2016年5月13日金曜日

映画:オデッセイ

2015年のアメリカ映画。
長いです。たっぷり2時間以上あります。

「ゼロ・グラビティ」や「アポロ13」の系列にある映画といってもいいでしょう。
つまり、サバイバルもの宇宙SF映画。
次世代作家養成ゼミのメンバーの奥田くんが、原作、映画ともに絶賛していて、気になってはいたんですが、なにしろ奥田くん、いまはどうか知らないけれどけっこう純正の「おたく」族なので、その感性にちょっと不信を持っていたことはたしかです(奥田くんごめん)。
しかし、あまり期待せずに見はじめたら、これがはまりましたね。
私のSF映画のベスト10、いやベスト5にいれてもいいかも、と思うほどです。

うかつな話ですが、ノンストップで最後まで見終わって、エンドロールではじめて監督がリドリー・スコットだと知りました。
そりゃおもしろいわなー。

リドリー・スコットといえば、ほぼ私のベストフェバレット監督で、「エイリアン」「ブレードランナー」「ブラックレイン」「テルマ&ルイーズ」「ハンニバル」「ブラックホーク・ダウン」など、しびれる作品ばかりです。
まあなかには「プロメテウス」などのはずれもないことはないですが、まあたくさん作ってますから、そこはそれ。
2017年にはエイリアンの続編も公開されるとかで、楽しみでしかたがありません。

「オデッセイ」は火星にうっかりひとりで生き残ってしまったマット・デイモン演じる植物学者が、水も食料も、もちろん地球に帰る手段もない、というところからどうやって生きのび、そして地球への帰還をはたすのか、という壮絶なるサバイバルストーリーです。

壮絶なんだけど、マット・デイモンの演じるキャラクターがなかなかいい味を出してます。
シビアさのなかにユーモアあり、脳天気あり、希望ありで、観ていてつらすぎるということがありません。
とくに音楽がはたす役割が大きくて、これはリドリー・スコット監督の特徴でもあるんですが、じつにうまいんですね、音楽の使い方が。

この映画では、チームの女性キャプテンのパソコンのなかにあるのが唯一火星で聴ける音楽であり、しかしそれはひどい趣味で、なぜか1980年代のディスコ音楽ばかりなのです。
それが非常に厳しいサバイバル状況のなかで脳天気に流れてくる。
このミスマッチがおもしろいんだけど、だんだんそれがストーリーと画面を引きたてていくんですね。
最後には、この映画にはディスクミュージックしかありえないでしょう、という気分にまでなってしまう。

全体の映画音楽はハリー・グレッグソン=ウィリアムズが担当していて、これがまたすばらしい。
彼は「ナルニア国物語」の音楽で有名ですが、ほかにも「シュレック」「スパイ・ゲーム」「トータル・リコール」といったいい仕事もしてます。

「オデッセイ」は最初から手に汗にぎるストーリーですが、とくに後半、地球のチームがいかにして彼を連れもどすかと知恵をしぼったり、政治的駆け引きがからんできたりするあたりから、さらにおもしろくなっていきます。
最後はもう食料もつき、ガリガリにやせたマット・デイモンが映しだされますが、もちろん替え玉でしょう、後ろ姿だしね。
でも、よくできています。

SF映画が苦手、サスペンスフルな映画が苦手、という人も、ぜひ見てみてほしいです。
ぜったいにおもしろいから。

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