2010年11月10日水曜日

ピアニストは MacBook Air 11" を使う(3)

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ライブ演奏用ラップトップを MacBook Air に置き換えても不都合はないように思われる。
ひとつだけ不都合があって、それは FireWire ポートがないということだ。
Mac の場合、オーディオインターフェースとの接続ポートを、USBより高速で安定している FireWire でおこなってきた。
音楽製作に詳しくない人のために説明しておくと、オーディオインターフェースというのは「AD/DAコンバータ」とも呼ばれていて、マイクなどからやってくるアナログの音声信号を、コンピューターで処理できるデジタル信号に変換する機械だ。その逆のこともおこなう。スピーカーに出す信号もアナログだ。
Mac本体にも簡単なコンバータは入っているのだが、よい音質のためには専用のインターフェースが必要になる。なにしろ、このインターフェースのクオリティが、音質そのものを決めるといってもいいくらいだ。
なので、プロは何十万、何百万もする高価なインターフェースを使う。
私もそこそこいい音質のものを持っている。MOTU製品だ。これが FireWire 接続なのだ。
つまり、Airには接続できない。
しかし、そもそもライブ会場にオーディオインターフェースをかついで行ったことはない。重いし、ライブでは内蔵コンバーター程度のクオリティでも充分だからだ。直接、Mac本体から出す音を使うようにしている。
だから、FireWireが使えないAirでも問題はない。
どうしてもよい音質が必要でオーディオインターフェースを使いたい場合は、USB接続のものを使えばいい。最近はUSB接続のものが主流になってきている。

Airからの音出しは、ヘッドホン端子から直接出すか、USB接続のオーディオインターフェースを使って出すかのどちらかだ。
ヘッドホン端子から直接出すのがもっとも簡単だが、ケーブルが必要だ。
ライブ会場では音をミキサーにいったん入れる必要があるのだが、たいていのミキサーは標準プラグという端子を突っこむようになっている。一方、Airのヘッドホン端子はステレオミニプラグ(フォーンプラグ)という種類だ。これを、標準プラグのLとRの二股に分けてやるケーブルが必要になる。

Airにインストールしたソフトウェア音源をコントロールするのは、midiコントローラーだ。私の場合はキーボードが付いたmidiコントローラーを使う。
最近のコントローラーは、たいてい、USB接続となっている。コントローラー側がmidi端子になっているものもあるが、midi端子とUSB端子を直接接続できる変換ケーブルも売っている。
私が使っているX50は、USBケーブルで直接Airとつなぐことができる。
Airにソフトシンセなどのソフト音源を立ちあげておき、USBで接続したmidiキーボードでそれを鳴らす。キーボードにはたいてい、モジュレーションホイールやピッチベンドホイールが付いているので、演奏中にリアルタイムで音質や音程を変えることもできる。また、プログラムチェンジのスイッチも付いていれば、音色を瞬時に変えることもできる。

ソフトウェア音源の音はAirのヘッドホン端子から出てくる。これを変換ケーブルでミキサーに入れてやって、スピーカーを鳴らすのだ。
X50のメインアウトからも同時にX50そのものの内蔵音源の音が出てくるので、それもミキサーに入れてやれば、AirとX50の音を同時に、あるいは片方ずつ選択して鳴らすことができる。ミキサーの入力は4チャンネル必要になるが。

私が先日入手したAKAIの SynthStation 25 ポータブルキーボードコントローラーは、iPhoneを直接セットしてiPhoneのソフトシンセを鳴らすことができるが、実はmidiキーボードとしても使うことができる。
X50ですら持っていきたくない軽装のときは、このちっぽけなガジェットをカバンに突っこんでいけばいい。
これについては、次回、詳しく書く。