現代アート美術館の裏手のほうにショッピングセンターがあったので、そちらに行ってみた。
カフェやパン屋や、レストランや、フードコートがあった。
時刻柄、どこも人がいっぱいで、一応ぐるっと回ったが、フードコートなどわんさか人だかりがしていて、敬遠することにした。
地図を見ると、公園を横断していたところに、シュトゥットガルト大学があると分かった。
その辺までいくと、あまり混んでいない店がありそうな気がした。
学生が利用するような安い店もあるんじゃないか?
公園を横切って、大学のほうに行ってみた。
ところが、想像していたような大学ではなかった。
建物がひとつあるきりで、学生が利用するような店も見当たらなかった。
公園はよく整備され、木々や植物に花が咲きはじめたりしていて、楽しかったけれど。
さらに向こうの大通りに出てみると、先のほうに美術館があった。
これも古い建物を利用していて、風情がある。
何の美術館だろうと行ってみると、レストランが併設されていることがわかった。
その時点で、スマホの万歩計を確認すると、すでに13,000歩位歩いている。
こんなに歩けるとは1年前には考えられなかったような歩数で、さらに何年か前に杖をついていたことを考えると、このところ鍛えておいたのがよかった、よくここまで回復したなとうれしくなった。
美術館はアフリカのなんちゃら展をやっているようだったが、お腹がすいてとりあえず食事だとレストランに入った。
テーブルについてメニューを見るが、全部ドイツ語で何が書かれているかわからない。
きれいな女性が注文を取りに来た。
メニューについて尋ねると、私とどっこいどっこいの英語で説明してくれた。
これは前菜、これはサラダ、これは肉料理。
肉料理とコーヒーを頼んだ。
しばらくして出てきたのは、牛肉をトマト味で煮込んだものにゆでたじゃがいもを添えたもので、まさにドイツっぽい感じがした。
食べていると、なぜか私のテーブルのわきを通りかかるほかの客が、かならず会釈していく。
私のテーブルが入口に近かったせいか、食事を終えた客はその脇を通ることになるのだが、なぜだかみんな私に笑顔で挨拶していくのだ。
なぜだ!
ひょっとして、見るからに外国から来た場慣れしないじじぃを安心させようとして、気を使ってくれているのか?
わからないけれど、悪い気分ではない。
食事を終えたときも、あの美人も、店のシェフらしき男性も、
「おいしかったか?」
と訊いてくれた。
ただ、美人はカウンターのところでずっと、客なのか彼女の知り合いなのか夫なのか恋人なのか、いちゃいちゃしていた。
勘定はちょうど10ユーロだった。