2010年2月21日日曜日

オーディオブックで自分を表現したい人のサポート

 あらためていうまでもないけれど、テクノロジーの進展が一個人の表現活動を後押ししてくれる場面が多くなっている。
 かつては設備の整った音楽スタジオとプロ用機材、プロフェッショナルな技術者と巨大な流通ルートがなければ届けることができなかった音楽も、いまでは簡単に一個人の力でやれるようになってきている。
 設備と技術と人材、そして流通という理由のために、音楽はメジャーなレコード会社やマスメディア、著作権管理団体などに占有されつづけていた。自分の音楽を人に届けるというのは、自分がメジャーになり、商業システムに組みこまれていくことを意味していた。
 いまでは違う。プロ用音楽スタジオも機材も、ラップトップのなかに全部収まっていて、ひとりでどこへでも持っていくことができるし、どこでも作業ができる。流通ルートなんて、インターネットがあれば事足りる。
 あとは、
「個人のスキルを磨き、アイディアを形にするだけ」
 だ。

 私は小説を書いて生計を立てていた時期があるけれど、その頃は自分の書いた小説を多くの人に届けるためには、商業活字出版社に認められる必要があった。音楽と事情は変わらず、つまりメジャーになり、商業システムに組みこまれる必要があった。
 いまは違う。いまはだれもが小説を書いて、BLOGで発信することもできるし、電子出版もできる。iPhoneや、やがて来るiPadなどが劇的に変えるはずの人々の読書スタイルも、電子出版の形態をより進め、書き手は出版社や取次を通さなくても、多くの人々に書いたものを届けられるようになるだろうし、すでになりつつある。

 オーディオブックの世界もおなじ事情だ。
 自分の朗読を発信したい人はたくさんいるし、これからさらに増えていくだろう。うれしいことだ。あとは、
「個人のスキルを磨き、アイディアを形にするだけ」
 ところが、この「個人のスキル」の部分についていえば、オーディオブックに必要なスキルアップの情報は、いまのところ絶対的に不足しているといっていい。音楽製作については、ハードウェア、ソフトウェア、それらに関する本、ネット情報など、かなり豊富に出回っているが、オーディオブックに必要な個人的スキルについての情報はほとんど見当たらない。
 どのように読めばいいのか。
 読むにあたって必要な技術は?
 収録はどのようにすればいいのか。ソフトウェアはなにを使えばいい? マイクの使い方は? 編集の方法は? マスタリングに必要なものは?
 そもそも、朗読者のほとんどが「マスタリング」という言葉すら知らないという現状がある。
 音楽に比べればとても立ち遅れているといわざるをえない。
 オーディオブックを発信したい、自分を表現したい。そんな人をも、私はサポートできるのではないかと思っている。なにしろ、長年苦労してこつこつと積み重ねてきたからね。