音楽プロデューサーの池上信次さんという方が主催。
ジャズの古いアナログレコードをみんなで聴く会、くらいに思っていたのに、行ってみたら本格的な蓄音機が2台置いてあってびっくり。
1台は1931年製のイギリス・グラモフォン社製のHMV102で、ちゃんと蓋の裏に例の蓄音機のラッパに耳を傾ける犬のイラストが描いてある。
まさにこれがオリジナルの絵で、下に「His Master’s Voice」と書いてある。
もう1台は1951年日本コロンビア製のGrafonola G-241。
いずれもとても立派な音がするので、私は最初、蓄音機の音をピックアップで拾って店のスピーカーで鳴らしているのかと思ったのだが、よく見るとどこにもコードはついていない。
電源コードもなし。
一切電気を使わず、手回しぜんまいで駆動し、鉄の針で盤の溝をなぞり、ラッパ(本体の箱のなかに収容)で拡声しているだけの、完全アコースティックな装置。
そしてレコード盤も10インチのSP盤で、78回転/分。
1931年にすでにこれだけのものが完成していたことに驚く。
イベントの第一部は、チャーリー・パーカーをはじめとするビバップの全盛時代からはじまった。
1946年から1950年代初頭にかけての、まさに脂が乗りきった演奏で、パーカーのほかにもディジー・ガレスピー、バド・パウエル、オスカー・ピーターソン(の若いころ)が次々とかけられた。
パーカーと共演しているマイルスの若いころの演奏があって、まるでディジー・ガレスピーかと思うくらいバリバリにビパップスタイルで吹いているのを聴いて、ちょっとびっくりした。
第二部はジャズが録音された最初のレコードとされている盤で、1917年にリリースされたオリジナル・ディキシーランド・ジャズ・バンドの「ビバリー・ステイブル・ブルース」という曲からスタート。
そこから約10年の歴史をたどりながら、蓄音機で聴く。
サッチモことルイ・アームストロングが初めてスキャットを録音した演奏とか、自称ジャズ創始者のジェリー・ロール・モートン(「海の上のピアニスト」に出てきましたね)の演奏とか、デューク・エリントン楽団の演奏とか、ふだんめったに聴けないものがたくさん聴けて興味深かった。
時々開催されているようなので、都合があえばまた行きたい。