京都左京区東山の法然院〈悲願会〉で、現代朗読公演をおこなった。
東京世田谷の羽根木の家を3日の午前5時に出発、リスナー部長の丸さんの車と運転でゴールデンウィークの渋滞をものともせず、まずは名古屋へ。
メンバーは私、野々宮、山田みぞれ、高崎梓。
観に来てくれることになった料理人マリコが、生後5か月のいくおくんを連れて同乗。
朗読メンバーはほかに宮本菜穂子と川崎満里菜が言質で合流することになっていた。
3日は劇団クセックの公演を観たあと、3日夜は名古屋泊。
そして4日早朝からふたたび渋滞を押して京都入り。
正午すぎになんとか京都に入ることができて、法然院へ。
京都散策を満喫したらしい菜穂子さんがやってきた。
菜穂子さんに手伝ってもらって、機材のセッティング。
法然院にはピアノがないので、演奏機材はすべて(パワードスピーカーも含めて)持ちこみ。
さらに記録用の撮影機材がごちゃごちゃと。
こういった機材管理だけで私は手一杯である。
ほんとはパフォーマンスや演出、テキストに集中したいところだけどね、そういう贅沢はいってられない。
ゲスト演奏者である琵琶奏者の片山旭星さんもいらしていただいた。
旭星さんは恐縮することに、音読療法の講座にも出ていただけた。
公演前の午後3時から、音読療法と共感的コミュニケーションの講座を1時間開催することになっていて、まずそれをやる。
無料講座だったせいか、用意した席がいっぱいになる盛況で、しかしおおぜいの人を(しかも知らない人がほとんど)を相手にしたワークは、かなり疲れた。
公演本番前にこういう消耗戦を入れるのは、次回からはなるべくやめよう。
休む間もなく(まだ演奏機材の音出しをしていなかった)、午後5時からいよいよ朗読公演。
もうひとりの出演者の川崎満里菜も到着した。
来場いただいた方のなかには、わざわざ遠方からお越しの方や、私が学生時代アルバイトをしていた祇園のジャズバー〈バードランド〉のマスターの中川晃氏がいらしてくれたりして、懐かしいやらうれしいやら。
それぞれの方と短くはあるが、ひさしぶりにお話をさせてもらうことができた。
歌手の大上留利子さんがお友だちを連れておいでいただいたのもうれしかったし、ボイスセラピストや共感的コミュニケーション、トランジションの仲間の方もおいでいただけた。
演奏機材の音を確認してから、お客さんが揃ってくるのを見計らって、ビデオカメラのスイッチを入れていく(なんと今回は5台も持ちこんでしまった)。
本番前に気がまわらず、カメラのスイッチを入れわすれたことが何度もあるので、ここは気を張ってしまう。
最初にお客さんに挨拶をさせてもらってから、スタート。
今回の使用テキストは私の「夜と朝をこえて」と「繭世界」のダブル。
まず私と旭星さんが演奏ではじめて、群読隊が出てくる。
会場はかなり広い「方丈の間」という座敷で、障子を板戸を開け放ってあるので、席の前方(つまり見なしステージ側)と後方には日本庭園が見えている。
野々宮が出て「夜と朝をこえて」の朗読がスタート。
彼女は自由に動きまわり、私と旭星さんはなにも決めていない即興演奏で会話する。
途中で群読「繭世界」が割りこんでくる。
演出として意図的にお客さんをはさみこむように琵琶とシンセを対角線に配置し、朗読者たちもお客さんを取り囲むような動線を作ってもらったのだが、あとで感想のなかに「音の結界のなかにいたみたいだった」というものがあって、うれしかった。
非常におもしろく、貴重な体験であった。
約1時間のパフォーマンスが終わり、最後は演奏も朗読も沈黙。
動きも音もなくなったなか、庭で木々が揺れ、鳥が鳴き、獅子脅しが鳴っているのをしばらく観たり聴いたりしていただいてから、全終了。
出演者を紹介して、ご挨拶。
終わってからいろいろな感想をいただいたが、それぞれの方がそれぞれの受け止め方をしていただいたという印象が強く、そのことも私にはありがたくうれしいことだった。
法然院を撤収してから、旭星さんが知り合いの店に連れていってくれて、そこで打ち上げ。
ユニークな店で、打ち上げもまた大変楽しいものとなった。
あらためて、ご来場いただいた皆さんには心から感謝したい。
そして、来れなかったけれど応援してくれた皆さんにも感謝している。
また法然院でやれる機会があるといいな、と思いながら、京都をあとにしたのであった。