2017年2月23日木曜日

『マインドフル練習帳3』について

マインドフルネスの練習を毎日一題ずつできる「マインドフル練習帳」のシリーズの3巻目がアマゾンKindleからリリースされました。
この本の「まえがき」をご紹介します。

(まえがき、ここから)
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 マインドフルネスの練習に役立つ練習帳の第三弾をお送りします。本書は七月から九月の三か月間、毎日練習ができるように書かれています。
 マインドフルネスの練習をみなさんにもおすすめしたい理由は、私がそれによって大変得るものが多かったからです。
 ピアニストである私にとってとくに有益だったのは、マインドフルネスの延長線上にある(と私がかんがえている)フローとゾーンを経験し、獲得したことです。
 フローというのは、簡単にいえば、なにかをやっているときに――たとえば私ならピアノを演奏しているときに――自分がやっていることに完全に集中していると同時に、そのまわりで起こっていることにも気づきつづけている状態のことをいいます。
 だれでも経験したことがあるかもしれませんが、私のフロー状態の古い記憶では、学生時代にアルバイトしていたバーや飲食店での経験です。ものすごくいそがしくなって、洗い物であったり酒の注文であったりをいそがしくがんがんこなしているんですが、同時にあちこちにいるお客さんの状況も把握していて、それらの会話も聞こえてくるという、とてもクリアな状態です。フローという文字通り、膨大な情報が自分のなかに流れこんできているけれど、それらはとどこおりなく流れていて、自分はそれをとてもクリアに客観的に見たり処理したりできているのです。
 フローがさらに深まり、密度が濃くなったとき、ゾーンという現象を経験します。
 ゾーンがよく知られているのは、トップアスリートが自分の限界を超えて記録を更新するような瞬間の状態です。完全に集中しながら同時にリラックスしていて、自分の状態とまわりの状況を同時に把握していて、自分の能力の最大限を発揮できるフェーズに進入します。
 私の場合だと、ピアノを演奏していて、完全にそれに集中していながら、お客さんの状態やまわりで起こっていることにも気づきつつ、自分ができることの限界を超えて思いがけない能力が開いていく場面に立ちあえる瞬間があります。これはめったに訪れないと思っていたんですが、マインドフルネスを日常的に練習することによって、めったにではなく、しばしば体験できる、ということを実感しています。
 だれしも一回きりの「生」を生きているわけですから、自分の命を生ききりたい、自分の能力を発揮しつくしてみたい、という思いがあるのではないでしょうか。
 もちろん、人によって能力の違いはありますし、得意不得意や向き不向きもあります。そんななかでも、限界まで、あるいは限界を超えて自分自身を生かしきりたいという思いが、私にはあります。
 そんな思いを共有できる人に、まずは毎日のマインドフルネスの練習からやってみませんか、という提案をしたいというのが、本書のねらいのひとつでもあります。
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(まえがき、ここまで)

電子ブック『マインドフル練習帳3』はこちらからどうぞ。