2013年12月7日土曜日

特定秘密保護法の成立後の私

さまざまな意見、感想、抗議、決意がネット上にあふれていて、(すくなくとも一部の方々の)熱い思いが伝わってくる。
私も数日前からツイートしたり、Facebookでコメントしたりしていたが、いずれも「あっ」という間に流れさっていってしまう仕組みなので、自分のためにブログに書きのこしておく。
以下、私の個人的な思いなので、興味がない方はスキップしてください。


昨夜、特定秘密保護法案が参議院で可決されたとき、じつは私の気持ちはもうさめていた。
もちろん、最後の最後まであきらめず国会周辺のデモ隊に加わったり、署名活動をつづけたり、ツイッターやFacebookで反対意見を表明したり、といった人々の行為を否定するものではない。
むしろ応援していたし、(ある自分なりの主義があって)デモには加わらなかったが、署名もしたし、ツイートもずっとつづけていた。
しかし、昨夜の時点で事実上、法案可決ははっきりしていたし、もっとさかのぼっていえば前の衆議院選挙で自民党が圧勝したときから、この日のことは決まったいたといってもいい。

この法案にかぎらず、今後さらに厳しい法律や施政方針が決まっていくだろう。
げんに昨日の今日にして、このようなものが姿をあらわしはじめている。

「エネルギー基本計画に対する意見の骨子(案)」
⇒ http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonseisaku/12th/12th1-1.pdf

意見だの案だの、意味不明の装飾がなされているが、事実上の「エネルギー基本計画」といってよい。
つまり、わが国の安定的エネルギー供給のベースは原発にする、という方針が示されている。
これも年内に強行採決されるはずだ。


このような状況にしたのは、我々である。
という物言いがある。
たしかにそれも一理ある。
しかし、「えー、そんなこといったって、おれ自民党にいれてねーよ」と納得しない人も多いだろう。

以下は私のビジョンだ。
自民党を現政権に押し上げているのは、もちろん行政を含む経済界であるが、その経済活動で恩恵を受けているすべての国民もそれに含まれる。
自民党に積極的に投票する人もいれば、「無関心」のせいで「投票しない」という形で自民党に加担している人もいる。
グローバル経済につながる巨大な経済システムにこの人たちは含まれ、またぶらさがっているといっていい。

産業革命以後の資本主義経済は、それ自体ひとつの意志を持ったプログラムとして地球全体を覆いつくし、世界をつき動かしつづけている。
私は映画の「ターミネーター」を思い浮かべる。
意志を持ったコンピューターが殺人ロボットを作りだし、人類を抹殺しようとする。
資本主義経済がネットワーク化で急激に進展し、架空経済をともなってグローバル経済へと進化していく過程は、ウイルスプログラムが持ち主の意志とは関係なく本体を食いつくし機能不全にしてしまうさまと私のなかで重なる。
これはもう止めようもないシステムなのだ。
走り出したらもう止められない(どこかで聞いたセリフだ)。

このシステムに抵抗する人がわずかにいる。
まさにレジスタンスの様相をていしている。
レジスタンスはシステムから人間性を奪還するための、希望の少ない戦いだ。
しかし、この戦いはいまに始まったことではない。
表現者はつねに人間性を取りもどすための戦いを、有史以来つづけてきたといっていい。

苦しいなかに人間性を守り、表現し、奪還する戦いをつづけるわずかなレジスタンスの側にとどまるか、あるいはなにも難しいことはかんがえずにただらくちんに生きて死ぬだけのシステムの側に呑みこまれるか。
選択はもちろん各人の自由だ。
私も自分の自由として、レジスタンスの側で戦うことを選ぶ。
それしか自分の息子に見せてやれるものはない。