2010年5月30日日曜日

オーディオブックの真実 目次

 アイ文庫のツイッターで「オーディオブックの真実」というドキュメントを連載しました(ハッシュタグは「#ABdoc」)。それをBLOGのほうでもまとめて読めるようにしました。

 朗読本/オーディオブックの制作会社であるアイ文庫が、どのような経緯でスタートしたのか。そしていまのようなハイクオリティのオーディオブックを作るようになったのか。また、日本のオーディオブック業界の特殊事情を、制作現場からの生の声です。

Vol.18 2010年5月19日配信分
Vol.17 2010年5月18日配信分
Vol.16 2010年5月17日配信分
Vol.15 2010年5月16日配信分
Vol.14 2010年5月15日配信分
Vol.13 2010年5月14日配信分
Vol.12 2010年5月13日配信分
Vol.11 2010年5月12日配信分
Vol.10 2010年5月11日配信分
Vol.9 2010年5月10日配信分
Vol.8 2010年5月9日配信分
Vol.7 2010年5月8日配信分
Vol.6 2010年5月7日配信分
Vol.5 2010年5月6日配信分
Vol.4 2010年5月5日配信分
Vol.3 2010年5月4日配信分
Vol.2 2010年5月3日配信分
Vol.1 2010年5月1,2日配信分

オーディオブックの真実 Vol.18(終)

アップル社の iTunes Music Store が日本に上陸し、本格的にオーディオブックマーケットの展開が始まって5年が経った。その間、iPodなどのメモリプレーヤーが爆発的に普及し、携帯電話の機能もさまざまに増えた。ユーザーの選択肢は圧倒的に増えた。

ケータイ市場も着うたを中心に音楽が、コミックを中心に電子ブックが、急速に売り上げを伸ばしてきた。一方、オーディオブックは、と見ると、確かにコンテンツの数は増えた。が、マーケット規模は実際に予測されたほどには成長していない。ベンチャーは苦戦を強いられている。

最初に述べたように、クオリティの高いオーディオブックの制作にはかなりの制作費がかかる。が、いまだにその制作費を回収できるほどの売り上げは確保するのが難しいし、朗読者も安価なギャラやわずかなロイヤリティでハードワークを強いられている。

魅力あるコンテンツも多くはない。とくに新刊書籍がすぐにオーディオブックになるケースはまだまだ少ない。実用書ではそのようなケースが増えてきたが、文芸書では皆無といっていい。文芸ものはいまだに著作権フリーのものを中心に展開しているのが事実だ。

著作権処理をして音声化される文芸ものもあるにはある。ことのは出版が出している筒井康隆や浅田次郎、川端康成などがそうだが、著作権処理にも先行して資金が必要になる。それだけの資金を回収するのが現状ではまだまだ難しいといえる。

その間にも、iPhoneが出てスマートフォンが普及しはじめ、またKindleやiPadなどの電子ブックが読める(オーディオブックも聴ける)端末が人気を呼んでいる。環境は充分にととのってきているといえるが、マーケットが育っていないのはコンテンツのせいだろう。

コンテンツ不足、コンテンツの魅力不足。オーディオブックというコンテンツは、はじめに述べたように、大きく分けてふたつの側面がある。ひとつは情報性を重視する実用書や講演録、語学レッスンなど。もうひとつは文学的味わいや朗読そのものを楽しむための文芸もの。

両方ともしっかりなければマーケットとしての魅力に欠けるのはいうまでもない。が、現時点では実用書や語学ものが圧倒的に作られ、買われている。オーディオブックは活字書籍と同様、文化的側面が大きいし、大事だと私は考えている。

よい内容のオーディオブックを、子どもも学生も若者も、通勤中の人も主婦もお年寄りも、なにかを「獲得する」ためでなく、豊かなマインドのために楽しむ。実用書や学習ものももちろん大事だが、即座になにかの役に立つわけではないものを楽しむ生活。

書籍や音楽、映画がそうであるように、オーディオブックもそのような楽しみ方をされればいいと思う。そのためには、やはりまだまだ文芸ものが足りないし、その表現クオリティに気を配ったものも少ない。アイ文庫はこのような考えで制作をつづけている。

最後に、オーディオブックの読み手の育成についての、アイ文庫の取り組みを紹介しておく。これはことのは出版にも全面的に協力してもらっているのだが、不定期に「次世代オーディオブック・リーダー育成講座」というものを開催している。

オーディオブックがたんなる「活字本を読みあげただけ」のものではない、すぐれた音声表現作品になるよう、優秀な読み手を育成することを目的としている。興味のある方はこちらをご覧いただきたい。

(おわり)

※この項はTwitterで連載したものです 。
 新連載「朗読の快楽/響き合う表現(仮)」は近日スタート。

2010年5月28日金曜日

オーディオブックの真実 Vol.17

このように、音声コンテンツとしての朗読の収録や、表現としての朗読の研究をつづけていくうちに、かなりオリジナリティのあるノウハウが蓄積されてきていることに、みんなが気づきはじめた。朗読表現についてのノウハウである。私たちはどの団体にも所属していなかった。

アイ文庫という会社も、私自身も、ナレーターや声優や朗読者の団体や系列、事務所などとは一切無縁であり、ノウハウはすべて独学で積み上げ、また実践によって検証してきたものだ。この方法は非常に回りくどくて時間はかかるが、大きな利点もある。

ノウハウをどこからもだれからも受け継いでいないので、既成の思いこみとか慣習的手法から一切離れている。業界内ではあたりまえで標準的だとされている方法が、実際にはとてもおかしなことをやっている、というようなことが、私からはよく見通すことができた。

このオリジナルな方法が意味のない無駄なトレーニングを排し、朗読の上達を早めるのに大変有効であることがわかってきた。また、そもそも「朗読とはなにか」、さまざまある表現ジャンルのなかでどのような位置づけにあるのか、といった原理的なことも考えるようになった。

私は朗読の表現行為の可能性をさぐるために、現代表現(コンテンポラリーアート)の勉強を始めるとともに、オーディオブックという商業コンテンツのみを目的としない、より大きな「朗読表現」のためのグループを、朗読ゼミの延長線上に作れないかと考えはじめた。

こうやって生まれたのが「NPO法人現代朗読協会」である。この話は本稿とは別に、あらためて現代朗読協会のtwitter(@roudokuorg)のほうで書くことにする。その前に、P社へのオーディオブック提供とP社を通じてiTMSでのダウンロード販売が始まった。

夏目漱石、芥川龍之介、太宰治などの、長短編を交えての文芸作品や、私の長編小説などオリジナル作品が次々とiTMSのトップ100にランクインし、さらに上位に顔を出すようになった。とくに人気を博したのが、私の著書『ジャズの聴き方』だった。

これは長らくランキング上位にとどまり、いま確認してみたところ150位くらいにまだ顔を出している。オーディオブックという特徴を生かし、音楽入りになっているところが作るにあたって苦心した。このようなオリジナル作品がたくさん出てくれば活況を呈することだろう。

アイ文庫では、また、「詩曲集」というものを得意としている。これは詩と音楽のセッションで、詩の世界と朗読表現、そして音楽が一体となって音声作品を作っている。これらがiTMSの初期にランクインしていたが、やがて「ことのは出版」が現れた。

ことのは出版は、当時唯一のオーディオブック専門の制作配信会社で、自社でも企画制作するし、また他社作品を預かっていろいろなダウンロードサイトに配信をする。ダウンロードサイトもiTMS以外に、mora、Listen Japan、OnGenなどたくさんできてきた。

これらのサイトといちいち個別に契約し、個別に配信作業をおこなっていくのは、膨大な手間がかかる。ことのは出版のような会社の出現はアイ文庫にとって大変ありがたいものだった。自社コンテンツを預けて配信してもらうほか、依頼を受けての制作も行なうようになった。

このようにことのは出版とタッグを組んでのオーディオブックの企画、制作、販売体勢がスタートし、それは現在まで続いている。これがアイ文庫の進んできた概略である。最後にオーディオブックについて、現状を踏まえたうえで概略を押さえておきたい。

※この項はTwitterで連載したものです ⇒ http://twitter.com/iBunko
 新連載「朗読の快楽/響き合う表現(仮)」は近日スタート。

2010年5月27日木曜日

デリヘイ&水城ユニット、次は名古屋611〈あうん〉

 好評を博した下北沢〈Com. Cafe 音倉〉でのライブ「デリヘイ 祈る人—ここへと続く道ー」につづいて、名古屋でのライブのお知らせです。
 すでにメーテレ八事ハウジング野外ステージでのライブについてはお知らせしましたが、その二日前に下北沢の構成をベースにした、ちょっと大人の雰囲気のライブを名古屋〈あうん〉でおこないます。
 6月11日(金)19:00に「あうん」でお目にかかりましょう。

◎メニューが2コースあります。
 ゆっくりお食事を楽しみたい方は、19:00〜 お食事+フリードリンク付きのコース。
 残業の方は、20:15〜 フリードリンク付きのコース
 演奏時間は、70分くらいを予定しています。

◎ご予約はお早めに: delehei.01@gmail.com でも承ります。

オーディオブックの真実 Vol.16

アイ文庫オリジナル作品もあった。たとえば私がケータイ小説サイト「どこでも読書」で連載したSFサスペンス小説『浸透記憶』を音声化したもの。これは活字化されるより先に音声化されたのが(自分では)画期的だと思う。朗読は坂野亜沙美で、当時弱冠21歳だった。

『浸透記憶』収録のためのオーディションをおこない、そこで選ばれた声優の卵だが、この小説のムードに非常に合う雰囲気の読みができる人で、長尺の収録にもよく持ちこたえていい作品を残してくれた。iTunes Store などでぜひサンプルを聴いてみてほしい。

『浸透記憶』がオーディオブックに先立って連載されていた「どこでも読書」というケータイ小説サイトだが、私はここでいくつか長編小説を発表している。最初に発表したのが『BODY』という小説だったが、これは画期的な試みがなされた。ただし音声化はされていない。

『BODY』が連載されたとき、「どこでも読書」はAUのEZ-webでも配信をスタートさせた。配信ファイルの特徴として、テキストだけでなく音声も同梱して配信できた。そこで、小説を読みながら音楽も聴けるようにと「小説音楽」も付けることにしたのだ。

映画音楽ならぬ「小説音楽」である。『BODY』という小説に合ったテーマ曲(歌入り)や、章ごとの小説音楽を、配信の区切りごとにつけて出した。なかなか斬新な試みだと思ったのだが、実際にはあまり注目されなかったのは残念だ。しかし、いまでも読むことができる。

AUケータイを持っている人は、ぜひダウンロードして読んで(聴いて)みてほしい。このような「小説音楽」付きの配信という形態は『浸透記憶』でもおこなわれた。その結果、いくつかの曲が生まれた。その曲とテキストを使って、音楽と朗読のライブをやったりもした。

恵比寿の〈天窓スイッチ〉というライブハウスで「浸透記憶ライブ」がおこなわれた。音楽と朗読のライブなので、歌手陣が4人、朗読陣が4人、そして全員が女性という、とても華やかなライブだった。小説/朗読コンテンがそんなポテンシャルを持っていることを確信できた。

ネットライブというものもスタートした。livedoorのラジオ担当者と知り合いになり、アイ文庫のライブのために専用チャンネルを一本用意してもらうことになった。毎週、決まった曜日の夜、朗読研究会(その頃にはゼミと呼んでいた)のメンバーに集まってもらった。

ネットライブではそれぞれが読む作品を決め、あらかじめ「ゼミ」で研究しあったり、演出を受けておいたものを持ちよる。いまでは珍しくはないネット放送で、ただし音声だけのラジオだった。当時はもちろんUStreamのようなサービスはまだなかった。

曜日と時間を決めておいて、その時間になるとリアルタイムでネット放送をスタート。私はピアノを担当し、朗読の合間や、ときには朗読と共演して、内容を盛りあげる役。司会進行も私がおこなった。その様子はオンエアされるだけでなく、同時に録音もしておいた。

それらの録音からおもしろいものを切りだして、「アイ文庫オーディオブック・ライブ」として何作品かダウンロード配信されている。たとえば、野々宮卯妙が読んだ有島武郎「一房の葡萄」や夢野久作「縊死体」、窪田涼子が読んだ芥川龍之介「桃太郎」など。

一発勝負の朗読ライブではあるけれど、実力のある朗読者が読んだものはそのままオーディオブックにできるだけのクオリティがある。また、スタジオできちんと収録したものとは違ったライブ感/ドライブ感があって、音声作品としても聴き応えのあるものになっている。

このネットライブは朗読者にとっても大変な勉強とトレーニングになったのではないかと思われる。アイ文庫の朗読ゼミに参加している者はどんどん実力をつけ、ほとんど無名にも関わらず有名声優やアナウンサーの朗読にひけを取らないものがとれるようになっていった。

※この項はTwitterで連載したものです。
 新連載「朗読の快楽/響き合う表現(仮)」は近日スタート。

2010年5月26日水曜日

次は名古屋でデリヘイとのライブふたつ

 日曜日に行なった下北沢〈Com. Cafe 音倉〉でのデリヘイとのライブの模様を、おいでいただいた人形作家のPonneさんがブログに書いてくれています。
 こちら

 次のデリヘイとのライブは、6月11日夜に名古屋〈あうん〉にて。
 さらに6月13日にも、名古屋メーテレ八事ハウジングセンター野外ステージで午後2時からあります。こちらは無料。
 お近くの方はおいでください。

オーディオブックの真実 Vol.15

そもそもどのくらい売れるかまったくわからない、あるいは売れたとしてもたいした数ではないことがわかっているオーディオブックの場合、アイ文庫を除いてはたいていの制作会社がギャランティー方式を採用しているようだ。一本あたりいくら、という決まった額で読んでもらう。

アイ文庫ではあまりそういう方式は取っていない。第一の要因としては、先行して多額の制作費を確保できるような資金力がない、ということがある。まだ売れてもいない(作ってもいない)コンテンツのギャランティーを朗読者に支払うほどの財力はない、というのが正直なところだ。

もうひとつは、アイ文庫では会社側と朗読者が「恊働してひとつの音声作品を作りたい」という気持ちが強いことがある。完成したオーディオブックはたしかに「商業コンテンツ」ではあるが、小説や絵画などと同様、音声表現作品であると考えている。

「作品」は制作会社のものである以上に、朗読者のものでもあり、またリスナーのものでもある。そういう考えで、朗読者の権利を「買い取る」ということはなるべくやりたくないと思っている。そこで、どのようにするかというと、ロイヤリティ=印税方式を採用している。

M社はクオリティの高さと権利関係の問題から、アイ文庫の朗読コンテンツを開発中の医療機器に使ってくれることになった。M社だけでなく、このような問い合わせがこのころからぽつぽつと入ってくるようになった。たいていが予算が合わず、商談は流れてしまったが。

そして残念なことに、M社の医療機器開発の計画も、その後さまざまな事情で流れてしまった。アイ文庫の朗読コンテンツが乗った医療機器が世に出回ることはなかったが、それからしばらくして、今度はやはりあるIT機器メーカー(P社としておく)からコンタクトがあった。

P社はハードウェアや、それに付属するソフトウェアを開発している中堅のメーカーだったが、オーディオブックも自社コンテンツとして扱おうとしていた。その際、さまざまなコンテンツ制作会社をあたった結果、M社と同様の事情でアイ文庫にコンタクトしてきたわけだ。

P社は朗読コンテンツそのものをダウンロード販売したい、という意向を持っていた。自社サイトでも販売展開するが、別のダウンロードサイトでも自社製品として売りたい、といってきた。その他社サイトに、ちょうど上陸したばかりの iTunes Store が入っていた。

上陸当初は「iTunes Music Store(iTMS)」といっていたが、Apple社のミュージックストアとしてすでに欧米では大きなシェアを占め、成功を収めていた。だから日本にも鳴り物入りで上陸して感があった。ここにコンテンツを出すにはどうしたらいいか。

ミュージックストアで「オーディオブック」というジャンルがあるのは、iTMSだけだった。そしてこのジャンルは、オーディブル・インクというアメリカの会社がアップルと組んでコンテンツ提供と管理をしているらしい。ここに朗読コンテンツを出すにはどうしたらいい?

P社はここにパイプを持っていたのだ。P社はアップル製品、つまりMacにもハードやソフトを提供していて、太いパイプがあった。iTMSの日本上陸についても情報を持っており、オーディブル・インクの日本支社とも付き合いができていたのだ。

かくしてアイ文庫が作ったオーディオブックはiTMS上陸のかなり早い時期にコンテンツとしてならぶことになった。当初は本当に品揃えがおそまつで(いまでも立派とはまだまだいえないが。なにしろ村上春樹も大江健三郎もないのだから)、アイ文庫のものはかなり目立っていた。

オープン当初は語学と落語程度、ほかにはNHK番組の二次利用のコンテンツくらいしかなかったところへ、夏目漱石の長編だの、芥川龍之介の主要作品だの、太宰治だの、古典作品がいくつか、といった文芸作品が次々とならびはじめたのだ。いきなりランキング上位に次々と入った。

※この項はTwitterで連載したものです。
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2010年5月25日火曜日

オーディオブックの真実 Vol.14

話をずっとさかのぼって元にもどす。iTunes Store 上陸以前まで。iTunes が現われるまでオーディオブックを扱う場所がなかったわけではない。アイ文庫はもともとテキスト配信からスタートした会社であり、テキストコンテンツもたくさん持っていた。

いまでいう電子ブックだが、パピレスという電子書店が業界を先行していた。当初は売り上げも伸びず、大変苦労していたようだ。いまはどうか知らないが、6、7年前は電子ブックといっても、グラビア写真集などのアダルト向け商品が主力だった。

テキストも官能小説が一番の売れ筋で、アダルトビデオなどの動画作品もそこに加わっていった。動画がオーケーなら音声もオーケーだろうと、オーディオブックもパピレスで売ってもらうことになった。PC向けのダウンロードサイトで、iPodはまだ発売されていなかった。

パビレスでオーディオブックを売りはじめたのだが、ほとんどまったくといっていいくらい売れなかった。同時に、オンデマンドでCD-Rの販売も自社サイトでおこなったが、こちらもビジネスとはいえない程度の売り上げしかなかった。月に数枚がやっとだった。

そんな折、ある電気メーカーからコンタクトがあり、アイ文庫のコンテンツに興味があるという。なんでもその会社では、医療用のある機器を開発していて、そこに朗読コンテンツを入れたいのだという。いろいろな条件やクオリティの点でアイ文庫が条件に適合したらしい。

そのM社はアイ文庫の朗読作品をある程度まとめて買ってくれることになった。買うといっても、データであるから、その使用権を支払ってもらうということになる。契約書を結び、何年間かにわたってアイ文庫の朗読作品を自由にその医療機器に使っていい、ということになる。

買ってもらうといっても、作品そのものは手元にそのまま残っているし、引き続きネットやオンデマンドで売ってもいいのだ(ほとんど売れないけれど)。大変ありがたい話だった。こういうとき「原盤権」も売ってしまうやり方と、「原盤権」は保持する方法がある。

原盤権も売ってしまった場合、アイ文庫にはもうその作品を売る権利は亡くなる。ネットで売っているオーディオブックの売り上げも、その会社のものになる。アイ文庫は原盤権は売らない契約をした。ここで簡単に「原盤権」という言葉について説明しておかなければならない。

「原盤権」の「原盤」とは、音楽がレコード盤で売られていた時代の名残の言葉である。レコードの作り方。昔々の話。スタジオでミュージシャンに演奏させ、その音をアルミ盤のような柔らかい金属に針で傷をつけて「録音」していた。螺旋状の溝を音で振動させながら掘るわけだ。

掘られた溝に、逆に針を落として盤を回転させれば、音が再生されるという仕組みで、これはエジソンが発明した。その元の柔らかい盤を、そのままでは傷みやすいのでなんらかの加工をして丈夫にしたものが「原盤」と呼ばれるもの。その盤を元にしてレコード盤を複製するのだ。

この「原盤」こそが、音楽制作社の権利の元だった。原盤を元にコピーを作って売ることが、レコードを売るという商売だった。原盤をコピーする権利のことを「コピーライト(copyright)」という。「マルC」マークである。いまはデジタルデータなので原盤は存在しない。

しかし「原盤」という考え方はいまだに残っている。音楽(音声)コンテンツにはまず、原盤権が設定される。売価の何パーセント、というような形だ。次に著作権(作曲著作権/作詞著作権)、その他必要に応じて各種の権利が設定される。プレイヤー印税などもそうだ。

プレイヤー/演奏者(朗読者)に印税を設定するか、あるいは1回限りのギャランティーを渡しておしまいにするかは、契約による。印税の場合、作品があまり売れなければ朗読者は微々たる報酬しか手にいれることができないが、逆にたくさん売れればそれに応じてたくさん入る。

※この項はTwitterで連載したものです。
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2010年5月24日月曜日

名古屋メーテレ八事ハウジング「デリヘイ馬頭琴ライブ」のお知らせ

 5月23日に東京下北沢〈Com. Cafe 音倉〉で大評判となったライブが、今度は名古屋で開催されます。しかも今度は、野外ステージ。入場無料。
 お近くの方、ぜひともお越しください。会場でお会いしましょう。

・日時 2010年6月13日(日)14:00スタート
・会場 メーテレ八事ハウジング芝生広場
・入場無料

 デリヘイは馬頭琴や歌、私はシンセとピアノを弾きます。

下北沢〈音倉〉デリヘイライブレポート

 2010年5月23日、日曜日。
 朝から雨。強くはないが、しとしとと降りつづけていて、あがりそうにない。

 荷物があるので、電車で羽根木に向かう。新代田の駅で降りて、外へ出ようとしたら、デリヘイとばったり会った。昨夜は大宮のほうにいるモンゴル人の友だちのところに泊まったという。
 一緒に羽根木の家へ。
 すでに位里、野々宮、糟谷、裕貴が準備作業中。当日パンフやらアンケート用紙やら、物販CDの準備やら。私も機材準備をするが、昨夜、ほとんどすませておいたので、楽。
 11時にマルさんが車で来てくれる。今回も手伝ってもらって大助かり。機材と楽器を積み込み、私とデリヘイが乗りこんで、ライブ会場の下北沢〈Com. Cafe 音倉〉に向かう。といっても、歩いて10分の距離だから、あっという間についた。

 11時半、会場入り。すでに〈音倉〉のスタッフの方が来ている。ふなっちも手伝いで来てくれている。
 楽器と機材を搬入。すぐにステージでセッティングを始める。私は今回、midiキーボード兼用のシンセと、音源とシーケンサーとしてのMacBook、それとiPhoneを使う。それらをミニミキサーに束ねてPAに出す。
 セッティングは30分ほどで終わり、12時からPA調整を兼ねたリハーサル。ほぼ全曲、さらうことができた。
 照明のセッティング。これは糟谷くんにやってもらうことに。
 マルさんは記録用ビデオのセッティング。2台。
 朗読陣ほかは1時半ごろに会場入り。裕貴ちゃんがおにぎりを作って持ってきてくれた。腹ごしらえにいただく。

 午後2時、昼の部、開場。
 げろきょのみんなが続々と来てくれる。ありがたい。豊津さん、つきみちゃん、小梅さん、麻紀ちゃん、唐さん、槐さん、前野さん、ほかにも何人か。仕事で付き合いのある方も何人か。位里ちゃんが呼んだ広告関係の人たちも多い。
 満席となり、3時定刻に昼の部スタート。
 今回のセットリスト。

1. 草原
2. Earth Beat
3. Ancient Winds
4. ネリンホハ
5. 「感」のブルース
6. ゆりかごの歌
7. 祈る人/ここへとつづく道
8. Soul

 出だしからデリヘイワールドが炸裂。最初の曲から涙が出た、といってくれた人もいるほど、充実したパフォーマンスとなった。
「祈る人」は野々宮卯妙と菊地裕貴に朗読で出演してもらった。とてもいい感じだった。
 私もいわゆる「曲」としてのフォームがある音楽をひと前でやるのはひさしぶりだったのだが、デリヘイとのコミュニケーションを楽しんでやれた。ただ、集中していたせいか、終わってからかなりへろへろ。まだあと1セットあるのに。かなりきつい。

 5時にはお客さんも帰り、少し休む。
 するとおどろいたことに、〈音倉〉からまかない飯が出るという。私はロコモコを頼んだのだが、これがかなりおいしくて、スタッフ一同、感激。
   げろきょの旗揚げ公演「奥の細道異聞」のときに出演してくれた水谷友子が来てくれる。
 6時、夜の部、開場。
 東松原の〈スピリット・ブラザーズ〉で児童養護施設の子どもたちにボランティア朗読をやったとき、いっしょにマジックで出演した柿崎さんが来てくれる。柿崎さんとは、またボランティア朗読に出るほか、いっしょにマジック朗読の会をやる企画が進んでいる。げろきょ関係では、ライブワークショップに参加の鈴木さんのほか、外塚さんや小梨さんも来る。矢澤ちゃんも子どもを預けて駆けつけてくれた。役者の石村みかさん、フリー編集者の菊地さんにもおいでいただいた。位里ちゃんからは、博報堂とか朝日新聞とか業界の人を何人か紹介してもらった。
 夜の部も満席となり、定時の7時にスタート。
 セット内容は昼の部とおなじ。ただし、雰囲気はだいぶ変わった。〈音倉〉は地下にあるのだが、明かり取りがあって、客席の照明を消しても昼は明かりが残る。が、夜は真っ暗になる。それがかなり客席の雰囲気を変える。そして今回は、昼と夜とでは客層がかなり変わった。そのために、私たちの演奏もかなり変わった。
 いずれにしても、充実のパフォーマンスで、終わったらまたもやぐったり。しかも、夜の部には終わってからも拍手が鳴り止まず、アンコールとしてほとんど練習をしていない「荒城の月」を演奏したりした。

 夜は演奏終了後もお客さんの大半が残って談笑していた。私も何人かと話をしたあと、機材の片付け。
 9時半にまたマルさんの車で機材を運び、羽根木の家にもどる。
 10時すぎにはみんなも戻ってきて、軽く打ち上げ。いいライブになったと、一同、満足げだった。よかった。
 デリヘイとは次は名古屋で、6月11日に〈あうん〉、6月13日に八事のメーテレハウジングプラザの野外ステージ、とつづく。基本的に今回とおなじ曲目なので、だいぶ気は楽だ。

オーディオブックの真実 Vol.13

編集が終わり、ファイルが整ったら、最終的なマスタリング作業に入る。このマスタリングというものがまったくないがしろにされているのが、オーディオブック業界なのだ。この機会に私は、他のメーカーの方に「どうぞマスタリングをきちんと行なってください」とお願いしたい。

音楽コンテンツ、つまりJ-POPもロックもクラシック曲も、商業コンテンツとして出回っているものに最終的な「マスタリング」という工程を経ていないものはない。100パーセント、マスタリングしてある。もししてないものがあるとすれば、それはアマチュアのものだろう。

しかし、現状のオーディオブックの世界では、逆にマスタリングしてあるものを探すほうが大変だ。マスタリングはなぜ重要なのか。なぜ音楽の世界ではすべてマスタリングを必要とするのか。それには、マスタリングという工程でなにを行なっているのか理解してもらう必要がある。

電子的に録音された音というのは、そのまま再生しても、録音されたときのようには聴こえない。どんなにすぐれた再生システムがあっても不可能だ。録音されたときのように、あるいは朗読者が読んだときの雰囲気のように再生するためには、電子的な工夫を加えなければならない。

ピアノはピアノらしく、バイオリンはバイオリンらしく、オーケストラはオーケストラらしく、そして人の声は人の声らしくスピーカーから再生されるためには、電子的な加工がどうしても必要なのだ。なぜなら、そもそも最初に電子的な信号として録音されたものだから。

電子的に録音されたものを、良質な再生音とするために、最終的にマスタリングがおこなわれる。専門用語を並べてもしようがないので簡単に述べるが、イコライザー(EQ)、コンプレッサー、リミッター、時には空間系のイフェクトも使用しながら、最終的な仕上げをおこなう。

音楽の世界では、マスタリング・エンジニアが重要な役割を果たしていて、レーベルや演奏者は必ず優秀なエンジニアを使う。マスタリングの仕上がりで学曲の雰囲気がまったく変わってしまうこともある。古い曲を「リマスタリング」することで現代によみがえったりもする。

このようにして、音楽は商業コンテンツとしての地位を獲得してきた。つまり、商品としてのクオリティの確保。これがユーザー/リスナーに対する誠意であろう。その動機がマネーであろうとも。たんなる情報伝達を越えた「音声作品」としての提供にはなにが不可欠かということだ。

最終的なクオリティを軽視したマーケットは、必然的に縮小せざるをえない。ユーザーの安全性を軽視した自動車会社が利益を得られないように。欧米では膨大な既存オーディオブックの二次利用によっていきなり大きなマーケットが出現したが、日本では事情が違っていた。

ほとんどゼロからスタートしなければならなかったオーディオブック市場は、最初からクオリティの確保は重要な問題だったと考えている。たとえ手間と時間とお金がかかったとしても、良質のオーディオブックをこつこつと提供することでしかマーケットは育たないと確信していた。

そういう理念のもと、アイ文庫は作品のクオリティにこだわってきたし、いまでもそうであるのだ。現在のオーディオブックマーケットを、クオリティの観点からひとくくりにしてとらえることは不適切だ。繰り返すが「テキストデータ」と「音声作品」の両方の側面があるからだ。

本の内容、つまりテキストデータを視読するのではなく、なんらかの理由で聴読する目的であれば、言葉が明瞭に聞こえればいい。音声作品としてのクオリティは問題ではない。が、音楽と同様、朗読を音声作品として楽しむ目的であれば、クオリティは重要な問題となる。

オーディオブックマーケットの成長と成熟は、これらふたつの側面から進んでいくだろう。聴読データとしてオーディオブックは、今後おそらく読み上げソフトなどに取って替わられるだろうし、全部がそうはならないとしても、アイ文庫の業務ではないと思っている。

※この項はTwitterで連載したものです。
 新連載「朗読の快楽/響き合う表現(仮)」は近日スタート。

2010年5月23日日曜日

デリヘイ(馬頭琴/歌)と水城のデュオライブ(5/23)のお知らせ

■祈る人 デリヘイ――ここへとつづく道――
 5月23日(日)15:00/19:00(開場はそれぞれ1時間前)
 Com. Cafe 音倉(下北沢)/3,000円(ワンドリンク付)
 ゲスト:野々宮卯妙ほか現代朗読パフォーマー

 音楽のジャンルはもとより、表現の枠組をも超えてさまざまなコンテンポラリーなアーティストと共演してきた水城ですが、今回はモンゴル人の伝統音楽の歌い手であり馬頭琴(その他民族楽器)奏者であるデリヘイと、まったくあたらしい音世界を発信することになりました。
 日本人にとっては懐かしくもあり、また耳新しくもあるモンゴルの音楽。若手ながらその正統な担い手であるデリヘイが、ジャンルを超えた現代音楽の作り手である水城と出会い、しかも即興性の高いパフォーマンスを展開する。おそらくだれもが聴いたことのない、いわば「懐かしき未来」ともいうべきサウンドが生まれようとしています。
 今後、ブレークすることまちがいありません。
 その最初の目撃地が、下北沢〈音倉〉です。

 カフェ形式のライブハウス〈音倉〉は、気さくな雰囲気ながらしっかりした音響空間で、あたらしいサウンドを堪能していただくには最適なスペースです。
 また、音楽形式だけにこだわらず、水城のもう一方の本拠地である朗読ともからんだパフォーマンスもおこないます。
 皆さんのお越しをお待ちしてます。

・予約はこちら
Com. Cafe 音倉の地図
デリヘイの公式サイト

オーディオブックの真実 Vol.12

言葉を発音するその中にも、リップノイズが混入することがある。この頻度は朗読者によってまちまちで、頻度だけでなく強弱の差もある。リップノイズが多い人には、それを無くすためのトレーニングをしてもらうよう、その方法とともにアドバイスをしている。

朗読者にも、自分のリップノイズについて自覚のある人とない人がある。マイク収録の経験がある程度ある人は自覚がある場合が多いが、そうでない人はまったく自覚のないこともある。とにかく、実際に収録し、リップノイズをキャッチできる「耳を作る」ことが先決である。

このようにノイズカットは時間がかかる場合とかからない場合があるが、いずれにしても必要な編集作業のひとつだ。ほかに必要なものとしては、読みの間合いの調整などがあるが、これは収録時にディレクターがチェックするので、アイ文庫ではほとんど編集時にはやっていない。

読みのリズムや間合いは、収録時に整えたほうが、編集の恣意が働かない。なので、読み違いも収録時に止め、「パンチイン」という音楽製作では馴染みの手法で継ぎ目なく修正してしまう。編集時に間合いを動かすとすれば、タイトルと本文の間合い、タイミング程度だ。

編集の最後は、音声ファイルの整理だ。なんていう作品のどの部分なのかわかるように、決まったルールに従ってネーミングとナンバリングがおこなわれる。収録された原ファイルも、編集ずみのファイルも、すべて二重三重にバックアップを取っておくことはいうまでもない。

などと威張っているが、アイ文庫も初期のころはずいぶん大きな失敗をいくつかやらかした。いまでも強烈に覚えている失敗を開示しておく。まずは田中尋三と『吾輩は猫である』を収録しているときのことだった。何十回分もの編集前の原ファイルを、あやまって消失してしまった。

なにがどうなってそのようなことが起こったのか、いまとなっては思いだせないが、うっかりバックアップを取らないまま消去してしまったか、編集ソフトで変な操作をしてしまったか。とにかく、そのようなファイル消失事故は一、二回だけではすまなかった。

相原麻理衣の『坊っちゃん』のときも、神崎みゆきの『三四郎』のときも、岩崎さとこの『こころ』のときもあった。ほかにもあったかもしれない。何度も痛い教訓があり、いまはめったにそういう事故は起こさないようになった。しかし、油断はできないと、いつも戒めている。

※この項はTwitterで連載したものです。
 新連載「朗読の快楽/響き合う表現(仮)」は近日スタート。

2010年5月22日土曜日

オーディオブックの真実 Vol.11

収録の前段階のことは割愛し、実際の収録作業からのアイ文庫における工程。収録環境として、当初、先に書いたように、ワンルームマンションの一室、一軒家の一階部分の部屋、そして地下室と変遷してきたが、その後も二度引っ越しをして環境が変わっている。

酒屋の地下のあと、すぐ近所の、やはり地下にある音楽スタジオに移った。さらに現在は世田谷区羽根木にある古民家の一室に簡易ブースを設置して、そこを収録ブースとしている。ブース内にはAKGのコンデンサーマイクと、モニター&トークバック用のヘッドホンのみ。

ブース外にリードされたマイクシールドはマイクプリアンプを通してオーディオインターフェースに行っている。インターフェースはいろいろなものを使ってきたが、現在はYAMAHAとMOTUのものを使い、コンピューターはWindowsとMacの両方を使っている。

このような環境で、朗読者がブースに入り、オペレーターがコンピューターにつく。そして収録ディレクターが脇に控える。オペレーターがディレクターを兼ねることもあるが、できれば読みのチェックとディレクションに集中したいので、二人体制が望ましい。

ディレクターがおこなうのは、読み間違いやアクセント違い、ノイズなどの読みチェックだけではない。アイ文庫の場合、事前に朗読者と入念に打ち合わせした「解釈」や音声作品としての最終的な方向性もディレクターが確認しながら、適宜指示を出しながら慎重に収録していく。

収録には、たとえば仕上がりが60分のテキストがあるとすれば、その2倍から3倍はかかる。1時間程度のものを収録する場合、その前後1時間ずつ余裕を見て、3時間のスケジュールを朗読者には押さえてもらっている。この体制はアイ文庫のクオリティのために欠かせない。

朗読者にハンディレコーダーを「ほい」と渡し、収録ブースにひとりでこもってもらって丸一日で本一冊を読ませてしまうようなところもあると聞く。ブースならまだしも、「家で暇なときに読んどいて」というやり方もあるようだ。最近のレコーダーの性能はかなりいいのだ。

エディロールやズームなどの音楽練習用やフィールドレコーディング用のハンディレコーダーは、高性能のマイクを使っており、相当な高音質での録音が可能だ。だからといって、ディレクターのチェックが入らないような収録現場など、アイ文庫では考えられない。

ある高名な俳優で、多くの番組ナレーションにも起用されている人が、外国の人気長編小説をオーディオブックにしている。明らかに「暇なときにちょいちょい」読んだものであり、機材もハンディレコーダーどころか会議用のボイスレコーダーであることは明らかな音質だ。

当然ながらノイズも多く、編集も雑なばかりか、マスタリングなどまったくされていない。これでは耳のよいリスナーは耐えられないだろうし、そういうユーザーはオーディオブックという商業コンテンツから離れていってしまうのではないかと危惧される。

話を戻す。無事に収録が終わると、音声データがコンピューターのハードディスク上に残る。それを今度はオーディオ編集ソフトで編集していく。この工程もアイ文庫では、音のクオリティを確保するために、音楽編集と同等である。まずは単純なノイズカット作業。

これだけでもかなりの時間がかかる。収録時間の5倍くらいは見ておいたほうがいい。ノイズの多い読み手のものだと、さらに時間がかかる。カットすべきノイズの多くは「リップノイズ」と呼ばれる、朗読者の口内や呼吸・唇まわりから発生してしまう微細なものだ。

リスナーの多くはリップノイズなど気にしないのだが、放っておくと全体の印象が(無意識的に)汚れたものになる。きれいに磨きあげられていないガラス越しに外の風景を眺めるような感じ、といえばわかるだろうか。リップノイズは言葉の「間」にあれば簡単に除去できる。

※この項はTwitterで連載したものです。
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2010年5月21日金曜日

オーディオブックの真実 Vol.10

上陸当初は「iTunes Music Store」略称「iTMS」といっていた。このサイトの欧米での成功は日本にも知られていたので、日本上陸の際には大変な注目を浴びた。ストアジャンルのなかに「ミュージック」の次に「オーディオブック」という項目があった。

日本ではほとんど知られていない言葉/ジャンルだった。「これなんだろう」と思ってクリックしてみた人は多かっただろう。が、実際に開いてみると、そこにはほとんど売り物らしいコンテンツはなく、閑散としていた。しかし、その後、多くのコンテンツが一挙に参入してくる。

あとで詳しく述べるが、アイ文庫のコンテンツもiTMSで扱われるようになり、また、他社コンテンツもドッとばかりにならぶようになった。2006年以降のことだ。目立つところでは、NHKなどラジオ局/放送局がらみのもの、そして語学関係のコンテンツがならびはじめた。

いずれも番組で流した朗読などの二次利用だった。語学関係のものも、すでにカセットやCDブックとして流通したあとの二次利用である。当初は最初からオーディオブックとして作られたコンテンツは少なかった。そんななか、アイ文庫の文芸コンテンツはなかなか健闘した。

コンテンツが少なかったということもあるだろうが、無名の会社が作り、無名の新人が読んでいるオーディオブックが、売り上げの上位ランキングに食いこんでいた。いまでもベスト100には必ず入っているが、吉田早斗子朗読の『方丈記』が、公開と同時に上位に入った。

なにしろ古典文学である。著者は鴨長明である。そんな作品が売り上げ上位の10位以内にいきなり入ってきたのだ。ほかにも多くのアイ文庫製作コンテンツが上位にいくつも入った。そういう状況のなか、資本力のある会社が何社か、録音物の二次利用ではないものを出してきた。

つまり、自社制作のオリジナルコンテンツをiTMSに投入する会社が何社か現われた。これらの会社はもともとオーディオブックを作っていたわけではなく、ビジネスチャンスがあると見たマーケットにいきなり資本が投下され、誕生した新興の制作会社といっていい。

グーグルで「オーディオブック 制作」などと検索すると、アイ文庫以外にも多くの制作会社がヒットする。それらの会社の多くが、オーディオブックという音声コンテンツを作っていながら、音声編集の基本的な仕上げ方、つまりマスタリングというものを軽視している。

いろいろな人に話を聞いてわかったことだが、オーディオブック=朗読本などというものは、録音機さえあれば朗読者がちょこちょこと暇を見つけては本を朗読し、あとで多少切ったりつないだりして体裁を整えればできてしまうように思っている人がたくさんいるらしい。

実際にそのようにして作られたオーディオブックはたくさんあるし、ネットで出回っているアマチュアの方が趣味で読んでいるものはほとんどがそうであるばかりか、制作会社が作った商業コンテンツですらそのように安直に作られているコンテンツがたくさんある。

もちろん本の内容を「テキスト情報」としてとらえ、それをたんに耳から取れるように「音声化しただけ」というとらえかたなら、それで充分なのだ。言葉がはっきり聞き取れ、内容が理解できればいい。多少のノイズやら音声クオリティなんて気にはならない。

しかし、アイ文庫ではオーディオブックもあくまで音楽同様の「音声コンテンツ」あるいは「声による文芸作品の一種」ととらえている。またそうでなければなぜわざわざ朗読者という「ひとりの人間/個性」が本を長時間、苦労して読みあげる必要があるというのか。

そのため、ノイズや音声クオリティにはかなり気を使って作っている。ここでアイ文庫でのオーディオブックの製作過程を簡単に紹介しておこう。事前の企画段階のことや著作権処理、テキスト選定や朗読者との読解を含めた擦り合わせ作業については、割愛する。

※この項はTwitterで連載したものです。
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2010年5月20日木曜日

オーディオブックの真実 Vol.9

朗読ワークショップの告知はおもにネットでおこなった。自社サイトやメールマガジンなど。興味本意の冷やかし半分で来る参加者はお断り、という意味で、参加費はかなり高額だった。しかも丸二日間にわたってみっちり、収録実習も含めておこなうものだった。

ワーショップ参加者のなかから何人かのオーディオブックリーダー(朗読者)が生まれた。もちろん、そのまますぐに本収録に移行できる人はほとんどいなかったが、アイ文庫の制作姿勢に賛同し、食いついてくれた人には、引き続き継続的に来てもらうことをお願いした。

ワークショップ終了後も地下スタジオに通ってもらい、作品を決め、読み込みをすすめ、収録のための技術を磨いて、本収録へと持ちこむ。そういう人が何人も出てきた。アイ文庫の朗読者の層は厚くなっていった。ひとまず、ワークショップの開催は成功といえた。

文芸朗読だけでなく、音楽家としての私の特性を生かした作品もできた。JFNの「はなのある風景」や、世田谷FMの「ジューシー・ジャズカーゴ」を皮切りに、オリジナル作品も作りはじめた。たとえばそのひとつが、岩崎さとことおこなった中原中也の詩曲集。

岩崎さとこは富良野塾第二期生の女優であり、いまは亡き今村昌平監督の映画「楢山節考」や「女衒」などに高校生のときから出演もしていたキャリアを持つ。彼女の朗読を聴いたとき、声優やナレーターにはない奥の深い表現力があり、驚いた記憶がある。なにしろ女優だ。

116 地下スタジオでは収録だけでなく、広い静穏スペースを利用してライブもやるようになったのだが、その最初のライブも彼女にやってもらった。その話は置いておいて、ともかく表現力の豊かさから、さまざまなオーディオブックを読んでもらったほか、詩曲集も作った。

中原中也の有名な「汚れちまった悲しみに」をやりたいと岩崎さとこがいうので、それを含んだ詩集「みちこ」を、ピアノの即興演奏とともに収録することになった。彼女が詩を読み、私がピアノを弾く。ほとんど打ち合わせなしのぶっつけ本番で、緊張感があった。

ピアノを弾く私は、中原中也の「ことば」に触発されて即興を音を出していく。それを岩崎さとこが受け取り、表現を重ねていく。それを聴いてまた私が……というふうに、コミュニケーションの連鎖で音声作品ができていく。この手法からはさまざまなことを知ることになった。

詩曲集を作る過程において私たちが交わしたのは、言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーションの両方だった。それは「朗読とはなにか」ということを深く考えるきっかけとなった。この「朗読にたいする熟考」が、NPO法人現代朗読協会設立のきっかけとなる。

話を「中原中也詩曲集」にもどす。岩崎さとことは数回にわたって収録をおこなった。収録後は編集/マスタリング作業となる。ヴォーカルトラック、ピアノトラックのそれぞれを編集し、プラグインを使って各トラックに適切なイフェクトを挿入し、細かく整える。

CDにするためにツートラックにミックスダウンし、最終的なマスタリングをおこなう。音楽製作ではあたりまえの作業であり、オーディオブックには私はこの作業工程を適用していた。知らない人が多いし、また一般ユーザーには必要もないことだが、特殊な工程があるのだ。

音声コンテンツ製作の過程でもっとも特殊な(一般人が知らない)工程は、最終の「マスタリング」と呼ばれる部分だろう。おそらく言葉すら聞いたことがないと思うが、しかし製作現場の者で知らないものはいない。ところが、オーディオブック業界では様子が違っているようだ。

オーディオブックを作っている会社の人でも「マスタリング」という作業はおろか、言葉すら知らない人がいるというのを知ったのは、数年前のことだ。Apple のミュージックストア「iTunes Store」が日本に上陸したのは2005年8月のことだった。

※この項はTwitterで連載したものです。
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2010年5月19日水曜日

「真実」Vol.8の内容を差し替えました

「オーディオブックの真実 Vol.8」がVol.7の内容と同じだ、というご指摘がありました。
 失礼しました。
 差し替えずみですので、お知らせします。

オーディオブックの真実 Vol.8

この地下室ではものすごくたくさんの収録とライブと音楽制作とワークショップをやった。なにしろ一日中、朝から晩までスタジオにいるわけだから、制作ペースは半端ではなかった。また、自前のスペースがあるということで、さまざまな企画が生まれ実行された。

オーディオブックも順調に収録できた。地下室の隅にこのビル全体の排水設備がある、私たちが「パイプ室」と呼んでいた小部屋があった。狭い部屋だったが、ここはさらに音響的にも完璧だった。吸音材やら毛布やらを壁にならべて、無反響の収録環境を作った。

小さなテーブルと椅子を置き、マイクを設置して、朗読者はそこに入る。壁に小さな穴をひとつあけ、マイクやトークバックのケーブルを通して、収録機材とオペレーターは小部屋の外、つまり地下室の広い場所のほうで作業する。大変快適になった。

機材も徐々にグレードアップしていった。機材自体も劇的に安くなってきたというのもあった。また編集ソフトも劇的な進化をとげつつあった。バージョンアップのたびに夢のような機能が安価で付加され、しばらく前のプロフェッショナルなスタジオ環境がほぼ実現できるほどだった。

そうやってどんどん制作を進めていくと、悩みがひとつ出てきた。朗読者がどうしても足りないのだ。初期の若手メンバーはそこそこ育ってきたし、彼らが連れてきた二次、三次メンバーもいたのだが、それでもより多彩にコンテンツを制作するには足りなかった。

アイ文庫主催で朗読ワークショップを始めたのは、オーディオブックの読み手がほしかったからだった。ワークショップはオーディションも兼ねていて(そのほうが人の集まりがよかった)、実力のある読み手はすぐにでも収録メンバーに加わってもらいたいと思っていた。

実際には、すぐに収録に使えるような人はほとんどいなかった。皆無といってよかった。「オーディション付き」にしていたせいか、ワークショップに参加するのは声優、ナレーター、フリーアナウンサー、司会者といった、すでに声の仕事にたずさわっている人がほとんどだった。

アイ文庫としても即戦力をおおいに期待した。実際、きれいでスムースな読みなら問題がない人は多かった。が、朗読をやってもらうとなると、どうやら別の話になるようだった。とくに文芸作品の朗読ということになると、初期の若手メンバーとおなじような状況が生まれた。

文章をただきれいに正しく読むだけなら、声優学校や養成所で数年訓練を受けた人ならだれでもできる。が、文学作品を読解し、その世界観を声で表現する、さらにいえば朗読者の個性を生かせる読みとなると、声の仕事をしている人でもまったく役に立たないことが多い。

平板で、魅力のない、薄っぺらい朗読。それではアイ文庫が作る意味はない。もちろんそういう読みのほうがいい、というリスナーはたくさんいたし、いまもいる。文字情報を耳から入れたいだけなら、余計なバイアスはかかっていないほうがいいからだ。

淡々とスムースに読んでくれたほうがいい。実際、実用書などのオーディオブックはそのほうがいいだろう。しかし、この用途なら、いずれ近いうちに機械音声に取って変わられるだろうと私は思っている。読み上げソフトはかなりいい線まで来ていて、年々進化している。

人間にしかできない読み。その人でなければ表現できない世界。文字をわざわざ人の声で読みあげることで成立するオーディオ作品。アイ文庫ではそういったものを作りたい、作っていきたいと、最初から考えていた。まるで一曲をさまざまなピアニストが演奏するように。

まだそこまで行っているとはとてもいえないが、オーディオブックのコンテンツマーケットが成熟してくると、音楽マーケットがそうであるように、たとえば「羅生門」をさまざまな朗読者が読み、リスナーをそれらを聴き比べて楽しむようになるのではないか。

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2010年5月18日火曜日

賢人を作るコミュニティ

 最近の日本人が思考停止に陥りがちなのは、リスクを必要以上に避けたがるゆえにあまりに横並び行動を取りすぎるから、などという説がある。たしかに、老若男女を問わず横並び行動を取ろうとするのは、もともとリスク回避のための行動だったかもしれない。
 企業行動など、集団の行動にもその傾向は強い。日本の企業はとくに横並びを重んじるといわれているが、たしかにそのとおりかもしれない。このところの電子ブックをめぐる著作権の問題で大手出版社が寄り集まってあれこれいっているのを見ていると、横並びを重んじるあまり時代の変化についていけず、思考停止に陥って、ついには恐竜のように滅びていくイメージが湧いてくる。
 それはともかく、そのような思考停止におちいった大衆のことを、ニーチェは「畜群」と呼んでさげすんだ。真の人間は、畜群から離れ、想像力をもって超越しなければならない、と説いた。超人思想である。それもどうかと思う極端な話だが、いわんとするところはまあわからないことはない。
 大衆が畜群化しているとなにかと都合がいいのは、資本主義社会だ。「これがいいよ」といえば全員ドッとばかりにそちらになだれを打ち、作られた流行を追ってものを買い、プレハブに毛の生えたような家を35年ものローンを組んで買い、ぴかぴかの車を一家に一台そろえたがる。資本家にとってこれほどおいしい話はない。
 いや、共産主義社会でも畜群は都合がいいだろう。同一思想を植えつけて統制するには、ひとりひとりが「判断力」や「想像力」を持っていてもらっては困る。
 ようするに、国家という制度にとって、国民は畜群であるほうが都合がいいのだ。

「国家」といったが、これは「近代国家」といいなおそう。
 私が子どものころ、「すばらしい世界旅行」という番組があった。この番組には、時代のせいもあったのだろうが、しばしば「未開民族」とか「裸族」が登場していた。取材班はアマゾンの奥地やニューギニアの高地に分けいり、まだ文明(西洋文明ね)と接触したことのない部族を取材するのだ(山口探検隊じゃないよ)。
 そして視聴者は知るのだ。未開文明といっても、彼らなりの秩序と文化があり、自然を崇拝しながら静かに暮らしている、ということを。「未開」とは失礼ないいかたではある。
 いまになって思えば、「未開民族」たちのなかには、思考停止に陥った愚民はただのひとりもいなかった。子どもは長老たちに教えられ、自然のなかで生きていくための知識と知恵を身につけながら育っていく。大人になれば、部族の調和を保ち、問題が起きれば部族全員で考え、力を合わせて対処する。そして子どもたちは部族全員にかわいがられながら大人になる。ひとりの子どもに、お父さんお母さんが何人もいる。
 ニーチェのいう「畜群」は、まさに近代国家が生んだものだ。国家の必要から、国家が恣意的に作りだしたものなのだ。
 どうやって?
 もちろん「教育」によって。
 想像力を奪い、身体と精神を拘束し、消費と競争に快楽を覚えるように教育する。その結果、国民は「畜群化」する。反乱も革命もデモもない、一見平和で穏やかな浪費国家である。

 私たちが畜群であらぬためには、国家を解体するのがてっとりばやいだろう。しかし、もちろんそんなことはできない。
 では、どうすればいいか。
 私なりの考えだが、人々がひとりひとり存在を尊重され、自由でいることを認められ、そして自分と全体のことを同時に考えられるような場=コミュニティをたくさん作っていけばいい。そのコミュニティは畜群ではない。未開部族がそうであったように、愚民もいない。それぞれが知恵をもって、自分の責任で、自分と全体のために考え、行動している。
 そういう、人が賢人となり、そしてまた賢人を作りだすミュニティを作ることは不可能だろうか。
 いや、じつはすでに、現代朗読協会という見本があるのですよ。これがいいたくて、長々と書いたのであります。

賢人を作るコミュニティ

 を〈MIZUKI's writing desk〉のほうに書きこみました。
⇒ こちら

オーディオブックの真実 Vol.7

非常に魅力的な物件だったが、指をくわえてみすごすほかはなさそうだった。ちょうどそのとき、JFNというラジオ制作会社から番組制作の依頼がはいってきた。「花のある風景」という衛星放送番組のサウンドトラック制作の依頼で、その制作費が月額20万円だった。

新番組の制作費が入ってくるからといって、それを全部スタジオの家賃にあてる余裕はなかった。が、どうしても静穏収録環境がほしかったので、熟考した結果、ワンルームマンションを引き払って私はスタジオに住むことにした。それが5年間にわたる地下生活の始まりであった。

地下室はそのまま収録スタジオとして使えたが、住むとなるといろいろ設備が必要だった。トイレはついていたが、風呂はなかった。まさかバスルームを作るわけにはいかないので、広すぎるトイレスペースをふたつに区切り、シャワールームを手前に作った。

キッチンもなかったので、中古の業務用設備を売っている店に行って、シンクとレンジ台を安く買ってきた。ほかに水回りの工事が必要で、そのためにやむなく借金した。がともあれ、地下スタジオに住める環境が整った。いまから考えるとなにかの法に抵触するかもしれない。

当時はそんなことは知らないし、思いつきもしなかった。可動式のクローゼットとソファベッドを持ちこんだ。昼間は収録スタジオや事務所、またはちょっとしたワークショップなどもやれるミーティングルームとして使い、夜になるとソファベッドを広げ、布団を出して寝る。

親しい人以外、私がそこに住んでいることをかなりの人は知らなかったのではないだろうか。ともかく広いので、朗読研究会もゆったりとできる。なにしろ静かだ。ちょっとしたライブもできそうな広さだ。そのうち収録だけでなく、ワークショップやライブも行なうようになった。

住まいとしても、案外快適だった。地下のどんづまりの部屋なので、だれかに押し入られたら逃げ場はない。が、完全密閉空間ではなく、ドライエリアに通じる明かり取りの窓がふたつあった。それを明けると外気もいくらか入ってきたので、普段は窓を開けていた。

夜になり、人がいなくなると、窓を閉め、ドアに鍵をかける。すると、ほぼ完全な沈黙の空間となる。照明を消すと完全暗転が実現できる。ライブをやるようになって、昼間でも完全暗転がほしくなったので、窓に段ボールで目張りをして、外光もつぶしてしまった。

真っ暗で完全な静寂のなか、ひとりでピアノを弾くのは快感だった。デジタルピアノしか持っていなかったが、YAMAHAの初期型のそれはけっこういい音で、演奏の練習ばかりでなくいろいろな音楽的試行錯誤を、暗闇のなかでああでもないこうでもないとやることができた。

そういう環境のなかでできた作品群が「花のある風景」だ。先に書いたように、JFNというラジオ制作会社からの依頼で作ったサウンドトラックで、音楽に朗読が乗っている。タイトルでわかるように、季節の花にまつわる古今東西の文章を引用して朗読している。

番組自体は、有名なカメラマンが撮影した花の写真(静止画)をスライドショーのように動かし、それをハイビジョン映像にしたものだった。その番組の音をアイ文庫が作ったのだ。既成の曲もあるが、その合間に朗読とオリジナル音楽の作品をいくつか挿入した。

この朗読と音楽のシリーズ作品「花のある風景」は、近くアイ文庫からCD作品としてリリースする予定である。また、同様の作品をアイ文庫のシリーズとして継続して作りたいという望みも持っている。JFNの番組は2003年だったと思うが、4月から10月まで制作された。

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2010年5月17日月曜日

オーディオブックの真実 Vol.6

無料配信長編小説は、2作がほぼ同時に収録がスタートしたと記憶している。ともに夏目漱石で、『坊っちゃん』と『吾輩は猫である』だった。前者は相原麻里衣が、後者は田中尋三が朗読。これは現在もアイ文庫から販売されているほか、iTunes Store などでも買える。

『坊っちゃん』も『吾輩は猫である』も、ともに一回分の分量は5分前後。それを7、8回分、調子がよければ10回分くらい一度に収録する。相原麻理衣は住まいが近所ということや、作品自体が短めということもあって、『坊っちゃん』の全編収録は一ヶ月くらいで終わった。

その収録の合間に、やはりワンルームマンションの一室では録りにくい、ということで、もう少しましな収録場所を探していた。といって、資金がないので、防音室が完備したスタジオなど借りようもない。ワンルームより騒音問題が「まし」な貸し部屋を探した。

すると歩いて数分の近所(梅丘)に、一軒家の一階部分があいているのを見つけた。うまい具合に、二階部分も人が住んでおらず、大家の物置状態になっているようなのだ。これならけっこう静かな状態で収録作業ができるかもしれない。と、そこを借りることにした。

しかし、借りて使いはじめてみてわかったのだが、その一軒家はかなりの安普請で、外からの物音はほとんど筒抜けなのである。また、二階は物置にしか使っていないとはいえ、時々大家が荷物の出し入れのために出入りする。そのときの足音が一階を直撃するのだ。

そして立地は交差点のすぐ近く。バイクやトラックなど大きな音を立てる乗り物の通過や信号待ち、近所の犬のほえ声、道路での立ち話、カラスの鳴き声、そして大家が二階に出入りする音。そういったもので収録作業はしばしば中断させられるはめになる部屋だった。

それでも数ヶ月はだましすかし、がまんしながら使っていたろうか。その間に相原麻理衣による『坊っちゃん』の収録は全編を終えることができた。彼女は大変な努力の人で、滑舌や発声など日々の訓練をおこたらず、声優のなかでも突出した技術力を持っている人だ。

『坊っちゃん』の読みも、「きっぷのいい調子」で小気味よいテンポとなっている。収録のほうも、環境が最悪にも関わらず、予定より早く終わった。田中尋三による『吾輩は猫である』は、彼の住まいが遠方だったことや、テキストが大変長いということもあって、てこずった。

『坊っちゃん』の収録は終わったが『吾輩は猫である』がまだゆっくりと進んでいたとき、もうひとつの長編収録がスタートした。やはり夏目漱石の長編小説『三四郎』である。これは高橋恵子の教え子のひとりだった神崎みゆきに読んでもらうことにした。

長編朗読を収録する間にも、短編も収録しており、もちろんラジオ番組の制作もつづいていた。そして収録環境の「まし」な場所探しも。私の住んでいた豪徳寺のワンルームと梅丘の一軒家のあいだに、いまはもうないが、酒屋が一軒あった。よくそこで飲み物を買っていた。

ある日、酒屋のおばさんと話しているとき、この店の横に地下に通じる階段のようなものがあることに気づき、そのことについて聞いてみた。すると、地下はがらんとした倉庫のような地下室になっていて、いまはだれも使っていないのだという。借り手を探しているのだという。

さっそくその地下室を見せてもらうことになった。酒屋は1階が店舗、2階が貸し部屋、3階と4階が大家である酒屋一家が住んでいる住居となっているビルで、地下室は思ったより広かった。幅5メートルに奥行きが10メートル、それにトイレなどの突き出しスペースがあった。

地下室なので、入口のドアを閉め切れば地上の音はほとんど聞こえない。この広い空間全体を、完全な静穏スタジオとして使える。朗読だけでなく、音楽収録スタジオとしても使えるほどだった。問題は家賃だった。月額20万で、とてもそんな額を毎月払う余裕はなかった。

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2010年5月16日日曜日

オーディオブックの真実 Vol.5

オーディオブックというコンテンツは、基本的に朗読本であり、文章を人が読んだ音声データでできているものだが、私はそれだけではなんとなく寂しく、つまりラジオ番組のようにテーマ音楽とかジングルを入れたものにしたかった。幸い、私は曲も作ることができた。

ラジオ番組やオーディオブックと同様、というよりそれ以上に、コンピューターを使った音楽制作の世界は日進月歩で、大げさなスタジオがなくてもだれでもクオリティの高い音楽を作れるようになっていた。オーディオブックに使うテーマ音楽も、自分で作ることにした。

また私の妹は国立音楽大学の作曲科を出ていて、現在は名古屋の音大でコンピューター音楽を教えているので、彼女の作った曲もずいぶんいろいろとオーディオブックに使わせてもらった。そんなわけで、アイ文庫のコンテンツは当初から良質の音楽とともに提供されている。

こうやって作りはじめた朗読作品だが、クオリティの高いものについてはやはり発表したくなる。ケータイ広告事業は完全に失敗したアイ文庫だったが、幸いメールマガジンの読者はたくさんいる。この人たちに配信してはどうか、ということになった。無料で。

そのころはまだ「オーディオブック」という言葉はほとんど普及しておらず、日本の市場といえば新潮社など一部の出版社が出している「朗読カセット」や「朗読CD」か、視覚障碍者向けの図書館など公共機関を中心としたボランティアに近い朗読サービスくらいだった。

アイ文庫では新潮社のように朗読CDとして展開したかったが、もちろんそんな販路も広告資金もなかった。そこで、ネットで自社プロモーションをおこない、コンピューターで焼いたCD-Rにプリンターでプリントしたジャケットを付けて、オンデマンドで販売しようとした。

問題はどうやってアイ文庫の朗読CDの販売を多くの人に知ってもらうか、だった。そこでオーディオブックの無料配信をおこなうことにしたのだ。適当な長さ(5分前後)に分割したオーディオファイルをレンタルサーバーにUPし、そのURLをメールマガジンに張りつけて配信する。

5分というのは音楽だと1曲分くらいの長さだが、オーディオブックの場合、長さがまちまちなので、当然分割配信ということになる。田中尋三が朗読した夏目漱石の「文鳥」という作品は60分程度だが、メールで分割配信するとなると12回連続になる。

分割したオーディオブックのエンディング部分に音声広告をつけたり、メールマガジンで朗読CDの宣伝をしたりと、いろいろな工夫をして、無料配信と有料販売を結びつけようとした。が、世の中、なかなかそううまくいくものではない。いながらにしてもうかったりはしない。

決済方法の問題もあったかもしれない。いまでこそ個人ですらクレジットカード決済が利用できるようになったが(売り手側の話)、当時はかなり大きな信用のある会社でなければ利用できなかった。それに利用料金も高額だった。決済方法は銀行振込か着払いしかなかった。

なかなか銀行振込までして朗読CDを買ってくれるという人は少ない。これはいまでもおなじことだ。それに朗読は、音楽と違って、一度聴いてしまうと何度もCDを聴きなおすということは少ない。おなじ価格だと音楽CDに比べて割高感があるのだ。制作費はあまり変わらないのに。

というようなわけで、実際にはなかなか朗読CDの売り上げに結びつけることは難しかったが、オーディオブックの無料配信はかなりの反響があった。もちろん好意的な反応ばかりではなかった。イントネーションがどうの、漢字の読み方がどうの、重箱の隅を徹底的につつかれた。

それはそれで勉強になるものだったし、好意的な反応も多かった。励ましのお便りもいただいたりした。それらに元気づけられ、私たちは朗読研究会の内容を深めながら、さらに文芸朗読の収録を続けていった。やがて「長編小説も連続配信してはどうか」ということを思いついた。

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2010年5月15日土曜日

オーディオブックの真実 Vol.4

スタートした朗読研究会では、すべてをゼロから客観的/論理的にとらえなおすという姿勢で、声優たちには学校や養成所で習ってきたことをすべて捨ててもらうところから始めた。個別の問題をそれぞれ徹底的に洗いなおし、客観的な観測による対処法をひとりひとり考えていった。

それと並行して、テキストの扱い方・読み込み方の勉強もいっしょに始めた。これには私自身が小説家であるということが大いに役立ったように思う。文章を読むといっても、それまではただ漫然と繰り返し読み、せいぜい意味をとらえて文章になじんでいく程度だった。

ここに「書き手の視点」を持ちこむことによって、文章全体をかなり構造的にとらえられるようになる。この文章はどのように書かれているのか、なぜここにこの文章があるのか、この文章は全体の構造のなかでどのような位置づけを持って書かれているのか。

興味深いことに、このような視点で文章を構造的に読みこみ、理解を深めていくにつれ、読み手の「読み」も劇的に変化していったのだ。客観的に文章をつかまえるほど、主観(つまり読み手主体)との関係性が明確になり、読み手はその関係のなかに「表現」を持ちこめるようになる。

文章を客観的にとらえ距離を置くことと、読解によって徹底的に自分のものにすることとは矛盾しない。これができれば、読み手は自在にその文章を自分の表現材として使えるようになる。若手声優たちにはかなり難しい挑戦ではあったが、それでもおもしろい読み手が何人か出てきた。

先に書いたように、研究のためのテキストは私が書いたものではなく、古い文芸作品から選ぶことが多かった。古い作品の言葉にはなじみがなく、客観的な読解の勉強のためにはかえってよい材料だったからだ。そしてもうひとつ、著作権の問題があった。

著作権についても私たちは勉強を進めており、その扱いについては慎重になっていた。というのも、朗読の勉強が進むにつれ、せっかくだからその文章朗読を発表してみたいという気持ちが生まれてきたからだ。もちろん私が書いたものは番組内で定期的に発表していた。

それとは別に、夏目漱石や芥川龍之介などの有名な作品を、せっかくだからネットや朗読ライブで発表しようということになった。朗読研究会の初期メンバーは高橋恵子さんが紹介してくれた生徒数人だったが、その生徒がまた知り合いを連れてくる、というふうになっていた。

その初期メンバーのなかには、かなり読めるようになってきた者も出てきた。たとえば、相原麻理衣、田中尋三、神崎みゆき、大津千絵たちであり、ここにあとから窪田涼子、岩崎聡子、渡部龍朗なども加わっていく。最初の頃は短い時間で読み切れる短編を収録していた。

宮沢賢治や太宰治、梶井基次郎らのごく短いものを収録していた。田中尋三には夏目漱石の「文鳥」という短い作品を朗読してもらったりした。いまから思えば、どれも苦労しながら収録した、なつかしいものばかりである。最初は豪徳寺の私のワンルームで収録していたのだ。

収録機材はKORGのとてもちゃちな安いMTRと、Shureのダイナミックマイクを使っていた。その機材選定にしても、自分で調べた。使い方も苦労しながらの試行錯誤だった。半地下の比較的静かな部屋だったが、それでも普通のマンションの一室である。ノイズには悩まされた。

道路からの交通騒音が一番やっかいだった。とくにバイクやトラック、そして救急車。ほかにも犬やカラスの鳴き声、近くの部屋の話し声や物音。さまざまなものに収録を中断させられた。それでも静かな合間を縫っては、朗読の収録をしていた。

MTRに収録したものは、コンピューターに取りこむ。デジタルデータとして取りこむためには「AD/DAコンバータ」とか「USBキャプチャー」あるいは「オーディオインターフェース」と呼ばれる機械をかます必要があって、初期のころはYAMAHAのものを使っていた。

オーディオインターフェースを通してコンピューターに取りこんだ音声データは、音楽編集ソフト(当時使っていたのはSONAR)を使って編集する。微細なノイズをカットし、音量を調整し、不自然な間合いを詰めたり、あるいはのばしたりする。最後にはマスタリングである。

Twitter連載中

2010年5月14日金曜日

オーディオブックの真実 Vol.3

榊原氏のような優れた朗読を、だれもができるようにはならないのだろうか。そういう疑問とともに、私には切迫した事情もあった。とにかくラジオ番組として聴くに耐える朗読を、若い声優たちにもやってもらわなければならない。こうして朗読研究会がスタートした。

有志の声優やナレーターの卵何人かに集まってもらってスタートしたプライベートな朗読研究会。場所は私の豪徳寺の自宅。ワンルームマンションの一室。最初は研究材料として、実際に番組で使う私の原稿を使っていたが、それではあまり勉強にならないことがすぐにわかった。

私の番組用スクリプトは、音声化を前提に書かれていた。原稿を書くとき、私の頭のなかでは朗読される声が聞こえている。なので、読むのにあまり苦労はない。それでは全然勉強にならないのだ。そこで朗読研究会で用いるのは、私のテキストではなく、昔の文芸作品にした。

昔の文芸作品は、若い朗読者にとってはなかなかの難物だった。まず読めない字がある。意味のわからない言葉がある、またイメージできない描写がある。文章の裏の意味がある。裏の裏の意味まである。つまりまずは読解の方法を学ばなければならなかった。

ただ書かれた文字を読むだけなら、小学生だってできる。音声読み上げソフトだってある。そうではなく、音声表現として文字情報以上のものを人に伝えるためにはなにが必要なのか。声優たちも勉強したが、私も徹底的に考え抜き、研究する日々がスタートした。

読解、日本語の発音発声の基礎、朗読表現。まったくの手探りだったが、私がもっとも心を砕いたのは、すべてのことについて可能なかぎり客観的・論理的にアプローチする、というものだった。というのも、声優の卵たちから聞いた声優学校での教育方法に大きな疑問を感じたからだ。

声優学校やタレントの養成所では、ほとんど「実演者」が指導をおこなっている。つまり、アナウンサー、ナレーター、声優などの経験者、現役の人たちが講師となって指導しているのだ。そういう指導は利点も多いが、限界もある。利点としては「よいお手本」をすぐに示せる。

生徒は先生のお手本を物まねすればすぐにうまい読みができるようになる。しかし、この方法には欠点もある。お手本を真似するので、どの生徒も似たような表現になってしまうことが多いのだ。実際にある事務所の養成所出身者には独特の癖があり、すぐそれとわかる人がいる。

声優学校にも固有の色があって、日ナレである、アナウンスアカデミーである、青二である、など、共通の癖がついてしまう人もいる。実演者が指導する際の問題点のひとつだ。もうひとつの問題点は、実演者は「自分の経験則」に従って生徒を指導しようとする、ということがある。

経験則は役に立つことも多いが、その「原理」を理解しないまま盲目的に教えたり教わったりすることには問題がある。ある人に役立った方法が、必ずしもほかの多くの人にも応用できるとは限らないからだ。とくに「読み」のような個人表現の場合、個性が重要になってくる。

経験則を超えるためには、原理を徹底的に理解する必要がある。日本語発音発声の場合、たとえば「滑舌」の問題。仮に「か行」が苦手、とくに鼻濁音が苦手、という話者がいたとする。その場合、まずやるべきは、彼がどのように「か行」を発音しているかの自身の観察であ。

おなじ「か行」といっても、人それぞれ身体の構造が違っている。「か行」に限らず、発音発声はすべて骨格と筋肉の動きのコントロールによっておこなわれている。コントロールをおこなっているのは感覚神経からの情報にもとづく運動神経である。

感覚神経、運動神経、筋肉、そして骨格は、人それぞれ全員、働きが違う。よくいわれることだが、運動神経が発達して人もいれば、にぶい人もいる。また筋肉が弱い人もいれば、骨格の構造は少しずつ違う。骨太の人もいれば、骨が細い人もいるのだ。顎の骨ひとつとってもそうだ。

「か」という発音をおこなうときにどのように骨格が動くのか。それを動かしている筋肉はどれなのか。そういった原理をしっかりと観察できていなければ、それぞれ微妙に違っている個人個人の発音をコントロールすることは難しい。原理を理解した個人が個別にやるしかないのだ。

2010年5月13日木曜日

次世代オーディオブック・リーダー養成講座受講生募集

新しい声のジャンル、“オーディオブックリーダー”養成のための実践的集中講座! 最終オーディションを突破してプロReaderを目指しましょう。6月14日スタートです。
ハイクォリティなオーディオブックを制作しているアイ文庫が、次世代のオーディオブックリーダー養成集中講座を開講します。
当講座には、オーディオブック販売のことのは出版と現代朗読協会の全面的バックアップを得ています。

主催:アイ文庫
協力:ことのは出版
   現代朗読協会

■次世代オーディオブック・リーダー養成講座
 声優/ナレーター/朗読者のためのステップアップ講座
 申込みはこちら

【概要】

オーディオブックの読みや収録についてのノウハウとトレーニング法を一日で集中講義します。
その後1~2か月のトレーニング期間をおいて最終オーディション(収録)をおこないます。
合格者は、ことのは出版(株)のオーディオブックリーダーとして登録され、商業コンテンツの収録に備えていただきます。

【詳細】

(1)集中講座

以下の日程で開催される一日集中講義を受講していただきます。

 日時:2010年6月14日(月)10:00~19:00
 場所:アイ文庫(世田谷区/京王井の頭線新代田駅徒歩2分)
 受講料:33,000円

(2)トレーニング

収録用の作品を選び、(1)の内容の習得と(3)にむけての1~2か月間のトレーニング期間を設けます。
期間中は、メールによる指導と面談(またはスカイプ、希望者のみ)で習得状況をチェックします。質問等も自由です。
理解度や技術レベルによっては現代朗読協会のワークショップに参加していだくこともあります(参加費免除)。

(3)オーディション

アイ文庫のスタジオにて収録をおこないます。
収録後、数日以内に合否を決定します。
合格者は、ことのは出版(株)のオーディオブックリーダーとして登録され、商業コンテンツの収録に備えていただきます。
すでに第一期生が実際の収録に向けて動きはじめています。

【本講座の特徴】

オーディオブックリーダー(朗読者)は、ナレーターでもアナウンサーでもなく、声優でもない、新しい声のジャンルです。
オーディオブックの朗読にチャレンジしてみたいと思っている人が多いなか、その読みや収録についてのノウハウをしっかりとアドバイスしてくれる場所はそう多くありません。
そんななかで、アイ文庫は、今後も長くネットコンテンツとして流通していくに耐えるクオリティを持ったオーディオブックの制作とリーダーの育成にあたっています。

文芸朗読、詩曲集、教科書朗読、英語朗読などで業界随一のクオリティと実績を持つアイ文庫のオーディオブック・ディレクターが指導にあたります。
ただ読むだけではない、情報伝達のみにとどまらない、「表現」の域にまで踏みこんだクオリティの高いオーディオブック収録ができるハイレベルなリーダー(朗読者)の育成をめざします。数多くの実践的なノウハウを盛りこんだプログラムで予定しています。

【本講座開講の背景】

オーディオブック市場にも多くの作品が登場し、iPodやiPhoneほか携帯プレーヤーの普及によりオーディオブックを楽しむ人が急速に増えつつあります。しかし、日本の現状は欧米各国に比べるとまだまだ普及が遅れているといわざるをえません。
しかし、KindleやiPadなど、オーディオブックも聴ける電子書籍リーダーが一気に登場してくるにともなって、日本でもオーディオブック市場に大きな期待感があります。
現在、オーディオブックコンテンツはパブリックドメインの文芸ものか、ビジネス書や自己啓発書、ラジオ番組や外国語教材、落語などの二次利用コンテンツが大部分を占めていますが、今後は現代文芸小説や教科書など、より朗読者の力量を問われるものが増えていくと予想されます。また、出版社や著者からは、朗読者に対して現状を上回ったクオリティの高さを求める声が直接寄せられています。
こういったコンテンツは、朗読者の「テキストを読む力(読解力)」や「表現力」が要求されることはいうまでもありませんが、このような朗読者を育てる場所はこれまであまりありませんでした。
そこで、時代の要求と将来展望にもとづいて、本講座が開講されることになりました。

◎ツイッターで配信

ドキュメント「オーディオブックの真実」を配信しています。ハッシュタグは「#ABdoc」。
こちらも参考にしてください。

「オノマトペ」って?

現代朗読リスニング協会(?)のダンディー宮本氏からの情報です。
放送は今夜ですね。

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「オノマトペ」という言葉をご存じだと思いますが、
日本語のオノマトペが、外国人にはどう聞こえるかについて特集した、
NHKの「みんなでニホンGO」という番組で、
司会の船越英一郎さんの後ろあたりに(黒いメガネをかけて)座っています。

「みんなでニホンGO」
NHK総合テレビ 5月13日22:00~22:48放送
NHK総合テレビ 5月20日01:30再放送
NHK BS2    5月20日11:00再放送
http://www.nhk.or.jp/nihongo/index.html

2010年5月12日水曜日

オーディオブックの真実 Vol.2

読者との交流もまめにやっていて、いただいたメールをメールマガジン内で紹介したり、コメントを返したりしていた。その様子を見ていたY氏がおもしろがってくれたようだ。私になにかいっしょにやりましょうといってきた。ちょうどその頃、i-mode携帯が出た。

私のやっているメールマガジンでの小説配信を、携帯電話向けにして、その末尾に広告をつけてはどうだろう、というアイディアがふたりで話し合われた。私はこのあたりからちょくちょく東京に出かけては、Y氏と新規事業の打ち合わせをするようになっていった。

アイディアがふくらんでいくにつれ、Y氏の力の入れようはかなりのものとなっていった。広告を掲載する飲食店などにも営業をかけ、クーポン広告を取ってきたり、街頭でのビラまき宣伝などもおこなうなど、新規事業としてもかなり本格的なものになっていった。

とうとうこの事業のための会社を作ることになった。資本金300万円の有限会社「アイ文庫」がこうやってスタートした。が、詳しい話ははしょるが、このケータイ広告事業はあっという間にうまくいかなくなり、アイ文庫の経営はたちまち行き詰まってしまった。

このとき、私はすでに福井から東京に仕事場を移していた。世田谷の豪徳寺にワンルームマンションを借り、仕事場兼住居としていた。ケータイ広告がうまくいかなかったとき、先にも書いたように私はラジオ番組の制作もおこなうようになっていた。

ラジオ番組の制作には福井時代からかなり関わっていた。FM福井という東京FM系列の地方局があり、そこでほぼ開局当初から番組の制作に関わっていたのだ。いわゆる放送作家というやつで、構成台本やナレーターが読むスクリプト(原稿)を書いたり、自分もときには出演した。

そんなわけでラジオ番組の作り方については熟知していたので、世田谷FMで番組制作の話が持ちあがったときはなんのためらいもなかった。世田谷FMはいわゆるコミュニティFMという、半分行政が出資する第三セクターのラジオ局で、阪神淡路大震災の後にたくさんできた。

フリーアナウンサーの高橋恵子さんといっしょに「ジューシー・ジャズカーゴ」というジャズ番組をやることになった。世田谷FMのスタジオがあいている時間を見つけて、高橋さんとふたりでトークをし、CDをかける。それをざっくりとMDで録音し、自宅に持ち帰って編集する。

MDウォークマンをコンピューターとつないで音を取りこみ、あとは音楽編集ソフトで編集。当時はWindowsマシンを使っていたので、編集ソフトはSONARだった。コンピューターのスペックがある程度必要だったが、自宅でラジオ番組が作れてしまうのは画期的だった。

「ジューシー・ジャズカーゴ」は55分番組だった。大半がジャズのCDを流し、新譜や名盤の紹介だったが、それだけだと間がもたない。というわけで、番組内コーナーを作ることになった。「ジューシー・ジャズストーリー」という朗読と音楽を組み合わせたコーナーだった。

朗読と音楽を組み合わせた番組はFM福井時代にも作っていたことがある。福井トヨタ提供の「EDアーバンクルージング」という番組で、そのときの朗読者は名古屋の俳優・榊原忠美氏だった。この番組の制作があまりに楽しかったので、世田谷FMでも似たことをやりたくなった。

「ジューシー・ジャズカーゴ」はスポンサーもつかず、完全に制作費持ち出し番組だったので、だれもギャラをもらえない。そこで高橋恵子さんに頼んで、声優学校の出身者で声優の卵をやっている若者を何人か紹介してもらい、原稿を朗読してもらうことになった。

ジャズの曲を聴き、それに触発されたストーリーを私が書く。曲を流しながら、その雰囲気で朗読してもらう。FM福井のときとおなじ方式だった。ところが、若手声優というせいもあったかもしれないが、読めないのだ。音楽やストーリーに乗せたしっかりとした読みができない。

FM福井ではあんなに自由に即興的に朗読と音楽がからんで楽しかった。こういうことは声優学校のような声の専門訓練を受けた者はだれでも軽々とやれるものだと思っていた。大きな間違いだった。榊原忠美氏がとてつもなく突出した表現者であることにようやく気付いたのだ。

オーディオブックの真実 Vol.1

アイ文庫という小さな会社でオーディオブックを10年近くコツコツと作りつづけてきた朗読演出/プロデューサーの水城雄です。ゼロからスタートしたこの事業のマーケットもほとんど存在していなかった頃からの話を、できるかぎり誠実に真実を尽くして語りたいと思う。

会社といったが、アイ文庫は構成員が役員だけの小さな有限会社で、まったくの独立系だ。つまり、どこかの系列とか資本提供を受けていない、個人設立の法人という意味である。

もともとはi-modeケータイ電話の普及に乗ってテキスト系広告を配信する事業を展開するために、紙器加工と印刷業をやっていた人と水城がふたりで作った会社だが、ケータイ広告がうまくいかなくなり大手代理店が軒並み撤退するなどアイ文庫もすぐに立ち行かなくなった。

会社を閉めてしまうことも考えたが、テキスト配信事業と同時進行で世田谷FMでフリーアナウンサーの高橋恵子さんと「ジューシー・ジャズカーゴ」というジャズ番組を始めていて、そのときに高橋さんの紹介で若手声優が出入りしはじめていた。世田谷のマンションの一室だった。

FM番組「ジャズカーゴ」のなかにストーリーと音楽で構成するコーナーがあった。そのストーリーを若手の声優たちに読んでもらっていたのだが、ナレーションや吹き替えと違い、ストーリー朗読があまりにできないことが判明、じゃあ勉強会をしようということになった。

朗読の勉強会を始めてみると、朗読という表現行為においては実にさまざまなことを考えなければならないことがわかってきた。ちょっとあわてながらも、わくわくした。なにか知らないこと、あたらしいことに直面するというのは、私にとってとてもうれしいことだったからである。

このとき私は40歳をいくらか越えた年齢であった。ごく大雑把にいえば、20歳代のときには音楽を、30歳代のときには職業小説家として生活の糧を得てきたが、40歳に差しかかる頃にはすっかり商業出版の世界に嫌気がさしていた。すっかり疲れてしまったともいえる。

いまもそうだが、商業出版とは「良い本」を出すことよりも「売れる本」を出すことが目的の世界である。編集者は私の書いたものを「良い内容かどうか」ではなく「売れるかどうか」という価値基準でしか判断しない。さらに「売るために」と称してさまざまな改稿を要求してくる。

もともとは好きで始めた小説書き、もの書きである。20代の頃、前半は京都の祇園でバンドマンをやっていた。夜のステージまで持てあましていた時間を、好きな本を読んだり小説を書いたりしてすごしていた。20代後半は福井でピアノ教師をやりながら、やはりものを書いていた。

その小説がたまたま出版社(徳間書店)に売れ、単行本を出すことになり、そこから職業小説家としての生活がスタートしたのだ。最初のころは好きなことを好きなように書いていればよかった。が、そのころ(1980年代の終わりごろ)から出版界の構造不況がはじまったのだ。

小説、とくにノベルスという分野の本が売れなくなった。また、出版社の社員である編集者は高給であり、毎月何十万という給料をもらい、高級マンションに住み、高級車に乗っている。一方作家のほうは収入が逼迫し、生活費もままならないという状況が出現した。

そんなこんなで、小説を書いて生活費を稼ぐという暮らしに嫌気がさしてきたのだ。つまり、好きな小説書きではあるが、自分が望んでもいないものはもはや書きたくないという気持ちが急速に大きくなってきたのだ。そこで、食うための手段を小説に依らなければいいと開きなおった。

小説はネットで発表すればいい。お金にはならないかもしれないけれど、自分の好きなように書いたものが、多くの人に読んでもらえる。また、読者からのリアクションもある。書き手と読み手がダイレクトにつながることができる。幸い私はコンピューターやネットに強かった。

田舎に住んでいたため、いまではあまり使われることもない「情報格差」という問題を感じていて、コンピューターやネットへの関心は強かった。NIFTY-ServeやPC-VANなどはサービススタート時からのユーザーだったので、ネットは当初から使い慣れていた。

80年代後半からの「パソコン通信」の普及から始まって、90年代後半にはいよいよインターネットが普及しはじめた。ネットのヘビーユーザーであり、またコンピューターを使って執筆もすれば音楽制作もするという、IT技術の発展を同時代的に経験する者だった。

私がネットに小説を発表しているのを見て、コンタクトしてきたのが、先に書いたアイ文庫の共同創設者となった紙器加工業/印刷業の経営者のY氏だった。Y氏は本業のほかにもネット事業を展開するための会社を立ちあげていて、私のやっていることに興味を持ってくれたのだ。

Y氏がコンタクトしてきたとき、私は「まぐまぐ」というメールマガジンのシステムを使って小説の無料配信をやっていた。けっこうな読者がついていて、とはいえまあ数千人程度ではあったが、その人たちが毎日私の小説を楽しみに読んでくれては、ときにはメールをくれたりした。

2010年5月10日月曜日

小林沙也佳ちゃんと出る「泉里津」というコンサート

◎場所 西宮市甲東ホール(西宮市甲東3-2-29 アプリ甲東4F)
◎日時 2010年5月29日(土) 13:00開場/13:30開演
◎料金 前売2,000円/当日2,500円

 絵本オペラと語りで綴るコンサート、とのことです。絵本オペラがどういうものなのか私も知らないので、楽しみです。
 私はいつものように、小林沙也佳ちゃんの語りのサポートでピアノの演奏をします。ほかにも「絵本オペラ」の人たちや、歌とピアノの人たちも出演します。
「音楽はことばと心をつなぐ渡し舟」とパンフレットにあります。うまい!

◎主催 ムジカマーノ
◎問い合わせ 090-6667-7471/E-mail : musicamano_h@yahoo.co.jp

 私に直接おたずねいただいてもかまいません。

知り合いからの告知3件

 興味のない方は読みとばしてください。

 スパニッシュギターの小林智詠さんと、フォルクローレ歌手の八木啓代さんのライブの案内。
 後ろのほうに、エコツミの案内。
 この三人とはずいぶん長らくお会いしてない。

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5月3日(月)  *とぽけろっちぇ ライブ

出演/会田桃子(vln)、山下”Topo”洋平(q/z)、智詠(g/vo)

草加/シュガーヒル (草加市住吉1-4-9)
http://sugarhilljazz.jp/
時間/開演19:00、20:30
チャージ/1set ¥2,000 : 2set通し¥3,000 (各1ドリンク付)
お問い合わせ/:048-927-7489(シュガーヒル) 4/29~
アクセス/東武伊勢崎線草加駅より徒歩3分

★草加のジャズバーにとぽけろっちぇが登場します!

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5月5日(水)  *昼下がりのファド Vol.3

出演/月田秀子(vo)、飯泉昌宏(ポルトガルギター)、智詠(g)

四谷/マヌエル・カーザ・デ・ファド(千代田区六番町 11-7)
http://www.manuely.jp/
時間/開場12:00、開演13:30
チャージ/¥2,500 ※要予約
お問い合わせ/03-5276-2432(マヌエル)
アクセス/四ツ谷駅より徒歩3分

★月田秀子さんのライブに参加します。
四ツ谷のすてきな雰囲気のポルトガル料理店での昼ライブです。

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5月6日(木)  *トリオ@サンジャック

出演/山下”Topo”洋平(q/z)、青木菜穂子(pf)、智詠(g/vo)

西荻窪/ビストロ・サンジャック (杉並区西荻南 3-12-1)
http://pomkn.cocolog-nifty.com/sanjakku/
時間/開場19:00、開演20:00 
チャージ/¥2,500(+1ドリンク)
お問い合わせ/03-3335-8787(サンジャック)
アクセス/中央線西荻窪駅より徒歩2分

★サンジャックで山下洋平さん、青木菜穂子さんとのトリオです。
どんな音楽になるか楽しみです。

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5月8日(土)  *アルゼンチン音楽とバンドネオンの世界

出演/早川純(bn)、智詠(g/vo)

東京・瑞穂/耕心館 (西多摩郡瑞穂町駒形富士山 317-1)
http://www.koshinkan.jp/
時間/開場18:00、開演18:30
料金/¥2,000 (定員70名・全席自由)
チケット販売/3/10より耕心館・スカイホール・西多摩新聞社・北沢タウンホー
ル(世田谷区北沢)
お問い合わせ/042-568-1505(耕心館)

★早川純さんと耕心館でのコンサートです。
和建築を改装したすてきなスペースで、アルゼンチン音楽をたっぷりとお楽しみ
ください。

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5月9日(日)  *銀座アフタヌーン・ミロンガ

ダンスゲスト/Sebastian&Mariana
ライブ/G Tango Trio [智詠(g)、早川純(bn)、熊本比呂志(perc.)]

銀座/MY HUMBLE HOUSE  (中央区銀座3-3-1 ZOE GINZA B1)
http://www.mhht.jp/
時間/初心者レッスン12:30、ミロンガ13:00~16:00
料金/予約¥4,000、当日¥5,000(1ドリンク付)
お問い合わせ/080-1019-*9998(GYU)、090-3040-*6029 (KATO)
アクセス/銀座駅より徒歩3分、有楽町駅より徒歩4分

★銀座アフタヌーン・ミロンガ5周年おめでとうございます!
タンゴのダンスに興味のある方ぜひ。

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5月10日(月)  *MAYA  コンサート2010 マロウドのはなし

出演/橋本仁(q)、岡田浩安(z)、寺澤むつみ(g)、TOYO草薙(ch)
ゲスト/智詠(g)、芹澤シゲキ(bs)、渡辺大輔(q)、勝野勉(z)

錦糸町/すみだトリフォニーホール (墨田区錦糸1-2-3)
http://www.triphony.com/
時間/開場18:30、開演19:00
料金/前売¥3,500、当日¥4,000
お問い合わせ・予約/090-3227-7362 (葦工房) 
メール予約 info@ashibue.com
アクセス/総武線、半蔵門線錦糸町駅より徒歩3分

★フォルクローレグループMAYA・活動20年の節目のコンサートに出演します!

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5月12日(水)  *八木啓代 ライブ&トーク in Tepito  

出演/八木啓代(vo)、智詠(g/vo)

下北沢/テピート (世田谷区北沢2-34-8 KMビル3F)
http://www.tepito.jp/
時間/開場18:00、開演19:45
チャージ/¥2,000
お問い合わせ/03-3460-1077テピート)
アクセス/下北沢駅北口より徒歩4分

★テピートで八木啓代さんとのライブ、
感動のメキシコ料理とともにお楽しみください。

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5月13日(金)  *赤坂 ランチタイムコンサート

出演/早川純(bn)、智詠(g)、熊本比呂志(perc.)

赤坂/フローラルプラザ エントランス (港区赤坂3-8-8) 
http://www.akasakafp.com/
時間/演奏12:20~13:00
料金/入場無料
アクセス/赤坂見附駅より徒歩2分

★赤坂のフローラルプラザでのランチタイムコンサート、
タンゴでお楽しみください。

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5月14日(金)  *Hicalucas × Chiei ライブ

出演/岩川光(q/z)、智詠(g/vo)

赤坂/カーサ・クラシカ (港区赤坂3-19-9) 
http://casa-classica.jp/top/home.html
時間/開場 18:00、開演19:00
チャージ/ ¥2,500 (+1ドリンク)
お問い合わせ/03-3505-8577(Casa Classica/17:00~) 
アクセス/赤坂見附駅より徒歩3分、千代田線赤坂駅より徒歩5分

★岩川光さんとのカーサ・クラシカでのライブです。響きのいい空間での熱い演
奏を。

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*沖仁 フラメンコギターの世界

出演/沖仁(g)、智詠(g)、石塚隆充(Palma, Cante)、伊集院史朗(Palma,
Baile)

5月18日(火)  
狭山/狭山市市民会館 (狭山市入間川2-33-1)
http://www.city.sayama.saitama.jp/kakuka/simin/sikaikan/
時間/開場18:00、開演18:30
料金/前売¥4,500(全席指定) 
チケット販売/チケットぴあ 0570-02-9999
/ローソンチケット 0570-08-4003
/イープラス
お問い合わせ/03-3226-9999(MIN-ONチケットセンター
アクセス/西武新宿線狭山市駅より徒歩8分


5月19日(水)
熊谷/熊谷文化創造館 さくらめいと (熊谷市拾六間111-1)
http://www.sakuramate.jp/index.html
時間/開場18:00、開演18:30
料金/前売¥4,500(全席指定) 
チケット販売/チケットぴあ 0570-02-9999
/ローソンチケット 0570-08-4003
/イープラス
お問い合わせ/03-3226-9999(MIN-ONチケットセンター
アクセス/高崎線籠原駅より徒歩15分


5月20日(木)
羽生/羽生市産業文化ホール (羽生市大字下羽生876)
http://www.zaidan-hanyu.or.jp/index2.html
時間/開場18:00、開演18:30
料金/前売¥4,500(全席指定) 
チケット販売/チケットぴあ 0570-02-9999
/ローソンチケット 0570-08-4003
/イープラス
お問い合わせ/03-3226-9999(MIN-ONチケットセンター)
アクセス/東武伊勢崎線・秩父鉄道羽生駅より徒歩20分

★沖仁さんの埼玉での3夜連続コンサートシリーズ(狭山、熊谷、羽生)に出演
します。

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5月23日(日)  *月田秀子きまぐれコンサート Vol.13

出演/月田秀子(vo)、牧田ゆき(acc.)、上川保(ポルトガルギター)、智詠
(g)

大阪/アゼリア大正ホール (大阪市大正区小林東3-3-25)
http://www.osaka-udce.or.jp/azalea/index.html
時間/開場17:30、開演19:00
料金/前売¥3,500、当時由¥3,800 (全席自由)
お問い合わせ/06-6552-7053(昼) 06-6552-3820 (夜)

★月田秀子さんと大阪でのコンサートに出演します。

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5月25日(火)  *TOPO × CHIEI ライブ

出演/山下"TOPO"洋平(q/z)、智詠(g/vo)

大塚/グレコ(豊島区北大塚1-34-18) 
http://www.greco.gr.jp/index/index.htm
時間/開場 19:00、開演 20:00
チャージ/ ¥3,000
お問い合わせ/03-3916-9551(グレコ) 
アクセス/大塚駅北口より徒歩5分

★山下”TOPO”洋平さんと大塚グレコでのライブです。
フォルクローレ、オリジナル、歌も登場予定です。

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5月27日(木)  *Tango Tinto ライブ

出演/小川紀美代(bn)、智詠(g/vo)

六本木/ノチェーロ (港区六本木6-7-9 川本ビルB1) 
http://www.nochero.com/index.htm
時間/開演19:30、20:45、22:00
料金/¥2,600(+1ドリンク)
お問い合わせ/03-3401-6801(ノチェーロ)
アクセス/六本木駅より徒歩2分

★レギュラーのノチェーロでの小川紀美代さんとのドゥオ。
タンゴ・フォルクローレをたっぷりと。

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5月29日(土)  *津南ラテンフェスティバル

出演/月田秀子(vo)、飯泉昌宏(ポルトガルギター)、智詠(g)

新潟・津南/ニュー・グリーンピア津南(中魚沼郡津南町秋成12300)
http://www.new-greenpia.com/page_top/top.html
時間/開演18:00
料金/¥16,000 (一泊二食、交流会あり)※要予約
お問い合わせ/025-765-4611 (ニュー・グリーンピア津南)

★グリーンピアでのイベントで月田さんのライブです。山菜の時期楽しみです。


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エコツミ劇場
「八尺瓊勾玉」
~知られざる月読語り~

5月15日(土)
18:30op/19:00st  於 恵比寿 天窓.switch
http://www.otonami.com/ebisu/map/index.htm
前売¥2500 /当日¥3000 +1D

あやかしの歌が響くとき、古の伝説が動き出す・・・ 
今まで誰にも語られなかった物語。
三種の神器‘勾玉’と三貴神‘ツクヨミノミコト’。 

すべての狭間 昼と夜の真ん中 夜と朝のすきま 
勾玉はそんな場所でうまれた・・・

ご予約はこちらから
http://www.ekotumi.jp/reservation.html

3月ダイジェスト(2’22) http://bit.ly/9sidIx
1月ダイジェスト(8’27)http://bit.ly/bA2MNQ
次回ライブは7月16日
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2010年5月1日土曜日

ツイッター連載スタート「オーディオブックの真実」

 今日からアイ文庫ツイッターで「オーディオブックの真実」というドキュメントを配信スタートする。
 ツイッターなので、1項目140文字以内。この制限がおもしろい。
 いったいどうなるやら、自分でもまったくわからない。

 皆さん、よければサインインしてフォローをお願いします。
 アイ文庫ツイッターはこちら