今夜の中野ピグノーズでのライブ「げろきょでないと」に伊藤さやかが来てくれるので、ひさしぶりにOeufs(うふ)として音楽をやることになった。
Oeufs(うふ)を知らない人のために説明しておく。
フランス語で「玉子」という意味で、扱うのは日本の童謡、唱歌、諸外国の民謡、そしてオリジナル曲。
いずれも商業音楽ではないけれど、ずっと歌いつがれてきているものを、Oeufs(うふ)独自のアレンジをほどこして、現代曲としてリニューアルしようという方向性である。
活動を再開しようとしてあらためて気づくのだが、日本の童謡、唱歌にはすぐれて力のあるメロディが多い。世界的に見ても、現代において充分に通用する美しいメロディがたくさんある。
音楽は時代とともに進歩しているように思われているが、進歩しているのはその演奏法、アレンジ、構成、楽器、電子的な処理などであって、メロディ自体はそうそうあたらしいものが生まれるものでないことはだれもが知っていることだろう。
とくに日本の唱歌はすぐれたメロディの宝庫だ。
明治期にはいって、日本は急速な西洋化政策を推し進めたが、それは音楽教育においても同じことだった。国策として進められたのだが、もともと日本人が独自に持っているメロディ感覚に西洋的な音階や和声を持ちこんだとき、唱歌という独特の味わいのある曲が生まれた。それはおそらく、アフリカ黒人のメロディ感覚に西洋音階が合わさったとき、ジャズというユニークな音楽が生まれたことと似ている。ジャズほど劇的な革新性はなかったが、それでも日本の唱歌が世界のなかでもオリジナリティの強い楽曲であることは、我々日本人がもっと認識していいことなのではないかと思う。
正直いって、私はいまちまたにあふれかえっている商業音楽にはあきあきしている。それは国内外のものを問わない。
Oeufs(うふ)はもともと日本にあるすぐれたメロディに眼を向け、なおかつ現代でも古くさくない演奏としてよみがえらせたいと思っている。またときには、外国でも古くから歌われているメロディや、オリジナル曲も提示していきたい。けっして商業音楽という枠組みではなく。
Oeufs(うふ)の活動は、今夜の中野ピグノーズ、そして今週末21日(土)下北沢〈Com.Cafe 音倉〉のオープンマイクで再起動。
その後順次、ライブやコンテンツ展開をおこなっていく。