2013年12月4日水曜日

自分を伝えるための「聴く技術」

コミュニケーション能力をアップさせるというと、整然とした論理とか、説得力のある発声とか、情熱のこもった話し方といった、とかく「自分を伝える技術」のほうに目が行きがちだが、実際にはもっと重要なことがある。
「聴く技術」だ。
しかもただ聴くだけではない、「深く聴く」技術が必要だ。

自分を伝えるためには、相手に聴いてもらう必要がある。
人が相手のいうことを聴こうとするとき、どのような条件が必要だろうか。
人が相手のいうことを聴こうという態度になるのは、自分のことも相手に伝えることができたという「つながりの安心感」のなかにいるときだ。
自分が大切にしていることを相手が充分に聴いてくれ、またそのことを尊重してくれていると感じているとき、相手の話を受け入れる「耳の準備」ができている。
つまり、自分のことを伝えたければ、まずは相手がなにを大事にしているかを完全に聴く必要がある。
コミュニケーションの順序はこのとおりであり、逆はない。

共感的コミュニケーションでは相手の話を聴くというのは、その話の内容自体に注目するのではなく(もちろんそれも聴くのだが)、話をしている相手の感情とニーズ(価値)に興味を向けつづけ、相手がなにを大切にしているのかを推測し、質問し、確認する、というプロセスを取る。
これを「相手に共感する」という。
自分を棚上げにしてただ相手に話させるのでもなく、こちらが聴いていることをわからせるために相手の話を繰り返すのでもない。
感情とニーズに興味を向けつづけ、自分自身のまま相手に質問し、確認し、つながっていく。

このとき、私がかんがえるもっとも重要なことは、自分自身をけっして見失わないことだ。
いまここに自分自身がいて、相手に興味を向けつづけている、という存在感をけっして手放さないことが、相手にとってもつながりの質を実感させることになる。
そのために私は「自分の呼吸から離れない」ということをしている。
相手の話を聴いているときも、自分の呼吸に注意を払い、呼吸とそれを生んでいる自分自身の身体・存在から離れないように注意する。
マインドフルネスを心がける。
そのマインドフルネスの状態と、相手に向けた興味・好奇心をつかんで離さないとき、共感的コミュニケーションは良好な質を確保するだろう。

12月8日(日)は14時から「社会人のための共感スキル講座」をおこないます。
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