バレンタインデー。
私はこの手の商業的イベントにはほとんど関心がなく、わざわざチョコレートをいただいたりすると自分の関心のなさにかえって恐縮してしまうくらいなのだが、今年はちょっとびっくりしたので、書いておく。
フランスの田舎にある有名なチョコレートの店で、日本では初輸入・初販売となる「イルサンジェ」というブランドのチョコレートをいただいた。とても高価なチョコレートで、貧乏臭い話で申し訳ないが、計算するとひと粒あたり400円にもなる代物である。「スパイスライン」と銘打たれたチョコである。
押しいただきながら、口に運んでみる。
ま、まずい……!
リンドウの根だの、カレー粉だの、わけのわからないスパイスが効いている。食べたことのない味である。
食に対して挑戦的な方なら、こういうものも「ひょっとしておいしいかも」と果敢に立ち向かうのかもしれない。私は芸術や表現については挑戦的であり、常にあたらしいものにしか興味がないと公言してはばからないが、こと食に関しては非常に保守的な人間なのである。
とはいえ、いや、いい経験をさせてもらった。