2016年5月10日火曜日

映画:ゴッホ:天才の絵筆

2009年制作のフランス映画。
いまではだれも知らない人はいない天才ゴッホについては、さまざまな伝記、研究所、番組が作られていますが、この映画は高精細な映像を大画面で見ることができるということで話題になりました。
たしかに、コンピューターのモニター画面で見ても、絵のタッチが詳細に見える精密な映像で、興味深いのです。

カメラの被写界深度を極端に絞りこんでおいて、絵を斜めに置き、画面の奥から手前にかけてピントをすこしずつずらしてなめていく映像は、まるで本物の絵に顔を近づけ、じっくりとなめていくような臨場感があります。

映像そのものも興味深いですが、私はそれ以外のところにいろいろと気になりました。

まず、ゴッホ美術館の学芸員の女性が、頻繁に登場します。
この方がなにを語るということでもなく、地下室でゴッホの手紙を書き写したりチェックしている姿がただ頻繁に映るだけなんですが、まあ美人だからでしょうか。

ゴッホの映画を作っているという映画チームも登場します。
映画チームを映画チームが撮影しているわけですね。
映画チームはレールをしいた上にどでかい(旧式の)カメラを据えて、そのわきに初老の監督が貫禄いっぱいにかまえて、「スタート」「カット」などとやっています。
ゴッホが住んでいた家とか、援助者だった医者の家とかを撮影しています。
それをこちらがまた撮影しているわけです。
不思議な構図と構成です。

ゴッホのエピソードも語られます。
住んでいた土地や家、その風景なども、ゴッホの絵と重ねあわせて描写されています。
その部分はなかなか興味深いです。

それにしても、不思議な切り口の映画です。
さすがフランス、という感じもしないわけではありません。
私の個人的なジャッジですけど。

ともに深く、ことば、静寂、音、そして空間とご自分の存在そのものをあじわうこと。ご来場いただいたみなさんにある種の「体験」を提供する試みです。14時からと18時からの2回公演。