アメリカのAmazonが「Kindle」で読むための電子書籍の著者印税を50パーセントから70パーセントに引きあげる、というニュースがはいってきた。
旧来の活字出版について押さえておくと、著者印税は本の定価の10パーセントというのが普通だ。最近では定価の8パーセント以下というような話もちらほら聞いていて、初版刷り部数も少なく押さえられて、著者にとっては非常にサムい状況であることはいうまでもない。
電子書籍は印刷、製本、流通といった中間コストがほとんどなく、その分、著者の取り分が多くなることは当然だ。また、いったんサーバーにあがれば「絶版」というものはない。売れようが売れまいが、サーバーがある限り本はいわば「店頭に並んでいる」状況であるといえる。そこにその本があることをどうやって知らしめるか、ということを問題にする人はいるが、私はその点はあまり気にしていない。
必要な本が必要な人に届くには、優れたキーワード検索があればいい。全文検索ができればなおいい。そのためには、著者は自分の著作物をオープンにして店頭においておかなければならない。
私のウェブサイトやBLOGには、さまざまな人がさまざまな検索ワードでおとずれている。
たとえば、今日、私のBLOGをおとずれた人の検索ワードを見てみると、
「群読 シナリオ」
「モンゴル デリヘイ」
「logic studio」
「柊麗子 名古屋」
「フリー 朗読」
「雨ニモ負ケズ 解釈」
といったものが並んでいて、一見なんの脈略もない。しかし、いずれも私がなんらかの理由で書いた文字列には違いない。
だれがどんな興味で私が書いたものを読んでくれるのか、著者の私は予想もできない。そこがおもしろいと思う。
近く発表があると思うが、AppleがKendleとおそらくかなり競合することになるだろうタプレット型コンピューターを展開する。
Appleは iPod で音楽マーケットを支配し、iPhone の App で個人アプリケーションとゲームの世界で大成功をおさめたが、タブレットマシンでは電子書籍や複合メディアコンテンツの取りこみに乗りだしてくることは間違いない。Amazonが著者印税を70パーセントに引きあげたのは、Appleのタブレットマシンを意識した結果であることは間違いない。
書き手にとってはもちろん、どちらも大歓迎である。