティとオリジナリティが光っていた。
つぎからつぎへとアイディアが飛びだしてくるので、一見、頭をフル回転させているパフォーマンスのように見えるが、実はちがうと感じた。
「いまここ」に集中するプレゼンスがすばらしく、それはまるで子どもがなにかに夢中になっている姿そのものだ。

きれいな女性の方なのでついそちらに目を奪われてしまいがちだが、本質は我々現代人の大人が失ってひさしい子どもの純粋な「夢中」にあるように感じた。
これって、現代朗読がめざしていることだし、私自身、自分の音楽のなかでそうありたいと思っていることだね。

すばらしいパフォーマーを知ることができて、うれしい夜となった。
幸い、いまかなりホットで、人気もある方のようだ。
私などがあれこれいわなくても、どんどん世界を広げていかれる方だろうと思う。

余談だが、いいニュースをホールの早川くんから聞いた。
このギャラリースペースに、早ければ来月にはアップライトのピアノがはいるかもしれない、とのこと。
ぜひとも私もここでライブをやらねば。