まだ最初のほうを読んだだけだが、なかなかの良書と思われる。
第一章の「言語——記号からメディアへ」のなかに、かつては言語がたんなる記号として教育において軽視されてきた経緯があるが、いまは「メディア」として認識されていて、個々の子どもの自発的な表現欲求にたいして形を与えうるものとして考えられている、という前提をしめしたあとで、このようなことを書いている。
「それは自発性の解放ではあるが、同時に自発性を挑発し自発性そのものを教育的にコントロール可能にする試みでもあった。言語は、子どもの自発性そのものを構築可能にするためのメディアとして投入されることになる」
このように非常に示唆に富んだ考察が豊富に展開されていて、刺激的だ。
現代朗読協会も一種の「学びの場」としてあるので、このような最新の教育論は非常に有益だ。
読みすすんだらまた内容を紹介したい。
『キーワード 現代の教育学』田中智志・今井康雄/東京大学出版会