ゆきちゃん、読んでるかい?
中川幸夫というあまり知られていない前衛芸術家(いけ花)の仕事に、最初に衝撃を受けたのは、テレビで紹介された「天空散華」というイベントを見たときだった。舞踏家の大野一雄とのイベントで、新潟県でおこなわれた。
地元の協力を得て100万枚のチューリップの花びらを集め、それをヘリコプターで空中から散布する。その花びらの舞うなか、車椅子に乗った大野一雄が舞う、というパフォーマンスだった。
以来、気になって作品を見たり、書いたものを読んだりしていたのだが、この本が中川幸夫の全体像を知るのに一番いい。
カルティエ現代美術館の館長エルベ・シャンデスは、
「中川幸夫は過去40年間の日本のアーティストのなかで最も重要な人物のひとりである。いけ花の伝統の中から始まった彼の作品は、世界の現代アートの前衛といえる」
といいきっている。
私もそう思う。
『まっしぐらの花』森山明子/中川幸夫/美術出版社