2017年11月18日土曜日

相手を「甘やかせる」「つけあがらせる」という心配

恋人だったり夫婦だったり、子どもだったり、部下や顧客だったり、さまざまなシチュエーションで起こることだが、
「ここで下手《したて》に出ると相手をつけあがらせてしまうかも」
と思ってしまうことがある。

共感的コミュニケーションの勉強会では、相手を責めたり、間違いを指摘するのではなく、ただ共感することをお勧めするのだが、一様に不安な顔になる人が多い。
そんなことしたら、相手はますます図に乗るのではないか、自分ばかり不利な立場になるのではないか、という不安に襲われてしまうらしいのだ。

実際にそのような感じになってしまうこともある。
相手には相手のニーズがあり、相手もそれを満たそうと懸命になっている。
しかし、そのニーズを満たす手段はいくつかあり、いま相手が必死にしがみついている方法でなくてもニーズは満たせるということに気づいてもらえれば、相手にも余裕が生まれ、「図に乗る」とか「傘にかかってくる」ように見える必死な態度は消えることが多い。

相手に共感し、尊重や思いやりをもって冷静に対応したとき、相手がもしつけあがったり図に乗ったりするように見えたとしたら、それはまだ相手が自分のニーズにつながっていないからだ。
こちらは相手に共感し、なにが必要なのか、なにを大切にしているのか、どんなニーズがあるのか、ただ聞いてやり、相手が自分自身につながるサポートを心がける。
すると相手は自分のニーズにつながり、なにが必要なのかに気づき、それを満たすためにどんなことができるのかに目を向けることができる。
もしそのとき、あなたのサポートが必要だったら相手はそのようにお願いしてくるだろうし、あなたにもしその気があればお願いに応えることもできる。
あるいは、必要なのはあなたのサポートではなく、なにか別の手段が有効であることに気づくかもしれない。

共感というのは、相手が自分自身のニーズに気づき、自立した選択や行動を取れるお手伝いをすることであって、図に乗ったりこちらへの依存を助長することではない。
そのような心配はまったく無用で、自分が相手から依存されたりパワーオーバーな態度を取られたくなかったら、必要なだけたっぷりと共感を浴びせればいいのだ。

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